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神様修行の旅  作者: バーチ君
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学年別対抗戦(1)

 3日間に及ぶ学園祭は終了し、いよいよ学年対抗の模擬戦が始まる時が来た。各学年の代表者が、闘技場の入口で待機している。そして、いよいよ選手入場となった。観客席からは黄色い声援が飛び交っている。僕達は試合会場の中央へと進んで整列した。目の前の壇上にはマッシュ先生がいる。これから、組み合わせの発表とルールの説明があるようだ。



「では、これより学年対抗の模擬戦を始める。最初は1年代表と2年代表だ。続いて3年代表と4年代表で試合をしてもらう。そして、最後はその2試合の勝者同士で決勝だ。試合は1対1の形式で行う。相手が戦闘不能になった場合、場外に出た場合、降参をした場合に勝敗を決する。」



 観客席を見渡すと、各学年の応援団がいる。そして、最上階の来賓席には学園長先生と貴族らしき人達がいた。



「メアリー!あの貴族って偉い人なの?」


「シン君。何言ってるのよ!エドモント国王陛下とエリザ皇后陛下よ。」


「そうなの?」



 するとミーアも驚いたように言った。



「私も初めて見るにゃ!普通は王族なんて会う機会がないにゃ!」


「確かにそうね。私は一応貴族だから、舞踏会とか誕生会で何度かお顔を拝見したことがあるけど。みんなは知らなくても仕方がないわよね。」



 なんか学園長が僕とギンの方を向いて国王に何かを言っている。何をしゃべっているのか少し気になった。この試合は5人対5人の戦いだ。3勝したほうが勝ちとなる。だが、チームの勝敗が決まった後でも、大将戦まで対戦は続ける決まりのようだ。



「順番はどうするの?」


「大将はシンで決まりだろ!なら、俺に先鋒をやらせてくれないか?」


「別に僕はいいけど。その後はどうするの?」



 するとミーアが提案した。



「副将はギンにゃ。私が2番目で、メアリーが3番目で行くにゃ!」


「僕に異論はないよ。」


「私もシン様に従うだけですから。」



 僕達の順番が決まった。後は試合に勝つだけだ。応援席ではクラスメイト達が熱い声援を送ってくれている。なんか、わざと負けようと思ったけど、そんな雰囲気ではない。



「では、最初の選手前へ出るように。」



 審判はマッシュ先生だ。



「始め!」



 2年生がいきなり木剣で攻撃してきた。ケントは受け止めようとしたが、後ろに大きく弾き飛ばされた。体格が違いすぎるのだ。そして、2年生が魔法を放った。



『アイスガン』



 すると、空中に氷の槍が現れ、ケントめがけて飛んで行った。ケントはそれを必死に木剣で叩き落す。そして、魔法が途切れた瞬間を狙って一気に2年生に近づいた。そして、木剣を下から振り上げた。上からの攻撃を予測していたのだろう。反応が遅れた。ケントの木剣は2年生の手首を捕らえた。



「痛っ」



2年生は思わず木剣を地面に落とした。ケントはすかさず木剣を打ち込むが、さすがは2年生だ。その剣を横に避けた。ケントは2年生を追い回すように剣を振り続けた。そして、よけ続けていた2年生がついに場外へと出てしまった。



「勝者、ケント!」


「オオ——————!!!」



 1年生が2年生に勝ったことで、場内にどよめきが起こった。負けた2年生は下を向いてチームのもとに帰っていく。



「貴様!何をやってるんだ!相手は1年生だぞ!情けない奴だ!」



 ジャックの声が響き渡った。そして、次の選手が試合会場の中央に立った。1年生代表はミーアだ。対戦相手の2年生はやはり男子生徒だった。2人が闘技場の中央に立つと、体格の差が歴然とした。誰がどう見ても、ミーアの方がか弱く見える。



「始め!」



 ミーアは足に身体強化をかけ、2年生の周りをすごい速さで回り始めた。2年生は攻撃したくても目が追い付かない。ミーアは走りながら木剣で攻撃していく。



「バキッ」


「ゴキッ」



 木剣が当たる音が鳴り響く。堪らず2年生がその場から動いた。次の瞬間、大きくジャンプしたミーアは力一杯に上から木剣を振り下ろした。2年生は咄嗟にそれを木剣で受け止めた。そう受け止めたはずだった。



バキッ



 2年生の木剣は真二つに折れてしまった。そして、ミーアの木剣が2年生の肩に直撃した。



「勝者、ミーア!」


「オオ—————!!!」


「おいおい、また1年生が勝ったぜ!どうなってるんだ?」



 試合を見ていたジャックの顔が真っ赤になっている。頭からは湯気が出そうだ。負けた2年生達は、やはりジャックにものすごく叱られている。恐らく、イースト公爵の派閥の人間なんだろう。そして、今度はメアリーの番だ。メアリーが中央に行くと、2年生の女子生徒に声をかけられた。



「あなた、ナザル伯爵の娘よね?」


「そうですが、なにか?」


「あなたの父親はどうして派閥に入らないの?もしかして、どこの派閥にも入れてもらえないのかしらね。」


「父のことは知らないけど、弱いものは仲間を作るとか言いますよね。」


「なんですって!私達が弱いってこと?」


「どうでしょうか?本当に強いなら、一人でも悪に立ち向かうんじゃないかと思いますけど。」


「いいわ。なら、ここであなたより強いってことを証明してあげるわ!泣いても許さないから覚悟しなさい!」



 ここでマッシュ先生が叱った。



「余計な話はするな!」



 2年生の女子生徒はメアリーを思いっきり睨みつけている。



「始め!」



 恐らく試合前に父親のことを言ったのは、心理的なダメージを与えるためだろう。だが、メアリーには心理戦は有効ではなかったようだ。普段と変わらない動きをしている。だが、2年生も必死だ。あれだけのことをメアリーに言った以上、負けるわけにはいかないのだ。



“メアリー!聞こえるね?”


“えっ?!何?シン君?”


“そうだよ。あの子の言ったことは気にするな!厳しい特訓を思い出すんだ!メアリーは自分を信じて戦えばいいから。”


“わかったわ。ありがとう。シン君。”



 メアリーの動きが一気に変わった。押され気味だった剣術もむしろ押し返している。すると、2年生はすかさず距離を取って魔法を発動した。



『ファイアボール』



 空中に火の玉が複数出現した。すると、メアリーも魔法を発動した。


 

『ファイアボール』



 2年生のファイアボールは真っ赤に燃え上がっている。それに対して、メアリーファイアボールは青白い色をしていた。それを見た観客達がざわついている。



「おい!どうしてファイアボールが青白いんだ?」


「そんなこと知るかよ~!」



2人の魔法が激突した。2人の間に煙が立ってよく見えない。そして、煙が無くなった時、地面に立っていたのはメアリーだった。



「勝者、メアリー!」


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