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 俺の冒険、終わったかもしれねぇ。


『グランモス Lv.35』。


 え、俺まだレベル6なんだけど。

 なんかその辺に、ドえらいパルが歩いていた。

 緑の葉のような毛皮に、樹木の幹のような体。四つ足で歩く姿はまるでマンモスで、俺を5人くらい貫通しそうな巨大な牙がふたつ、ギラリと並んでいた。


 この世は弱肉強食。そしてここは大自然。

 『自然』というものは、必ずしも人間がクリアできるようにできてはいない。

 登山に死者がつき物なのと同じように。

 人の命など、路傍に転がる石のように簡単に転げ落ちる。


「(うひ~……)」


 果たしてこのような行為にどれほど意味があるのか分からないが、腰を落として、そろりそろりとやり過ごす。

 よしよし、あまり好戦的ではないようだ。

 下手に手出ししなければ攻撃してこないらしい。


 よし、まだまだ俺の冒険は続く。

 仕切り直しといこうか。


『荒ぶる双牙 グランモス Lv.38』


 あ、終わったかもしんない。

 さっきのグランモスは子供だったのかな? と思えるほどデカぁぁぁい。説明不要。

 おいおい、お前の広背筋はエベレストかよと。

 ぎょろ、とモコロンよりも大きな目玉を動かし、俺を見た。

 ああ、吹けば飛ぶ小物を見るような目だ。

 その辺の木や石を見て、いちいち「木や石があるな」と思わないのと同じように、こいつは俺のことなど眼中にない。

 そのおかげか。

 くるりと背を向けて、のしのしとどこかへ歩いて行った。

 マジで心臓に悪い。

 あんなのとは距離を開けて生きていきたい人生だね。


 歩いていると、「ペンタマ」という青いペンギンみたいなパルがいた。

 レベル3。オッケーです捕獲します。

 水と氷属性らしい。ついでに「パルの体液」と「氷結器官」というアイテムを入手した。後々使いそう。

 ついでに「ナエモチ」というレベル4の生意気なポムポムプ●ンみたいなやつがいたので捕獲する。こいつは木と地属性らしい。

 立て続けに「キツネビ」という赤いキツネがいたので、これも捕獲した。こいつは炎属性。ついでに入手した「革」と「発火器官」。これも何かに使えそうだな。


 ふぅ、戦闘ばっかでHPがちょっと減ったな。採取に切り替えるか。

 ピッケルを取り出し、まだ見たことのない光沢のある銅色の岩石に向かってピッケルを振りかぶる。


 ガキィ、ゴギ、ガギ、ゴギン。


『金属鉱石を入手、×1、×2、×3……』


 んん~、硬いな!

 まぁでも、スタミナは高速で回復するし、辛抱してれば全然余裕……。


「はぐっ!?」


 ずん、と急に体に測定不能な重力を覚え、その場に膝をつく。

 何だ?

 『重量オーバー』?

 体にかつて感じたことのないGを感じる。重い。かろうじて歩けるが、走れたもんじゃない。

 どうやら新しく取れたこの「金属鉱石」がバリクソ重いらしい。

 重いということはそれだけ価値のあるものってことか? 気合で持って帰ったほうがいいか?

 いやしかし、こんなに重いのは辛い。

 2、3個諦めてそこに捨てて、拠点に戻ることにした。


 件のグランモスをそろり足で抜けて、拠点に「木のチェスト」を作り、そこに金属鉱石をすべて格納する。現状ではこいつを加工するテクノロジーがない。

 うーん。取り合えずテクノロジーの解放と建築を進めていくかぁ。

 今度は「パルボックス」内にあるミッションをこなしくていく必要があるようだ。

 パルのための「わらのパルベッド」に「エサ箱」。それから「ベリー農園」に「パルギア製作台」に「力の石像」……。

 トンテンカンテン、と、ジッバニャンとモコモコと一緒に作業する。タマコッコ全然仕事しないんだけど。何あいつ。


 ブン、とふと視界の端が赤く点滅した。

 まるで危険を知らせるアラートのように、響く。


『襲撃! 人喰いパルの来襲』


 ……は?

 と顔を上げると、崖の上から『!』マークのエネミーが攻撃4体、こっちに近づいてくるのが見えた。

 襲撃、パル。

 強いパルが、来る?

 俺は逃げるよりも先に、作業台に向かい、パルスフィアを拵えていた。


皆さんの初襲撃なんでした?

僕は人喰いパル襲撃でした

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