アラス王国のダンジョン(1)
僕達はアラス王国の魔素が濃くなった原因を探っているうちに古代遺跡を発見した。その中を調査すると、それはまだ発見されていないダンジョンだった。20階層まで進んだ僕達は21階層へと進んだ。
「この階層の魔物は何かしら。」
「先に進めばわかるよ。」
僕達の前に現れたのは巨大な昆虫の魔物だった。
「キャー!なんなの?」
「グリーンマンティスよ。」
「私、虫嫌い!」
「いいよ。僕がやるから。後ろに下がって。」
僕は背中の剣を抜いてグリーンマンティスに斬りかかった。グリーンマンティスも鋭い鎌で応戦してくる。だが、動きが遅い。僕は素早く体勢を低くして、下からグリーンマンティスを斬り裂いた。
「終わったよ。」
「ありがとう。でも、ここからはあんなのがうようよいるんでしょ。帰りた~い。」
「ダメよ!」
僕達が順調に25階層まで下っていくと、岩がごろごろしていた。少し不自然だ。
「気を付けて!あの岩、魔物だよ!」
「えっ?!だってただの岩じゃない。」
マギーが近づいていくと、いきなり岩が人型になってマギーにパンチを繰り出してきた。
「危ないわねー!」
「だからシン様が注意したじゃない!あれはストーンゴーレムよ。」
「ストーンゴーレムがいるとなると厄介だね。もしかしたらメタルゴーレムもいるかもしれないよ。」
今度はギンが剣を抜いて素早い動きでゴーレムに斬りかかる。ゴーレムの身体は固くて剣が役に立たない。だが、ギンの剣はゴーレムの関節を斬っていった。ゴーレムは手と足がバラバラ状態だ。最後にギンが頭に剣を突き刺すと、ゴーレムは光の粒子になって消えていった。
「ありがとう。ギンの戦い方が参考になるわ。」
その後現れたゴーレムはマギーが魔法で倒し、ギンと僕は剣で関節を攻撃して撃破した。
「シン。いよいよ30階層よ。ボスは何だと思う?虫は嫌よ!」
「虫だったら僕とギンが戦うよ。」
「ありがとう。頼むわね。」
そして、ボス部屋に入るとボスは僕が恐れていたメタルゴーレムだった。
「シン。あれがメタルゴーレム?」
「そうさ。僕も初めて見るよ。本の中でしか見たことないからね。」
「弱点はあるの?」
「ストーンゴーレムと違って関節の攻撃は効かないわ!」
「じゃあ、どうするのよ!ギン!剣の攻撃も効かないんでしょ?」
「2人とも下がってくれる?ちょっと試したいことがあるんだ。」
2人が僕からだいぶ離れた。そこで、僕は魔力を高めて魔法を発動する。
『フレイムラディエタ―』
すると僕の手から真っ赤に燃え上がる炎が勢いよく噴き出した。物凄い火力だ。そしてその炎が徐々に青白く変化していく。メタルゴーレムは堪らずに体を丸めてその炎から逃れようとするが、炎は容赦なくメタルゴーレムに襲い掛かる。メタルゴーレムが僕に向かって突進してきた。僕は素早く背中の剣を抜いて、メタルゴーレムを斬った。
バッキン
ドサッ
メタルゴーレムの身体は上下2つに分かれて光の粒子となって消えていった。
「やったわね。シン!」
「さすがです。シン様。」
「でも、どうして炎が青白くなったの?」
「温度が高くなると炎は青白くなるんだよ。」
「へ~。」
いよいよ31階層だ。
「このダンジョンってどこまで深いのよ!」
「それは分からないわ。」
「だって、もう何日目よ。ずっと穴の中にいたら気がおかしくなりそうよ。」
「確かにね。何日経ったか分からないのってヤダよね。僕もだんだん辛くなってきたよ。」
「シン様まで弱音を吐くんですか?もう少し頑張りましょうよ。」
「ごめん。ギン。なんか先が見えないのって辛いんだよ。でも、この国のためなんだから頑張るしかないさ。マギーも頑張ろうよ。」
「わかったわ。」
31階層からは爬虫類の魔物が中心だった。コブラスネイクやガラガラスネイク、アリゲータータートルやエレファントタートルがいた。
「なんか美味しそうなんだけど、光の粒子になっちゃうんだよな~。」
「いいじゃない。貴重な魔石が手に入るんだから。」
「でも、あのエレファントタートルなんか絶品なんだから!ジュル」
「マギー。よだれが出てるよ!」
そして40階層のボス部屋だ。扉を開けるとそこには2本足で立つ巨大なトカゲがいた。
「すごい牙と爪ね。あれに攻撃されたらひとたまりもないわ。マギー気を付けるのよ!」
「大丈夫よ。」
ギンが剣を抜いて斬りつけるが鋭い爪で弾き返された。今度はマギーが遠距離から攻撃を仕掛けようとしたが、逆に巨体を揺らしながらこちらに突っ込んできた。マギーは空中に舞い上がり、僕とギンは横にジャンプして避ける。
「あの巨体であの動き、こいつ相当強いよ。気を付けてギン!マギー!」
「はい。」
ギンがフェンリルの姿に戻った。マギーも背中から黒い翼を出している。本気モードだ。
今度は巨大トカゲが口から火を吐いた。かなり強烈だ。周りの岩がドロドロに溶けている。マギーが巨大トカゲに向けて魔法を発動した。
『シャドウアイビー』
すると太い蔓が天井や壁、地面から現れて巨大トカゲに絡みついて行く。それを見てギンが魔法を放った。
『アイスランス』
太い氷の槍が巨大トカゲに向かって飛んでいく。そして、身動きできないでいる巨大トカゲの腹を貫いた。巨大トカゲは光の粒子となって消えていった。
「やったわね!」
「シン!見た?私の魔法!すごかったでしょ!」
「そうだね。以前よりも大分強力になってると思うよ。」
「やっぱりね~。成長している証拠よ。」
ギンは微笑ましい目でマギーを見ていた。なんかギンがマギーの姉のような感じだ。
「シン様。41階層です。ちょっと休みませんか?」
「うん。休もうか。」
「ご飯!ご飯!ご飯!」
「わかったよ。本当にマギーは食いしん坊だね。」
僕達は食事をとった後、いつものように『クリーン』をかけて休むことにした。
「シンって本当に便利よね。」
「どうして?」
「だって、食事も用意してくれるし、身体もきれいにしてくれるでしょ。何よりもシンの結界があればこうして全員で寝ることもできるじゃない。」
「そうですね。シン様の結界を破れる魔物なんかいませんからね。」
「そうかな~。ドラゴンならわからないよ。」