懐かしの先輩
僕とギンとマギーは北大陸に行こうとしたが、メアリーとミーアも一緒に同行したいと言ってきたため、魔物の森で数か月にわたり訓練をした。そして、最終試験を行ったのだが、2人は見事に合格した。そこで、北大陸に行く前に一度王都オリントに戻ることにした。
「おお、帰ってきたか。それでどうであった。メアリーは成長したのか?」
「はい。お父様。シン君やギンさん、マギーちゃんのお陰で強くなれたと思います。」
「そうか。どのくらいの強さになったんだ?」
そこで僕がナダル伯爵に答えた。
「多分、数年前に僕が倒した魔族を倒すぐらいにはなれたと思います。」
「そ、そ、それは本当なのか?」
ナダル伯爵の驚き様は半端ではなかった。ナダル伯爵はメアリーを思いっきり抱きしめた。
「よく頑張ったな。メアリー。相当辛かっただろうに。」
「うんうん。だって、シン君と一緒に旅するためだもん。」
「メアリー。お前、それほどシン殿のことが・・・」
しばらく応接室で話をした後、僕達は北の大陸に向けて出発することにした。王都オリントを出て、2つ街を越えたところに港町ヤオズがある。そこから船で北の大陸まで行くのだ。僕とギンとマギーだけなら飛翔して行くことも可能だが、メアリーもミーアも飛翔できない。強くはなったが、飛翔や転移の魔法はまだ使えないのだ。
「あ~あ。飛んでいけば楽なのにね。」
「マギー。メアリーさんもミーアも飛翔できないんだから無理言わないの!」
「ごめんね。マギーちゃん。飛翔魔法覚えるようにするからね。」
「私も頑張るにゃ!」
「早く覚えてよ!ずっと歩いて行ったら時間がかかりすぎるんだからね!」
マギーはメアリーとミーアに圧力をかけて飛翔魔法を覚えさせたいようだ。なんか素直じゃないマギーが可愛く思えた。
「シン様。もうすぐ最初の街アルカンです。」
「どんな街なのかな~?」
するとメアリーが教えてくれた。
「アルカンは花の都よ。いろんな花がいっぱい咲いてるの。」
「そっかー!美味しいものがあるわけじゃないんだ~。」
「マギーにゃん。アルカンには美味しいものもあるにゃ!期待していいにゃ!」
「そうなの?やったー!」
「マギーは本当に食いしん坊なんだから!」
「まあ、いいじゃないか。ギン。僕もお腹空いてるし。」
僕達がアルカンに入ると通り沿いに街路樹が植えられ、さらに各家の前にはプランターにいろんな花が植えられていた。物凄くいい匂いだ。
「いい匂いね~。」
「なんか気持ちいいですね。シン様。」
「そうだね。この様子を見るとこの国も平和になったんだって思うよね。」
「そんなに酷かったの?」
「マギーちゃんは知らないかもしれないけど、貴族達の覇権争いがあったんですよ。」
「へ~。どの種族もどの国でも権力に執着する者達がいるのね。」
「そうにゃ!お金と権力に執着してるにゃ!」
僕達はオシャレなレストランに入った。店の中では貴族と平民が一緒に食事をしている。すると、店の奥から声をかけてくる者がいた。
「もしかして、シンか?」
誰だろうと思って見てみたが記憶にない。すると、声をかけてきた男性が自ら名乗ってきた。
「おい、おい。忘れたのか?ランボだよ。」
「ああ、ランボ先輩ですか?」
「そうさ。学園にいる時は迷惑をかけたね。でも、どうしてシンがここにいるんだい?この国に戻ってきたのかい?」
「いいえ。これからみんなで北の大陸に向かうんですよ。」
「そうかい。ミーア君の故郷にでも行くのかい?」
「それもありますけど。」
「なんか羨ましいな~。シンはいつも美女達に囲まれているじゃないか。それに、美女が増えてないかい?」
マギーもみんなも美女と言われて嬉しそうだ。だが、後ろから女性の怒鳴り声がした。
「ランボ!あなたまたナンパしてるの?いい加減にしなさい!」
「誤解だよ。ステラ!シンとギンだよ。」
後ろからやってきたのはステラ先輩だった。
「あら、本当ね。シン君、ギンさん。久しぶりね。」
「どうしてここにステラ先輩がいるんですか?」
「ここはノース公爵領よ。別におかしくないでしょ。」
「そうなんですか~。なら、なんでランボ先輩がノース公爵領にいるんですか?」
「それはだね~。僕がステラと結婚したからだよ。今の僕はランボ=ノースさ。」
「そうよ。私はノース家の一人娘なのよ。ランボはウエスト家の次男だからね。婿に来てもらったのよ。」
「そうだったんですか~。おめでとうございます。」
「ありがとう。あの魔族事件の後で公爵家が王城に集まってね。和解したのよ。それで全員で王家を支えることになったの。国民のためにね。」
「よかったです。もうアルベル王国も安泰ですね。」
「シン君とギンさんのお陰よ。ありがとう。」
「いいえ。僕達は別に何も。」
「今日は私達がご馳走するわ。遠慮なく何でも食べていいわよ。」
するとマギーとミーアがニコニコしながら僕を見た。
「ありがとうございます。では、遠慮なくそうさせていただきます。」
ランボ先輩とステラ先輩を交えてみんなで一緒に食事をした。周りの客達も公爵家の人間がいても普通の様子だ。僕達はこの国を離れてからのことを話した。ランボ先輩もステラ先輩も真剣な様子で聞いていた。
「シン君もギンさんも大変ね。魔族に狙われてるんだもんね。」
するとマギーがお茶らけて言った。
「余裕よ。シンもギンも最強だからね。」
「そうだったわね。」
食事をした後、僕達は再び北の大陸を目指して出発した。アルカンを出て森が広がっていた。ミーアとメアリーの訓練もかねて魔物を討伐しながらヤオズを目指している。アルカンの次の街シロヤツを過ぎた。いよいよ港町ヤオズだ。




