魔族の100人隊長ギガン
僕達は謁見の間に行ったがそこには誰もいなかった。そして、大会議室、応接室とすべての部屋を確認して行った。
一方、オダナガ達はそれぞれが分散して女王ヒメミヤの捜索に当たっている。
「シズヒサ様。この部屋が怪しいです。私が突入しますので、後から来てください。」
タカモリが部屋に突入するとそこには魔族が2体で待ち伏せしていた。
「よく来たな。貴様ら人族ごとき我ら2人で皆殺しにしてくれようぞ!」
タカモリは腰の剣を抜いて魔族に斬りかかる。
チェスト―
今までなら魔力の鋭い爪で防がれていたが、今回は違う。タカモリの剣が魔族の爪を斬り落としたのだ。
ガッキン バキッ
「貴様よくもやりおったな。」
魔族達がタカモリに魔法で攻撃を仕掛けた。だが、シズヒサ配下の兵士達が盾を前に全員で防御する。そして、逆にシズヒサが自ら持つ魔剣を抜いて攻撃した。
『水鳥斬』
すると、魔剣が水色に輝き魔族の身体を2つに切り裂いた。魔族は光の粒子となってきえた。
「よくもやったな。仇は取らせてもらうぞ!」
魔族の魔力が黒い靄となって身体から放出される。構わずタカモリがその黒い靄を刀で斬りさきながら前に進む。
チェストー
そして、魔族の頭上に大きくジャンプして上段から力一杯に剣を振り下ろした。魔族は爪で防ごうとしたが、その鋭い爪ごと2つに斬った。
ギャー
ハーハ―ハー
「ご苦労であったな。タカモリ。」
「いいえ。まだです。まだ女王様を見つけておりません。」
「そうだな。みなの者!先に進むぞ!」
「ハッ」
その頃、オダナガもモリナリもタケノブもともに魔族と戦っていた。モリナリにはタカカゲ、モトハル、タカモトの3人がいる。だが、オダナガとタケノブには剣豪と呼ばれるものがいない。そこで、オダナガとタケノブは協力しながら進んでいる。
「シン様。みんなは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うよ。魔族の魔力がもう3体しか感じられないからね。」
すると、マギーが首をかしげている。
「シン。女王様の魔力とフジナガの魔力は感じないの?」
「そうなんだよ。以前も同じことがあったよね?」
「あったあった!100人隊長のラガンが魔力を隠ぺいしていた時でしょ!」
「多分、フジナガっていう魔族はラガンと同等以上の魔族なんだろうね。」
「なるほど、ならば私がフェンリルになって臭いで女王様の居場所を突き止めましょうか?」
「その必要はないさ。見てて。」
僕は城全体に浄化魔法をかけた。魔族の中には悲しみや憎悪の感情を使って、負のエネルギーに変換した魔素を吸収しているものが多い。ならば、城ごと浄化してしまえばいいのだ。
『プリファイ』
僕の身体から光が溢れ出た。辺り一帯には甘い香りが漂い始める。そして、城の中の瘴気がどんどん浄化されていく。地下から大きな地響きが聞こえ、城が大きく揺れた。
ゴ—— ドッドッド————
「いたよ!地下だ!」
「急ぎましょう!」
僕らが地下に行くと、地下には巨大な空間が広がっていた。そして、そこに頭から2本の角を生やし背中に真っ黒な翼を持った悪魔がいた。その隣には女王ヒメミヤと思われる人物がいる。
「シン様。どうしますか?このままではヒメミヤ様を巻き込んでしまいます。」
「僕が悪魔の相手をするから、その隙にヒメミヤ様を救い出してくれるかな?」
「はい。」
悪魔は僕達を睨み付けて言った。
「貴様がシンか?なるほどな。貴様の浄化魔法のおかげで元の姿に戻ってしまったわ!まあいい。」
「やはり魔族だったね。」
すると、マギーが指さして言った。
「あいつはギガンよ!」
「そうだ!久しぶりだな!堕天使族のマギーよ!俺様は魔族四天王の中で最強と言われているアルタイ様に、100人隊長を任されているビコラ様だ。」
「100人隊長ってあのラガンと同じよね。マギー!」
「そうよ。四天王にはそれぞれ部下がいるのよ。そのまとめ役が4人の100人隊長なのよ。」
するとギガンがにやりと笑った。
「シンとか言ったな!それだけの魔力があるなら、あのラガンが殺されたのも分かるぞ!だがな、俺様はあいつほど甘くないぞ!俺様は魔族四天王の中で最強と言われているアルタイ様の100人隊長だからな。」
「フジナガはすでに死んでいるのか?」
「当然だろう!」
「そうか。前国王もお前が殺したのか?」
「だったらどうする?」
「そうか。なら、ラガンと同じように無限地獄に送ってやるよ。」
「ハッハッハッ できるものならやってみるがいいさ。ただし、この娘がどうなっても知らないがな。」
ビコラは女王ヒメミヤの頭を掴んで持ち上げている。ヒメミヤは意識を失っているようだ。
「ギン!やるよ!」
「はい。」
僕は背中のマサムネを抜いた。そして、瞬間移動でギガンのところに行き、腕を斬り落とした。同じように瞬間移動で僕のところにきていたギンがヒメミヤを受け取り、再び瞬間移動でマギーのところまで離れた。
「なるほどな。やはり、お前達は人族ではないようだな。」
ギガンの身体から黒い霧が出て、それが鋭い刃物のようになって僕に襲い掛かった。瞬間移動でギガンから離れたが少し遅れたようだ。僕の手や足から血が流れた。
「あれを避けるか。これは久しぶりに戦いがいがある相手と出会えたな。」
さらにギガンは瞬間移動で僕との間合いを詰め、鋭い爪で攻撃してくる。僕はマサムネでそれを防いだ。
ガッキン
僕はギガンの右手の攻撃を受け止めている。そこにギガンは左手で魔法を放った。
『シャドウアイビー』
地面から無数の黒い蔦が現れ、僕に絡みつく。さらに魔法が放たれた。
『シャドウボンブ』
空中に黒い球体が次々と現れ、身動きできない僕に向かってくる。
バッーン ボッーン
黒い球体が爆発する寸前、僕は自らの身体に結界を張っていた。だが、完全に防ぎきれたわけではない。
グハッ