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神様修行の旅  作者: バーチ君
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ナルシア王国へ旅立つ

 突然現れた魔族を倒したが、僕の能力もギンの正体も生徒や先生達にばれてしまった。ナザル伯爵にも学園長にも言っていた通り、僕はアルベル王国を離れることを決意した。



「シン様。本当に良かったのですか?」


「何が?」


「メアリー様やミーアさん達と別れてしまって!」


「仕方ないよ。」


「でも、これからどうするんですか?」


「旅に出ようよ。他の国にも行ってみたいじゃん。」


「そうですね。なら、また2人でのんびりと出かけましょうか。」



 僕とギンは一旦魔物の森にある家に戻って、これからのことを相談した。この森を逆に進めば、アルベル王国の隣国のナルシア王国がある。僕達はそこを目指すことにした。この森は王都オリントの方向にはそれほど広くなかったが、いざ逆の南に進むととてつもなく広かった。当然魔物の種類も数も多い。見たことのない魔物達もいた。人に害のある魔物は討伐して、人に害のないものは無視して進むことにした。



「それにしても広いですね?もう7日は歩いていますよ。」


「仕方ないよ。でも、いろんな魔物や動物がいて訓練にはなるけどね。」


「シン様に訓練は必要ないんじゃないですか?」


「ダメだよ。これから魔族に狙われるんだから、ギンも油断は大敵だよ。」


「はい。」



 何故かアルベル王国の魔族襲来事件以来、ギンは人型になる時は僕の手を繋いでくる。今も手を繋いで一緒に歩いている。



「ギン。以前のようにフェンリルの姿になってくれるか?」


「どうしてですか?」


「ギンに乗って行った方が早い気がする。」



 すると、ギンが珍しく拒んだ。



「ダメです。訓練なんですから。」


「だって、今、訓練は必要ないっていったじゃん。」



 ギンがもじもじしながら言った。



「ですが、フェンリルになったらシン様と手を繋げないですから。」


「でも、これからもずっと一緒なんだよ。」


「そうですね。わかりました。では、背中に乗ってください。」



 ギンがフェンリルの姿になったので、僕は背中に乗った。そして、一気に森を駆け抜ける。木々の間を物凄い速さで通り抜けていく。ここまで7日かかったが、ギンに乗ってからわずか1日で森を抜けた。



「やっぱり、ギンは凄いよ。」


「ありがとうございます。」



 森を抜けたところで、ギンが少女の姿に戻った。小高い丘のような場所から見下ろすと、5㎞ほど行ったあたりに街のような物が見えた。



「行こうか。ギン。」


「はい。」



 僕達は街に向かって歩いていく。途中から、畑や果樹園が広がっていた。時折、畑や果樹園で作業している人達もいる。森の方向からくる人が珍しいのか、僕達を不思議そうに見ている。そして街の入り口までくると、『アプルシティー』と書いてあった。街に入ってみると、アルベル王国の街とさほど違いはない。それなりに人もいるし店もある。



「シン様。どうしますか?」


「確か冒険者ギルドは世界共通なんだよね?」


「はい。そのように言ってました。」


「なら、冒険者ギルドに行って素材を売ろうか?お金が欲しいしね。」


「ですが、冒険者カードを見せると問題になりませんか?」


「どうして?」


「シン様も私もSランクになっていますので。」



 確かにギンの言う通りだ。まだ、13歳の僕がSランクなのはおかしい。そこで、偽装魔法をかけることにした。



「ほら、これなら問題ないでしょ。」



 僕達の冒険者カードのランクがDランクになっていた。



「確かに、これなら怪しまれないと思います。」



 僕達は冒険者ギルドを探しながら街を歩いた。ここで、ある事に気が付いた。



「ねぇ、ギン。この国にはエルフや獣人族がいないのかな~?」


「そういえば見かけないですね。きっと田舎の街だからですよ。」


「そうなのかな~。」



 何故か僕にはエルフ族や獣人族がいないことが不自然に思えた。そして、冒険者ギルドを見つけて中に入った。冒険者ギルドの中にはアルベル王国に比べて冒険者がたくさんいる。



「あら、いらっしゃい。何か用?」


「魔物の素材を買い取って欲しいんですけど。」


「あらあら、あなた達のような子どもが魔物を討伐したの?」



 受付の女性の声で、近くにいた冒険者達が僕達の方を見た。



「ええ、少しですけど。」


「なら、カードを見せてくれるかな?」


「はい。」



 僕とギンはカードを提示した。



「シン君とギンさんって言うのね。私はアンナよ。あなた達、その歳でDランクなの?どこの出身?」


「はい。アルベル王国です。」


「なるほどね。あの国ならわかるわ。あの国は強い魔物があまりいないもんね。」



 すると、冒険者達から声が聞こえてきた。



「どうりでな?あんな小僧達がDランクになれるなんて、やっぱりアルベル王国のギルドは甘いぜ!」


「俺もアルベル王国でランクを上げて戻ってこようかな~。アッハッハッ」



 なんか馬鹿にされているようだが気にしないことにした。だが、ギンが冒険者達を睨みつけたので、僕は慌ててギンの手を引っ張った。



「ギン!ダメだよ!」


「すみません。シン様。」


「それで、魔物はどこに運べばいいですか?」


「裏に来てくれる?」


「はい。」



 僕とギンは裏に行った。そして、魔法袋と見せかけて袋の中からオークとグリーンマンティス、イエロービーの亡骸を数体取り出した。



「これですけど。」


「へぇ~。これだけの魔物を討伐したんだから、結構実力はあるようね。いいわ。受付に来てくれる?報酬を渡すから。」


「はい。」



 僕達は受付に戻った。すると、アンナが袋を差し出してきた。



「はい。報酬よ。でも、注意してね。この国では冒険者の報酬を狙う奴がいるからね。」



 袋の中身を確認すると、金貨と銀貨が入っていた。だが、どれも同じ大きさで、大銀貨のような物はない。どうやら、本に書かれていた通り、この国の貨幣制度はアルベル王国とは違うようだ。

 


「ありがとう。また、来ます。」



 僕とギンはギルドを後にしたが、ギルドから後を付けてくる者達がいた。


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