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神様修行の旅  作者: バーチ君
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戦乱の国ジパン

 ジパンの王都に行くために、地図を手に入れようと冒険者ギルドにやってきた。すると、甲冑を着た兵士とギルドマスターが言い争いをしていた。しばらく様子を見ていると、兵士達は捨て台詞をはいてギルドから出ていった。そこで、僕達は受付に声をかけることにした。



「あの~。ちょっといいですか?」


「あ、はい。何でしょうか?」


「僕達旅をしているんですけど、この国の地図ってありますか?」


「ごめんなさいね。この国に地図はないのよ。」


「どうしてですか?」



 すると、ギルドマスターが教えてくれた。



「この国はな、今、戦時中なんだ。平民の俺達にしたらいい迷惑なんだけどな。だから、地図のような物は戦略の道具に使われるから発行が禁止されているのさ。」


「そうなんですね。」



 ギルドマスターが僕達を見た。そして、首を捻って声をかけてきた。



「お前達はどこから来たんだ?」


「ナルシア王国ですよ。なにか?」


「そうか。ちょっと俺の部屋まで来いや。」



 僕達はギルマスの部屋に行った。



「お前達、名前は?」


「僕はシンです。こっちはギンとマギーです。」


「そうか。俺はハンゾウだ。この国のギルドマスターの統括をしているんだ。」


「そうなんですか~。普通、各国のギルドマスターの統括は王都にいるもんだと思っていましたけど。」


「さっきも言ったが、この国は混乱のさなかにあるんだ。ギルドは中立でなければいけないのに、どこのギルドも領主の圧力に屈してしまっているのさ。だが、このサカイシティーのギルドだけは誰の支配も受けないがな。」


「なんか大変な時に来ちゃったな~。」


「そうですね。」



 すると、ハンゾウが言った。



「お前達が来たのは偶然ではないような気がするぞ。」


「どういう意味ですか?」


「自分の胸に手を当てて考えてみろ!お前達からは強者の匂いがプンプンするぜ!只者ではあるまい。それに、その刀はどこで手に入れたんだ?」


「この街の武器屋から購入したばかりですよ。」


「やはりな。トウジュウロウの店だな。すると、その刀は名刀マサムネだろ?誰も使いこなせなかった刀だ。その刀がお前の背中にあるのは一体どうしてだ?」


「・・・・・」


「まあ、いい。俺が今からこの国の現状を説明してやるから、覚えておいた方がいいぞ。この戦乱に巻き込まれないようにな。」



 ハンゾウの話によると王都キウトには国王がいるようだが、オダナガ、モリナリ、シズヒサ、タケノブ、トクヤス、イマモトという大領主がそれぞれの権力を伸ばそうと争っているらしい。本来は全員が国王に忠誠を誓っていたのだが、1年前のある日、フジナガという人物が宰相になってから突然争いを始めたようだ。



「わかりました。とりあえず、王都キウトに行ってみます。」


「そうか。気を付けて行けよ。まあ、お主達ならよほどのことがない限り問題ないだろうがな。これを持っていけ。」


「もしかして、これ地図じゃないですか?」


「ああ、そうだ。本来、地図はご禁制の品だから見つかるなよ。」


「ありがとうございます。」



 僕はハンゾウの言葉を聞いて心に誓った。もう二度と油断しない。あの時の悲しみは僕の心に強く刻まれているのだから。



「シン様。ハンゾウさんがくれた地図によれば、最初はコシマシティーです。シズヒサという人物の領地のようです。」


「ギン。どのくらいかかりそうなのよ。」


「そうね~。徒歩で1日もあれば着きそうね。」



 僕達はコシマシティーに向けて歩き始めた。途中に大きな火山があった。火山からは噴煙が上がっている。



「あの山が噴火したら結構被害が出そうですね。」


「確かにね。」



 僕達の横を甲冑を着た人達が馬に乗って走り抜けていく。その後ろからは人々が走ってついて行く。



「どうしたのかしら?戦争でも始まるのかしらね?」



 僕達がコシマシティーに到着すると街の中は騒然としていた。まさに戦争の準備の真っ最中だ。僕達は宿を探したがどこも閉まっている。仕方がないので明かりのついている食堂で食事をすることにした。



「おい、聞いたか?」


「いよいよ始まるらしいんだろ!」


「ああ、そうだ。いい迷惑だよな~。」


「相手はやはりオダナガか?」


「そうらしいぜ!」


「なら、もうシズヒサ様も終わりだな。」



 他のお客の話が聞こえてきた。どうやら本当に戦争が始まるようだ。



「どうするんですか?シン様。」


「どうにか止めたいけど。」



 するとマギーから過激な発言が飛び出した。

 


「いっそのこと、そのシズヒサっていうのとオダナガっていうのを殺しちゃえばいいんじゃない?」


「ダメだよ。マギー。そんな簡単な話じゃないよ。」


「なら、どうするのよ。」


「分からないよ。だから、困ってるんだろ。」


「シン様。シズヒサという人物に会ってみませんか?」


「やっぱりそれしかないかな~。」



 僕達は夕食を食べた後、ざわついている街を領主の館に向かって歩き始めた。すれ違う兵士達が不思議そうに僕達を見ている。そして、位の高そうな男が兵士達を連れてやってきた。



「おい!お前達!どこに行くつもりだ?」


「領主さんに会いに行くつもりだけど。」


「なんだと~。怪しい奴らだ。捕らえよ!」


「ハッ」



 兵士達が僕達を取り囲んだ。ギンもマギーも剣に手がかかっている。



「ダメだよ。マギーもギンも。僕達は戦いに行くんじゃないんだから。」


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