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「ガチャンガチャン。」


洞窟だと鎧の音が響く。


俺は軽装備だ。


素早さ特化の急所を守る程度の防具とボウガンとナイフ2本を持ってるだけ。


なぜならアイテムボックスのスキル持ちだから。


アイテムボックス自体は珍しくないんだけど、俺のは容量が桁違い。プラス生きた状態でも入れる。


そして俺は影魔法を必死に覚えた。


影に隠れる事で敵に見つからず安全な場所でパーティを安心して休ませることが出来る。


見張りをしなくて熟睡出来る。これだけでも俺の価値が高いことは分かるだろう。


普通だったら俺の適性はC級だ。今いるのはA級。


俺に荷物持たせたらS級だね。


俺の唯一の攻撃魔法の雷魔法の中にある電光石火と身体強化を併用しながら逃げればA級の奴らより速い。


だから、みんな回収して俺が爆速で家まで帰すっていう緊急帰還モード付き。


S級はどいつもこいつもバケモノだから無理。


S級に呼ばれてもただの荷物持ちになる。


アイツらに危機感とかないからダンジョンで普通に大の字で寝るし、俺より速いし。


荷物持ち業界では引っ張りだこだから、C級で潜るより割のいい仕事ではある。しかも影からボーガンに毒塗ってチクチクするだけで経験値はいるし。


ただ、半年潜って1、2年休むトップ層ほど貰えないからパーティは転々としなければならない。


あとはA級だと使えないが中級のダンジョンだったらダークウルフ、ビリビリゴブリンとクレイジービーという魔物を3体ずつ使役しているので索敵も可能である。


どいつもすばしっこくてテイムが難しかったが、最近はA級とS級ばっかなのでアイテムボックス内で優雅にペット化している。


もう人生安泰だぜ。


次は回復魔法でも覚えようかな。


A級は荷物持ちでもかなりの金額が入る。


スキルブックでも買わないと俺みたいな才能ないやつはスキルアップ出来ない。


スキルブックは高いのだ。


もうそろそろ最奥部に着いてもいい頃だ。


もう少しの辛抱。


先頭の大楯を持った戦士が手を挙げる。


敵がいると言うサインだ。


いかにもボス部屋ですっていう門だった。


怖いわぁ戦わないけど。


「とりあえずここで休んで明日トライしてみよう!リュックさんお願いします!」


リュックは俺の名前です。


リーダーの仰せのままに。


6人を俺のアイテムボックスに入れて俺も影の中に隠れるこうすると安心してみんな休める。


まぁ俺は影にいる時魔力消費するんだけど


ダンジョンで1人も寂しいからダークウルフ召喚しよっと


「「「ガウッ!ガウガウ!」」」


名前はケル、ベロ、スーだ。


ケルがしかめっつら


ベロがベロ出てるアホ面


スーは笑顔


コイツらは影の中に一緒に入れるし魔物が来たら教えてくれる待機中のお供だ。毛布も枕も要らないしいい感じに寝れる。


簡単に食事を済ませ寝る。


「べろべろべろべろべろべろべろ。ガウッ!」


ベロが顔舐め回して起こしてくれる。


時間感覚はほぼないのでどのくらい寝たかは分からないが疲労感もないので起きて朝食を食べる。


そろそろリーダーだけ出してどうするか聞こうか。


出よ。リーーーダーーー!


「出るよ!クリスティー……。」


ビクンビクンしたカエルみたいな姿勢で出てきたリーダーを速攻アイテムボックスに戻したが、白い置き土産が地面に一雫あった。


何も見ていない2時間後に出そう。それがいい。


「んんっ!それじゃみんな今からボス戦だと思うんだけど、準備いいかな?」


リーダーと魔法使いのクリスティーナは頬の血色がお熱いことで。


準備満タンじゃないか。えぇ?コラ羨ましい。


そんな余裕も門に近づいて行くと一切なくなる。


皆ピリついている。


「作戦はいつも通り。リュックさんはボスなのでずっと僕の影に居て危ないと思ったらすぐに撤退してください。頼りにしています。っしゃ!行くぞっ!」


カッケェ、俺も女ならクリスってたかもなぁ。


アカン、気を緩めたら「ビシャッ!」ダメ?


