ミーア帰郷する!
僕達はギルドからの依頼のワイバーンの討伐に向かったのだが、そこには3人の魔族がいた。ワイバーンは僕が討伐し、魔族はマギーとメアリーとミーアに任せた。3人ともかなり実力が上がっているようで、問題なく魔族達を討伐した。そして、山を下っていよいよミーアの故郷の街の近くまで来た。どうやらミーアは家族で港町ジャカルに行った際に攫われたらしい。しばらく歩いていると街が見えてきた。
「私、先に行くにゃ!」
ミーアが走り出した。よほど早く帰りたいのだろう。ミーアが街に帰ると、街の住人達はみんな驚いてミーアを見た。
「もしかしたら、あなた、ミーアちゃん?」
「そうにゃ!」
「あなた、今までどこにいたのよ?お父さんもお母さんもあなたのことを必死で探したのよ!早く家に帰ってあげなさい!」
「わかったにゃ!」
街の人達がミーアの後をついて行く。そして、ミーアが自分の家の前まで来た。母親らしき人物が庭で洗濯物を干していた。
「お母さん!」
「ミーア!あなた、ミーアなの?」
「お母さ~ん!」
ミーアは母親の胸に飛び込んだ。声を聞いた父親が慌てて家の中から飛び出してきた。下着のままだ。
「ミーア!ミーアなのか?」
「お父さ~ん!」
ミーアは父親と母親に抱かれてしばらく泣いていた。そして、そこに僕達が到着した。僕達は見物人達をかき分けてミーアのところまで行った。
「お父さん。お母さん。私、攫われたにゃ。アルベル大陸に連れていかれて必死に逃げたにゃ。」
「わかったわ。後は家の中で話を聞くわね。中に入りましょ。」
「その前に仲間を紹介するにゃ。」
「シンにギン。メアリーにマギーにゃん。一緒に旅をしてるにゃ。」
「そうかそうか。なら皆さんにも家に入ってもらおうか。」
僕達はミーアの家にお邪魔した。そこで、これまでのいきさつをミーアが両親に説明した。両親は真剣な顔でミーアの話を聞いている。
「それじゃあ、ミーアはその人攫い達を討伐したのか?」
「そうにゃ。みんなに協力してもらって討伐してきたにゃ。」
「あの小さかったミーアがな~。こんなに立派に育って、さぞかし苦労したんだろうな~。」
「最初は辛かったにゃ。それにすごく寂しかったにゃ。でも、孤児院のシスターも優しかったにゃ。シンとギン、それにメアリーと会ってからは毎日が楽しかったにゃ。みんなのおかげで人攫いに負けないほど強くなったにゃ!」
「そうか。良かったな~。いい友達ができて。」
「皆さん。ミーアのこと、本当にありがとうございました。なんとお礼を言っていいか。」
「別にお礼はいいですよ。ミーアは僕達の仲間ですから。」
僕達は両親に自己紹介をした。ミーアの父親はコラット、母親はソマリという名前のようだ。それからミーアは両親といろんなことを話していた。その間に僕達はミーアの家の庭で食事会の準備を始めた。
「ミーア。そろそろ食事の準備ができるよ。」
「わかったにゃ。」
家の中からミーアが両親と一緒に出てきた。あたり一帯には物凄く香ばしい匂いが立ち込めている。その匂いにつられたのか街の人達もやってきた。
「皆さんもどうぞ!召し上がってください。たくさんありますから。」
すると、街の人々が次々と声をかけてきた。
「今日はミーアちゃんが帰ってきたお祝いね!」
「そうだな~。それなら遠慮なくいただくよ。」
「そうだ!俺に家に旨い酒があるんだ!持ってくるぜ!」
「俺はテーブルを用意するぞ!」
「なら、私達も飲み物を用意するわね。」
なんか、いつの間にか本格的な宴会になってしまった。
「旨いな~!この肉は!何の肉だい?」
するとマギーが胸を張って自慢げに言った。
「これは私達が討伐してきたワイバーンの肉である!心して食べてくれ!」
すると会場は一気に静まり返った。
「えっ?!どうしたの?」
自慢げに言ったマギーは困ってしまったようだ。すると、コラットが聞いてきた。
「ワイバーンって、もしかして、あの山にいたワイバーンのことかい?」
僕も不安になりながら答えた。
「そうですけど。なにか?」
「あのワイバーンが来てから、この街でも何人も犠牲者が出たんだ。国王陛下にワイバーンの盗伐をお願いしていたんだが、つい先日から姿が見えなくなったんで不思議に思っていたんだが、まさかミーア達がそれを討伐していたのか。」
すると、ミーアが説明した。
「ワイバーンを操っていたのは魔族にゃ。魔族がワイバーンを集めてこの国を混乱させようとしていたにゃ!」
「魔族?魔族がいたのか?!」
「そうにゃ!魔族3人も私達が討伐したにゃ!」
「ま、まさ、まさか。それは本当なのか?」
今度はギンが前に出て言った。
「安心してください。もう魔族もワイバーンもいませんから。」
ワ————————!!!
一気に大歓声が上がった。街の人々が僕達に握手を求めてくる。なんか英雄のような扱いだ。その後、宴会は一気に盛り上がり、お腹いっぱい食べて終了となった。その日、僕達はミーアをおいて魔物の森の家に戻って休むことにした。
「シン君。ミーアはどうするかな~?」
「メアリー!もしかして、ミーアがもう一緒に旅をしないって思ってるの?」
「だって、両親と会えたんだもん。」
「そうですね。シン様。ミーアさんのことを考えると両親と一緒に暮らす方がよいかもしれませんね。」
「なによ!みんな!ミーアがいなくなってもいいってことなの!私は嫌よ!」
「マギー!人にはそれぞれどんな生き方をするか選ぶ権利があると思うんだ。僕達が決めることじゃないと思うよ。」
なんかマギーが下を向いてしまった。
「マギー!シン様と私が出会ったのも運命なのよ。あなたと出会ったのもね。でもね。別れるのも運命なのよ。私達にどうにかできることじゃないのよ。」
「わかってるわよ。そのくらい。でも、ミーアがいなくなるのが寂しいだけよ。」
僕はマギーを後ろから抱きしめた。
「マギーっていつもぶっきらぼうだけど、本当は優しんだよね。すごく。」
そして、その日はそれぞれの部屋でゆっくり寝て、翌朝、ミーアの家まで行った。




