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神様修行の旅  作者: バーチ君
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モリナリの魔法を解除する!

 シズヒサの館で今後の対策を相談した後、僕達はモリナリの館に向かった。兵士達に気づかれないように3人で飛翔して向かったのだが、ボウボウと篝火が焚かれている場所まで来た。近くには武装した兵士達が大勢いる。どうやら、モリナリの館のようだ。僕達は兵士の少ない館の裏から侵入することにした。数人の兵士が見回りをしていたが、ギンとマギーで無力化した。そして、館に侵入した。



「お前達は何者だ?」


「モリナリ様ですよね?」


「わしの命を狙っているのか?」



 僕は魔眼でモリナリを見た。やはり、黒いものが見える。そこで、魔法を発動する。



『リリーブ』



 モリナリの身体から黒い靄が現れ、空中に霧散していく。そしてモリナリが意識を失った。異変に気が付いたのか、そこに身分の高そうな兵士達がやってきた。



「モリナリ様!」


「貴様ら、モリナリ様に何をした?」


「この人、魔族に操られていたから解除しただけですよ。」


「何をふざけたことを!」



 3人のうち2人が刀を抜いて構えたが、一人だけは冷静に見ていた。



「タカモト!タカカゲ!待て!」


「どうしたんだ?モトハル!」


「こ奴らから敵意を感じるか?」



 すると、タカモト、タカカゲが僕達を見た。そして、息を大きく吐いて刀を鞘に納めた。



「確かにこの者達からは敵意が感じられん。」


「では、この者達の話は本当なのか?」


「確かにあの温厚だったモリナリ様が代わられたのは事実だ。」



 すると、モリナリが目を覚ました。



「お主ら、そんな恰好で何をしておる?」


「モリナリ様。気が付かれましたか?ご無事で何よりです。」



 するとマギーがぼそっと言った。



「ご無事も何も今までが異常だったんだから!」



 すると、モリナリが僕達を見て聞いてきた。



「そなた達は何者だ?」


「モリナリ様は魔族に操られていたんですよ。」


「魔族に?」


「フジナガが魔族なんですよ。シズヒサ様も今は正常になりましたよ。」


「なんと、それは本当か?」



 するとギンが言った。



「嘘だと思うなら、ここ最近の状況をそこの3人に聞いてみればいい。」


「どうなんだ?モトハル!」


「ハッ。タケノブ様がトクヤス様を滅ぼし、オダナガ様がイマモト様を滅ぼしてございます。私どももシズヒサ様と戦争となっておりました。」



 すると、すべてを悟ったのかモリナリは深い溜息を吐いた。



ハ~



「僕達はこの国を平和にしたいと願っているんですよ。今、タケノブ様とオダナガ様が戦争をしています。タカモリ様の話を聞く限り、サルという人物とヤマカンという人物も魔族の可能性があるようですよ。」


「この国はどうなっているんだ!すでに魔族に乗っ取られておるのか!ならば、わしも軍を率いて魔族の討伐に向かうぞ!」



 すると、タカカゲが勇ましく答えた。



「モリナリ様。すぐに出立の用意をします。タカモト!モトハル!俺は兵士達に伝えてくる!モリナリ様を頼む!」


「ちょっと待ってください。」


「何故だ?」


「魔族の討伐は僕達3人でやります。だから、僕達が魔族を討伐したら、モリナリ様はシズヒサ様と王城に向かって欲しいんです。恐らくヒメミヤ王女殿下も操られているでしょうから。」


「わかった。だが、そなた達3人だけで魔族を討伐できるのか?」


「すでに2度討伐してますから。」


「それは本当か?」


「そうよ!100人隊長のラガンだってシンが討伐したんだから!」


「な、なんと!魔族の100人隊長といえば、兵士3000人に相当する強さと聞くが。」



 すると、ギンが一言言った。



「シン様なら、恐らくこの国を消滅させられますよ。」

 


 モリナリ以下、タカモト、モトハル、タカカゲは驚きすぎて口を開けたまま固まってしまった。



「大丈夫ですよ。そんなことしませんから。それより、これから僕達はオダナガ様とタケノブ様が戦っている場所に向かいますね。」


「わかり申した。では、我らは連絡を待つこととしよう。」



 僕達は表から館を出た。兵士達が驚いた顔でこちらを見ている。それもそのはずだ。モリナリ、タカモト、モトハル、タカカゲが揃って見送りに来ているのだから。



「じゃあ、行ってきますね。」



 僕達は上空に舞い上がった。恐らく下ではまた驚いていることだろう。人が空を飛ぶなんてありえないだろうから。



「シン様。ひとまず休みませんか?」


「そうだよね。僕も少し疲れたよ。」


「なら、次に見えた街に寄ろうよ。」


「そうしようか。」



 僕達はしばらく森の上空を飛翔していたが、森を抜けるとそこには小さな街が見えてきた。どうやら、オダナガ領の街のようだ。



「街だ~!」


「降りるよ。」



 僕達は地上に舞い降りて街に入った。すると街の中は物凄く不自然な状況だった。若い男性がいないのだ。街にいる男は子どもか年寄り達だけだったのだ。



「すみませ~ん。今日、泊まりたいんですけど。」


「お客かい?珍しいね~。何人だい?」


「3人です。」


「なら、銀貨15枚よ。」



 僕達はお金を払って食堂でご飯を食べることにした。料理が出てくるまでに女将に聞いてみた。



「この街の男性はどうしたんですか?」


「ああ、男達はみんな兵士にされちまったよ。おかげで、この店も私達女だけで運営しているのさ。」


 

厨房の方を覗いてみると、女性が2人ほどいた。



「なるほど、大変ですね。」



 その後で出来てきた料理はあまりにも貧疎なものだった。



「ごめんなさいね。こんな料理で。領主様に食料を徴収されてしまってまともな料理を出せないのよ。」


「いいですよ。食べられるだけで幸せですから。」


「ありがとうね。でも、いつまで続くのかしらね。早く戦争なんて終わって欲しいんだけどね。アッ!」



 女将は慌てて口に手を当てた。恐らく領主批判のようなことを口にしたことがばれれば、罰を与えられるかもしれないのだ。


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