影の視界が赤く染まる


気を緩めたとは言え警戒はしていた。何が起きた。


リーダーの耳が斬られる。


「大丈夫だ!上から来るぞ!」


流石A級リーダーだよ。上からくる攻撃避けるってどんな神経してんだよ。


俺も前ばっか見てたけど上みたら黒い何かがモゾモゾ動いている。


一匹ずつ落下してくる。


アサシンスパイダーだ。


クリスティーナが火炎魔法で焼き払う。


数が尋常じゃない。


中央にあるどデカい岩みたいなのも動き始める。


あーこれあかんやつだ。


キングスパイダーじゃないか。このデカさ。こんなのパーティじゃ倒せない。


「リーダー!キングスパイダーじゃないですか?こんなの無理です!応援呼びましょう!」


「キングスパイダー?んな化け物こんな所に居るわけないじゃないですか!せいぜいジャイアントスパイダーですよ!キングだったら少しだけ手合わせして帰りたいです!」


ジャイアントがこんなデカいわけないだろう。


A級ってこんな脳筋なのかよ。


「キングだったら少しでも情報を持って帰らなきゃ行けねーよな!任せんかい!」


戦士さんが言うならいいか。


ドデカ岩が落ちてくると同時に反転する。


デカいなって思った部分も体の10/1程度しかなく本来の体の大きさは山みたいだった。


目の前で爆発でも起きたのかと思うくらいの衝撃とアサシンスパイダーの死体が飛び散ってくる。


蜘蛛の糸を門に向けて出し出口を塞いだ。


「クイーンじゃないか……。やられた……これじゃ逃げられない。僕の人生これからなんだ!リュック!なんとか逃げれるだろ!俺らをアイテムボックスに入れろ!報酬は弾む!」


スパイダー系はメスの方が大きい。キングスパイダーを見たことはないが、これは絶対的にクイーンだ。


S級でも複数のパーティ合同で狩るレベルだ。


A級が勝てるわけない。


さっきの威勢はどうした?って言えないくらいの状況。


「おい!あれジャイアントとキング……他にも色々いるぞ。逃げよう!」


「門から出れないと逃げれない!それだけどうにかしてくれ!」


「使えねぇなぁああああ!さっさと俺らをアイテムボックスに入れろや!なんのために雇ってると思ってんだ!」


ダメだ。完全にパニクってる


「俺は火炎魔法使えない!だからクリスティーナさんやってくれ!」


バシュッ!


「ぎゃああああああああああああああああああああ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」


クイーンの一撃でクリスティーナさんの下半身が消える。


「テメェ!テメェのせいでクリスティーナが!さっさと出てこいや!」


弓使いが矢に火をつけて糸に放つ。


「落ち着け!リーダー!今は逃げることだけ考えろ!」


「俺がみんな守る!後退するぞ!」


「守れてねぇじゃねぇか!守れよ!クリスティーナを!」


「今はそれどころじゃない!甘えるな!」


「今ボックスに入れないのか!」


「ボックスに入れてもクイーンに影ごと吹き飛ばされてお終いだと思う!あと俺が死んだらボックス内から出れなくなるかもしれない!クリスティーナと僧侶は入れるぞ!」


「クリスティーナはもう……。」


「クソがああああああああああ!」


「糸に穴が出来た!くぐれ!」


「門から出たら俺がボックスに入れる!それまで持ち堪えてくれ!」


俺は影から出て先に糸の穴まで行く。


リーダーが最初に出てくる。


「よし!入「ガンッ!」」


盾で殴られる。


「テメェはここで死ねや!」


「バカ!何してんだ!」


「もういいだろ!あんなの仲間じゃねぇし!」


「命かけて救うほどじゃないわ!」


俺は意識朦朧としながらボス部屋に投げられる。


「助……けて……。」


ボヤッとする視界でみんなの後ろ姿が見える。


仲間じゃないか……。


何ヶ月も一緒に居たのに。


俺だってやれることはやりたかったけど、あの状況じゃなんも出来なかっただけだろ。


俺のせいかよ。


クソここで終われねぇ。


ボウガンを自然と構える。


こんなの意味ないのに。


出口より近い岩陰に隠れる。


テイムした魔物たちを出す。


「お前らも逃げろ。ありがとうな。」


みんなクイーンにビビってる。


アサシンスパイダーが俺の方にジリジリと迫ってくる。


ボウガンを打つが弾かれる。


「クソ!こうなりゃ全員俺のアイテムボックスにぶち込んでやらぁ!」


俺は注意を引きながらアイツらから遠ざける。


「アイテムボックス!アイテムボックス!アイテムボックス!」


もう何回言ったか分からない後どのくらい入るかも分からない


クイーンをアイテムボックスに入れれたらいいんだけど入るわけがない。


アイツらを逃がせればもうそれでいい。


「アイテムボックス!」


あ……入らない。これで終わりか。アイツらは逃げたかな。


「「「ガウガウガウ!」」」


アサシンスパイダーに飛びかかるウルフ3体。


体の大きさでは、間違いなくダークウルフの方がデカいが、ランク的には格下だ。3体でやっと1体と互角か下か。


「ケル!ベロ!スー!逃げろって!」


「「「ビビビビビッ!」」」


ビリビリゴブリンが角でアサシンスパイダーを威嚇してる。


「ゴン!ブン!リン!お前ら……。」


「「「ブーーーーーーン!」」」


クレイジービーが羽音と手に持つスピアーをブンブン振り回してやる気満々だ。


「クイン、レイ、ビイ……よっしゃあ!最後までやってやろうぜ!」


両手にナイフを構える。


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