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神様修行の旅  作者: バーチ君
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キッドの正体

 僕達3人は温泉の街サワイシティーを出て、王都の手前のボルトンシティーに到着したが、どこの宿屋もいっぱいで開いていなかった。そこで、宿屋を紹介してもらおうとギルドに行ったのだが。そこでキッドと名乗るSランク冒険者に話しかけられた。どうやら、キッドという名前は偽名らしいが、僕達は彼の紹介で宿に泊まった。



「おい!ギン!マギー!朝だよ!」



 ギンは目を覚ますとパッと僕から離れた。



「申し訳ありません。シン様。」



 するとマギーが横から言ってきた。



「ギンも大胆になったものね。シンが寝てる間に抱き着くなんてね。」


「そ、そんなつもりじゃ・・・・」



 ギンは真っ赤になっている。



「どうでもいいけどさ~。毎回毎回僕のお腹に足をのせるのはやめてくれるかい?マギー。」


「えっ?!」



 マギーも真っ赤になって足をどけた。



「2人とも寝相が悪すぎだよ。今度からベッドを別にしてもらおうかな~。」


「だ、大丈夫です!シン様。これから気を付けますので!」


「そ、そうよ!なにもベッドを別にする必要なんてないでしょ!」


「わかったよ。もう。早く用意しようよ。多分、キッドが待ってるよ。」



 僕の言った通りキッドが食堂で待っていた。朝食を取った後、僕達は王都カサンドラに向けて出発した。



「シン君とギンさんはアルベル王国から来たんだよね?」


「えっ?!何で知ってるんですか?」


 

 すると、キッドは焦ったように答えた。



「昨日、言ってたじゃないか?」


「そうでしたっけ?」


「まぁ、それは置いといてだね。シン君に聞きたいんだけど。」


「何ですか?」


「君にとって大事なものは何だい?」



 この問いにはギンもマギーも関心があるようで、僕が何と答えるかじっと僕を見ていた。



「そうですね~。まずは身近な人達ですね。次に、平和かな~。」



 ギンもマギーも嬉しそうだ。



「ハッハッハッ 君は正直だね。そうだよね。まずは身近な人達だよね。でも、その身近な人達が誰かに不幸にされそうだったらどうする?」


「その相手を排除すると思いますよ。」


「排除って?殺すってこと?」


「どうしようもない時はそうなるでしょうね。でも、あまり命を奪いたくないんですよ。」


「どうしてだい?」


「だって、産まれてきたってことは何かやるべきことがあったからでしょ?それを途中で奪う権利は僕にはないですからね。」


「シン君は何歳なんだ?失礼だが子どもの発想じゃないよね。」



 するとギンがニコニコしながら答えた。



「キッドさん。私達は旅の友でしょ。お互いに踏み込まないようにしましょ。」


「そうだね。これは失礼した。ハッハッハッ」



“ありがとう。ギン。”


“いいえ。大丈夫です。”



 そんな話をしながら歩いていると、うす暗い森に差し掛かった。



「シン君。ここから先は気を付けてくれたまえ。魔物が出てくるかもしれないからね。」



 確かに僕の魔力感知に魔物の反応がある。それもかなりの数だ。



「キッドさん。この国って魔物が多いし、強いものがいるけどどうしてなんですか?」


「わからないんだ。数年前までは普通だったんだけど、ここ最近オークなんかハイオークに進化したりしてるようなんだよ。」


「確か魔物の進化って魔素が関係してるんですよね?」



 するとマギーが説明を始めた。



「確かに魔素が濃くなると魔物は強くなるわ。それに数も増えるわよ。でも、普通は魔素が濃くなったり薄くなったりなんてしないけどね。」


「シン様。お母様から聞いたことがあります。魔族の国とこの大陸を繋ぐ空間トンネルがあると言っていました。」


「どういうこと?」



 するとマギーが小さな声で言った。



「魔族の大陸は濃い魔素で覆われているのよ。だから、魔族の大陸からこの国に大量の魔素を送り込んでいるってことよ。」



 すると、キッドが不思議そうな顔をしていた。



「2人ともなんでそんなこと知ってるんだろうね。なんか気になるな~。」



 2人のことはともかくとして、そのトンネルを塞がないと魔素が流れ続けることになってしまう。



「そのトンネルがどこにあるのか知ってる?」



 マギーが横を向いて不自然だ。恐らく、魔族のマギーなら知っているかもしれない。後で確認することにして、僕達は王都へ向かった。



「そろそろ王都に着くよ。王都に着いたら僕の家に来ないかい?」



 キッドが何かを隠しているのは明らかだ。だが、僕達に敵意がないのも事実だ。どうしようかと考えていると、ギンが答えた。



「私達は冒険者ギルドに行きますから。大丈夫です。そこで宿を聞きますので。」


「そうかい。でも、もっと君達と話がしたいんだよね。特にSランクのシン君とギンさんにはね。」


「えっ?!Sランク?シンとギンが?」



 キッドは僕達がアルベル王国から来たことも、Sランクであることも知っている。つまり、僕とギンのことを調べていることは間違いない。もしかしたら、ボルトンシティーであったのも偶然ではなく、僕達を待ち伏せしていたのかもしれない。



「キッドさん。あなた何者なんですか?どうして僕達のことを調べてるんですか?」



 ギンが剣に手をかけている。



「待ってくれよ。別に僕は君達の敵じゃないから。嘘をついていたことは謝るよ。」


「ギン。大丈夫だよ。」


「はい。シン様。」


 

 ギンが剣から手を離した。そして、キッドが話し始めた。



「僕はこの国の第1王子のウイリアムさ。でも、Sランクの冒険者だっていうのは本当だよ。君達のことをアプルシティーのパリスに聞いたのさ。アルベル王国の英雄がこの国に来てるってね。」


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