0413 賑やかすぎる
「本当に落ち着かせてくれない、お前らはなぜみんな上海で騒ぎを起こすんだ?地球はこんなに広いのに、上海のような狭い場所がなぜお前らにとってそんなに活発に跳ね回る価値があるんだ、ここを遊園地にでもしたのか?!」
自分のオフィスで菊茶を飲んで怒りを鎮めている盧安は、ある感情的な口調で現在の上海の状況に不満を漏らした。
盧安から見れば、上海地区は賑やかすぎた。例えば今、風当たりの強い遏制者研究所で、盛怡苒は警備部門に捕まえられた。
実験室のその“怠惰”と呼ばれるものに対して、盧安は大量の予演でテストーーしてみた。このものは確かに超能を抑制でき(予演には全く抑制力がない)、しかもその影響範囲は増加している。盧安は抑制範囲と抑制強度を曲線図で示した。
“怠惰”は捕獲されて上海に運ばれるまで一ヶ月もの時間がかかり、その影響半径は2倍になった。しかしさらに2倍に拡大するには、少なくとも八ヶ月かかる。もしこの基盤の上でさらに2倍に拡大するなら、少なくとも十年かかる。現在、“怠惰”の抑制超能強度について、盧安は予演の中で、その十メートルの場所では導力超能が十分の一に抑制されることを発見した。そしてさらに近づくと、ゼロに抑制できる。
この超能力を完全に抑制できる区域を、盧安は絶対抑制区と呼んでいる。ただし、この怪物の移動速度は満足のいくものではない。そのため、この絶対抑制区の効果は限定的だ。
盧安は予行演習で百回近く実験した後、さらに「怠惰」の絶対抑制区は変形可能で、一筋の束となって数キロメートル先の超能力を無力化できることを発見した。しかし、「怠惰」がこの能力を使うたびに、その絶対抑制区と抑制区域は大幅に縮小する。つまり、絶対抑制区を動かすには代償が伴うのだ。
もちろん、盧安にとって、虎部が「抑制者」と名付けたこの怪物を破壊することに何の問題もない。盧安は予行演習でテストーーを行い、五十キロのタングステン鋼貫通爆弾を上空七百メートルまで運び、そこから投下し、毎秒千メートルまで加速させた。つまり無抵抗膜で包んで高空から投下し、石炭粉エンジンで推進すれば、プールに縮こまっている畸形のイルカは肉のスープと化す。盧安が予行演習で作り出した打撃は、確かに超能力で搬送されたエネルギーであり、打撃の時点では超能力による搬送は既に完了しているため、抑制は無意味となる。
盧安の多次元時間視点から見ると、「怠惰」の可変性はあまりにも小さく、見た目は非常に恐ろしいが、本質的には小山のように動かない。江南地方の石灰岩の山々は非常に巨大に見えるが、採石場会社によって発破採石され、半分が削り取られてしまった。
盧安は何も恐れていないが、この世界の超能力者たちはそれに恐れを抱いている。南京事件はまるで石を水に投げ込んで波紋を起こしたようなもので、その時、盛怡苒は跳ね上がった波しぶきのような存在だった。盛怡苒のために助命嘆願に動いた李星霽と盛儒星は、第二の波しぶきのようなもので、それらの波しぶきの周りを漂う輪廻者たちは、この濁った水の中でくるくる回る魚のようなものだ。
「盛怡苒を死なせるわけにはいかない、少なくとも自分が手を出せる範囲で死なせるわけにはいかない。」盛怡苒の事件後、盧安はすぐに決断を下した。
盛怡苒だけでなく、湯宏康、李星霽、盧九重も、この三人が自分を助けてくれただけでなく、この世界での自分の利益(農業の利益)のために発言してくれる可能性があるからだ。だから、盧安は彼らを退場させないつもりだ。それどころか、盧穹も盧安が守ろうとする人物の一人だ。
盧安は知っている。盧穹は実のところ自分とは仲が良くないが、よく分析してみると、盧安と盧穹、盧華明の間にある名前上の繋がりこそが、一部の小悪党たちを警戒させ、盧安にちょっかいを出させないのだと気づいた。どの小悪党も、盧安にちょっかいを出す前に、盧穹のことを考慮する。誰もが自ら災いを招きたくないのだ。だから、盧安が時機を見て争いを避ければ、周囲も余計な波風を立てまいと盧安を見逃す。これが、盧穹が盧安の生きたリストーーに載っている理由だ。これもまた、盧安流の虎の威を借る狐なのだ。
もちろん、盧穹の悪名には副作用もある。盧穹は多くの人を敵に回しており、もし盧穹に復讐しようとする者がいても、盧安のことは考慮しない。彼らが考慮するのは、李星霽や湯宏康、盧九重といった大物たちの面子の問題なのだ。
