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神様修行の旅  作者: バーチ君
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アプルシティーの闇

 アルベル王国を出た後、僕達は魔物の森を通ってナルシア王国に入った。ナルシア王国での最初の街アプルシティーに立ち寄った僕達は、この国のお金を手に入れるため冒険者ギルドで魔物を買い取ってもらった。そして、冒険者ギルドを出たところで後をつけてくる人達に気が付いた。



「どうしますか?シン様。」


「ちょっと話してみるよ。」



 僕が振り向いて近づいて行ったものだから、後を付けていた冒険者達は慌てたようだ。



「き、貴様!なんでわかった?」


「なんでって。バレバレだったじゃないですか?」


「なにを~!」



 すると、体格のいい男が僕の前に出た。



「ここじゃ話もできないだろ?ちょっとこっちに来いや。」



 男達に言われるまま、僕とギンは遅い路地を通って人気のない場所に来た。すると、いきなり前を歩いていた男が殴りかかってきた。僕は咄嗟にそれを避けた。



「何するんですか~?」


「うるせ~!ギルドでもらった金を出しな!怪我したくねぇだろ!」


「もしかして、冒険者達の報酬を狙う人達ってあなた達のことですか?」


「だったらどうするんだ!早く金を出せ!」


「あなた達も冒険者なんでしょ?」


「ああ、そうさ!だがな~。魔物の討伐なんぞ、命がいくつあっても足りねえからな。命を張って魔物の討伐するよりも、こっちの方が確実なんだよ!」



 すると、ギンの我慢が限界に来たようだ。



「お前達は人間の屑だ!許さない!」


「そうか。なら、可愛そうだが、こうするしかなさそうだな。」



 3人ほどいる男達が腰の剣を抜いた。そして、僕達に身構えた。



「シン様。こいつらは痛い思いをさせた方がよいようです。」


「そうだね。でも、命は取らないでね。捕まえてギルドに引き渡すから。」


「はい。」



 僕達の会話が聞こえたようだ。男達が真っ赤な顔をして怒っている。そして、斬りかかってきた。僕もギンも剣は抜かない。相手を殺してしまう可能性があるからだ。斬りかかってきた男達の腹や顔に拳をお見舞いする。



バキッ ボコッ 



グハッ ゴボッ



 3人とも意識を失ったようだ。僕達は3人をロープで縛った。そして、3人を起こしてギルドへと連行した。



「あらっ!どうしたの?シン君!」


「さっきアンナさんが言っていた僕の報酬を狙った盗賊達です。」


「あなた達はサボにゴンにデリーじゃない!」


「恐らく、今までもこいつらが冒険者の報酬を強奪していたんだと思いますよ。」


「そうなのね。ちょっと待ってて。」



 アンナが2階に上がっていった。すると2階からギルマスらしき男がやってきた。



「お前がシンか?俺はギルドマスターのパリスだ。感謝するぞ!良く捕まえてくれたな。こいつらはこっちで警備兵に引き渡しておく。これは報酬だ。受け取ってくれ。」



 僕はパリスから金貨3枚を受け取った。そして、ギンと一緒に宿屋を探すことにした。街を歩いていると、人相の良くない男達が目につく。



「シン様。この街の雰囲気が異様に感じますが。」


「そうだね。なんか街の人達の表情も硬いよね。」



 すると、男の子が僕達に声をかけてきた。



「お兄さん達。この街の人じゃないでしょ?」


「まあね。」


「泊まる場所決まっているの?」


「まだだよ。」


「なら、うちの宿に泊まってくれよ!ご飯、美味しいからさ。」



 どうやらこの男の子は旅人に声をかけているようだ。



「いいよ。君の宿はどこだい?」


「ありがとう。案内するよ。」



 僕とギンは男の子について行った。街の中心から少し歩いたところに宿屋があった。



「ここだよ。」



 『ファミリーハウス』と書かれた看板があった。僕とギンは男の子について宿に入って行った。



「母ちゃん。お客さんを連れてきたよ!」


「あっ、いらっしゃい。2人かい?」


「はい。」


「部屋は1部屋かい?2部屋かい?」



 するとギンが答えた。



「1部屋でお願いします。」


「そうかい。なら、2食付きで1人銀貨5枚だよ。」



 僕はギルドでもらった報酬からお金を支払った。そして、部屋に案内されて行ってみると意外に部屋が広かった。ベッドも2人が寝るのに十分な大きさがある。僕達は部屋で少し休んだ後、食事をしようと下の食堂に降りて行った。すると、お客で一杯だった。



「ああ、悪いねぇ。ここに座ってくれるかい。」


「はい。それにしてもお客さんが多いですね?」


「この人達は冒険者なんだよ。別に宿泊客じゃないんだけどね。」


「女将さん、ひでぇな!オレたちゃ、ここの飯がうまくて毎日来てるんだぜ!」


「そうかいそうかい。」



 すると、厨房の中からかなりガタイのいい男性が出てきた。



「おお、お前達、景気がよさそうだな~。」


「聞いてくれよ!ギンジさん。」


「どうしたんだ?」


「今日、例の冒険者を狙った連中が捕まったんだよ。そしたら、犯人はなんとサボとゴンとデリーだったんだぜ!」


「あいつらか。あいつらは流れ者だからな。そのくらいのことはやりかねねぇだろうな。」


「だけどよ~。俺、あいつらがちょくちょく代官の館に出入りしているのを見たぜ!」


「それ、本当か~?見間違いじゃないのか?」


「そんなわけねぇだろ!1㎞先の魔物だって見つけられるんだぜ!」


「お前がか?!」


「まあ、1㎞は大げさだったけどな。でも、間違いなかったぜ。」


「ギンジさん。最近、人相の悪い連中が増えてるのも関係あるのかな~。なんか、あいつらやたらとはばきかせやがって、オリャ気に食わねぇんだがよ。」


「そういや俺、噂聞いたことあるぜ!」


「どんな噂だ?」


「なんかよ~。ロベルトシティーをねぐらにしていた盗賊どもがいなくなったって話だよ。」


「ロベルトシティーっていえば、今の代官の出身地じゃねぇのか?」


「ああ、そうだ。」


「なんか、やばいことにならなけりゃいいんだけどな~。」


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