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神様修行の旅  作者: バーチ君
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魔族の少女マギー登場!

 馬車から降りてみると、王都オリントのように高い石の壁に囲まれていた。そして、冒険者カードを見せて街の中に入ると、まるで王都のような賑わいだった。



「ありがとうございました。」


「いいさ。気をつけてな。」


「はい。」



 僕達は農家の主人と別れた後、冒険者ギルドに向かった。取り合えず宿を確保するためだ。それにしても、賑やかだ。街のいたるところに大道芸人までいる。屋台も連なるように並んでいる。もしかしたらお祭りかもしれないと思ったほどだ。



「シン様。あそこのようですが。」



カランカラン



 僕達がギルドに入るとそこには冒険者の男女が酒を飲んだり、料理を食べたりしていた。



「何か用かな?」


「はい。宿を探してるんですけど。」


「なら、冒険者カードを見せて。」


「シン君とギンさんね。私はリリカよ。よろしくね。高いけど料理がおいしい宿と、安いけど料理がいまいちの宿があるけどどっちがいい?」



 リリカが話をしている間、僕はギルド内で気になる人物を観察していた。



「どうしたんですか?シン様。」


「いいや。何でもないさ。」



 僕達はギルドを出た。そして、街を歩きながらギンに話した。



「ギルドに気になる少女がいたんだけど気が付いた?」


「いいえ。何も気が付きませんでした。」


「気のせいかな~。なんかこの前会った魔族に近い魔力を感じたんだけど。」


「魔族ですか?」


「そうさ。でも、魔族がこんな街中にいるわけないよね?」



 そんな話をしていると、建物の影から頭に三角帽子をかぶった少女が顔を出した。



「ウワッ」


「驚いた~?」



 ギンが僕の前に出た。



「何するの?失礼じゃないですか!」


「そっちの少年の方が失礼よ。ずっと私を観察してたでしょ?もしかして、私に興味があるのかしら?私もあなたのような美少年なら大歓迎よ。」



 僕は意識を目に集めて少女を見た。以前の魔族のようにどす黒い魔力ではない。だが、明らかに人間の魔力とも違う。



「あらあら、あなた、もしかして魔眼が使えるの?そうよ。大きい声では言えないけど、私は魔族よ。でも、安心して。悪い魔族じゃないから。」


「どうしますか?シン様。」


「確かにこの少女からは邪悪なものは感じないよ。」


「そうですか。」



 ギンが剣から手を離した。



「やっぱりね。あなた達も人族じゃないわよね?」


「僕は人族だけど。」


「うそうそ!あなたの魔力は異常だわ!とても人族のものと思えないわ。」



 ここで話をしていてもしょうがない。僕達は宿屋に行くことにした。紹介された宿屋は少し高いが料理が美味しいという店だった。店の名前は『バルカンハウス』だ。取り合えず、お金を払って1部屋を確保して、3人で部屋に行った。



「ちょっと待ってて。」



 魔族の女の子が部屋に結界を張ったようだ。



「これで誰にも聞こえないわ。私はマギーよ。」


「僕はシン。」


「私はギンよ。」


「それで、僕達に話があるんだろ?」


「そうよ。実は魔族の国から出てきて誰も友人がいないのよね~。良かったら一緒に旅したいなって思ったのよ。」



 すると、ギンが猛烈な勢いで反対した。



「どうして私とシン様があなたと旅をしなければいけないんですか?」


「そんなに目くじらを立てないでよ。私は別にそっちの美少年を取ろうなんて思ってないからさ。」



 ギンの顔が赤くなった。



「私は別に・・・シン様と私はそういう関係ではありませんから!」


「なら、私がそっちの美少年を誘惑してもいいってことね?」


「ダメに決まってるでしょ!」


「ほら、やっぱり!」



 このままでは埒が明かないのでズバリ聞いた。



「どうして魔族の君が僕達と旅をしたいのさ。」


「あなたアルベル王国でジニートを倒したわよね?」


「ジニート?」


「そうよ。魔族よ。」



 なんか僕達のことが知られている。でも、どこまで知っているかは全く不明だ。



「だったら?」


「あなた達も馬鹿なことしたもんね。魔族の幹部連中はあなた達の命を狙っているわよ。」


「それが、君との旅とどう関係してるんだ?」


「私と協力しない?私は魔族の中でも平和主義者なのよ。誰が好き好んで戦争なんかしたいもんですか?私はまっぴらごめんだわ。そこで、ジニートを倒したあなた達となら手を組んでもいいと思ったのよ。」



 僕の魔眼にもマギーが嘘をついていないことはわかる。



「わかったよ。でも、しばらくの間だよ。ずっとていうのは無理だから。」


「えっ——————!!!」


「僕達にもやりたいことがあるからね。」


「ふ~ん。」



 マギーは一旦部屋から出て行った。今の宿屋を引き払って、僕達の部屋の隣に越してくるようだ。



「いいんですか?シン様。」


「なんか事情がありそうだよね。あのマギーって子、強がってるけど恐怖心と悲しみで胸がいっぱい状態だったよ。」


「そうなんですか?」


「間違いないよ。」


「シン様はそこまでわかるんですか?」



 ギンに言われて気が付いた。やっぱり僕は成長している。今までの僕なら魔眼はおろか、相手の感情を読み取るなんてできなかった。本当に僕は何者なんだろう?


 翌日から僕とギンとマギーの生活が始まった。



「今日は何するの?」


「この街には特に問題がなさそうなんで、今日一日街を散策したら明日には王都カサンドラに向かうつもりだけど。」


「ふ~ん。」


「マギーはどこか行きたいところでもあるの?」


「別にないわよ。それより、もうこの街は飽きたわ。次の街に行きましょうよ。」


「でも、僕達は昨日来たばかりで、まだ街を見てないからね。」


「わかったわ。」


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