盛怡苒もまた、輪廻者たちにとって重要な人物である。正確に言えば、盛怡苒は『宇宙の影』の第一部と第二部のストーリーに登場する大軍閥・盛儒星の娘であり、第四部と第五部のストーリーでは彼女の父親の権力を引き継ぐ女王である。盛怡苒は、まさに小物と握手をするだけで、その小物を十年は苦労せずに済ませるほどの存在なのだ。
盛怡苒が逮捕されると、ほぼ同時に二つの輪廻者チームが彼女を救出しようと準備を始めた。彼女を救うことでこの世界の政府組織と敵対するかどうかについて、輪廻者たちはまったく気にする必要はないと考えていた。なぜなら、数ヶ月後にこの世界は混乱に陥るからだ。この世界の政府組織は混乱に対処できず、各超能力組織の権力はますます大きくなり、やがて政府内の保守勢力、つまり現在権力を握っている勢力を淘汰していくだろう。
政治舞台では、当面の問題に対処でき、権力をしっかりと掌握している派閥が支配派閥である。もし目前の問題に対処できず、支配力が不安定で、多くの人々が権力の譲渡を求めているなら、その集団はいわゆる保守勢力となる。
そうだ、数ヶ月後には、現在政府内で超能力者たちに対して強力な抑制を続けている勢力は、権力の不安定さから保守勢力となり、そして権力の中枢から押し出されるだろう(台湾のブルー・グリーン[1]の小さな政治舞台が、まさにこれを演じている)。
これから起こるのは、超能力者たちによる武力による権力奪取ではなく、もともと政治舞台上にいて超能力者を支持する傾向のある派閥がさらに前進し、現在超能力者に対して高度な警戒心を持つ派閥を置き換えることである。
そして、この置き換えられた保守派は、超能力者の権利が拡大し、一般人の権利が縮小することを意味していた。その過程では暴力衝突を可能な限り避けるよう努められた。
盧安から見れば、この権利の交代は、むしろ以下のような権力交替の方式に近い。
地球二十世紀後半、政治権力は初めて完全に労働者と農民の手に委ねられたが、社会教育やメディアの要因により、彼らの資質や組織力、知識量は当時の発展問題を解決するには不十分だった。スローガンは熱意にあふれていたものの、知識量や日常の習慣には小農的な気風が漂っていた。献身できないわけではないが、当然得られるべき権利をどのように獲得すればよいのか、彼らは気づいていなかった。そして、権利を獲得しなければ、必ず賢い者たちがそれを掴み取るのだ。
そのため、政府内で集団化を堅持していた政治勢力は崩壊した。80年代以降、権力は一時的に別のグループに譲られた。21世紀前半、人民大会堂に座る権力者たちは数十年前とは異なっていた。そしてこの時期、世論は金銭至上主義、さらには権力至上主義へと傾いていた。
しかし、憲法は改正されなかった。そのため、地球上の21世紀後半になると、教育の大幅な普及と知識獲得の難易度低下に伴い、すべての労働者が普遍的に大卒レベルの文化的素養と労働者・農民の資質を備えるようになった。これは前世紀とは天地の差があり、誰もが管理意識を持ち、誰もが法律・法規を利用して自らの生産革新の権利を保障することを知っている(この点は、盧安の仕事習慣からも見て取れる)。この階級は、ブルジョア階級が解決できるすべての問題を解決し、さらにブルジョア階級が解決できない問題をも解決できるのである。
だから、二十一世紀後半には、人民大会堂は再び建国者たちが望む人々で満席になった。そして二十一世紀前半、旗を変えようとしているかに見えた衝撃的な世論は、二十二世紀の人々が振り返ると、単なる沈殿物が浮かび上がるような一過性の騒ぎに過ぎなかった。時代が過ぎ去った後、あるべき先進的な階級が依然として権利をしっかりと握っている。憲法における「人民民主独裁」は、当然のごとく法律法規を憲法が望む方向へと整備するよう推進している。
この世界の権力交代プロセスは、「X-MEN」映画のように暴力に満ちているわけではなく、同様に平和的権力交代である。なぜなら、権力集団自体に超能力者がいるからだ。異なるのは、この権力階層の緩やかな交代の中で、憲法が変更されることだ。
これは、現在国家憲法に守られている階層――「資産の神聖不可侵」という言葉に守られている人々――では、これから起こる社会問題を解決するには不十分だということです。「資産の神聖不可侵」は将来空文句になるでしょう――強者が弱者に対して生殺与奪の権利を握る社会で、どうして資産の神聖さが強調できるでしょうか?
これらの輪廻者たちは、盛怡苒を救うことが現在の法律に違反しても大したことではなく、将来新しい法律が生まれると考えている。将来の法律では、超能者の命と普通の人の命は等価ではなくなる。だから彼らは行動したのだ。
盧穹が動き始めた。そしてこの世界の誰の目にも、幸运の女神がスカートをめくり始めたのだ。
盧安は自ら女神である盛怡苒を救いに行くようなことはしない。そんなのは三流の奴がすることだからだ。この世界にはこれほど多くの者(輪廻者)が我先にと三流の奴の真似事をしているのだから、盧安が顔を出すまでもない。盧安はただ、彼らが救助活動を滞りなく進められるようにしてやればいいだけだ。
これらの輪廻者たちの行動は驚くほど順調だった。なぜなら、その順調な救出劇の裏で、一連のささやかな出来事が起きていたからだ。
一つ目。夜の帳が下りた黄浦江の岸辺で、アオダイショウが一匹、餌を求めて出かけていた――夜はげっ歯類の活動が活発になる時間帯だ。しかしこの日、このヘビはとことん運が悪かった――高空から見張る目にロックオンされてしまったのだ。鷹を模した二機のバイオニック飛行体がヘビの両端を掴み、ピンと伸ばして上海の目標地点へと飛び去った。
第二件。この二体の模造鷲は、蛇を目標区域内の変圧器の上に放り投げた。電気火花が散ると同時に、住宅地全体が停電した。もちろん、研究機関には予備電源があったため、停電にはならなかった。電気技師たちの検討の結果、数時間を要してようやく電力が復旧する見込みとなり、そこで盛怡苒が監禁されている場所では、ディーゼル発電機が「ゴロゴロ」と大きな音を立て始めた。その音はトラクターよりも大きく、一部の物音は騒音にかき消されることになる。
第三件。救出グループが密かに潜入する中、監視モニターの画面を見張っているはずの警備員が、自分の小さなテレビの砂嵐に気を取られてしまった。
傍観者の視点では、警備員は職務を全うして監視モニターをじっと見つめ、勤務時間中に娯楽にふけるべきではない。しかし、実際にはそれは不可能だ。毎瞬監視モニターを睨み続け、日々平静な画面を見続ければ、気が狂ってしま宇田ろう。だから多くの警備員は監視モニターの傍に小さなテレビを置き、テレビを見ながら横目で監視モニターをチェックするのだ。
ちょうどその時、この小さなテレビが故障した。警備員がしゃがんでテレビのプラグを抜き差ししている間、監視映像から目を離していた。同じタイミングで、救出チームのメンバーはここの服装に着替え、基地に紛れ込んだ。
四つ目。盛怡苒のいる部屋では、電圧が不安定で照明がちらつき始めた。盛怡苒は苛立ちながら目を開けた。これにより盛怡苒は何かが起きていると感じた。
五件目、六件目……
[注1]。国民党と民進党を指す。




