メアリーとミーアの訓練を始める!
入学式が終わって、僕達4人は教室に行った。この学園は1クラスは20人のようで、AクラスからGクラスまである。僕のクラスは男が5人しかいない。それ以外はすべて女性だった。担任の先生がやってきた。コトミという名前の美人な女性の先生だった。そして、一人ずつ自己紹介を始めたのだが、いよいよ僕の番が近づいてきた。
「じゃあ、次!」
僕の番だ。
「名前はシンです。よろしくお願いします。」
僕は物凄く簡単な挨拶をしただけなのに、周りの女の子がキャーキャー言っている。この先どうなるんだろうかと不安が残った。
自己紹介が終わった後は、数の少ない男子生徒達が僕のところにやってきた。
「君はシンっていうのか?入学試験の時はすごかったよな~。」
「何がすごかったんだ?」
「お前、知らないのか?シンの魔力量だよ!あの英雄と同じ500もあったんだぜ!」
「それ本当か?」
「ああ、本当さ。俺、近くにいたからな。」
「それなら、僕も知ってるよ。君もだよね?ギ、ギンさん。」
「えっ?!」
ギンは僕以外の男性と話す機会はあまりない。そのためか、僕以外の男性から話しかけられたことに戸惑っているようだ。
「う、うん。そ、そうだったか、な。」
恥じらうギンの様子が可愛かったのか、男の子達はギンに夢中だ。ギンもかなり焦っている。そこで、僕は助け船を出した。
「ごめん。ギンは僕の幼馴染なんだけど、なんか疲れてるみたいだから。」
僕はギンを連れて教室を出た。その後ろにメアリーとミーアが付いてくる。
「すみません。シン様。」
「いいさ。」
するとミーアが聞いてきた。
「もしかして、ギンって男が苦手にゃのか?」
「ええ。まあ。」
「そうだったんだ~。私一緒にいて全然気づかなかった~!でも、シン君は大丈夫なんでしょ?」
「はい。小さいころからずっと一緒でしたから。」
すると、その言葉にメアリーとミーアが反応した。
「いいわね。ギンさんは。シン君とずっとずっと一緒だったんでしょ?」
「なんかずるいにゃー!私もシンの小さいころを見たかったにゃー!」
「変わらないですよ。シン様は。昔も今も。」
その日は午前中の自己紹介とこれからの学習の説明だけだった。因みに、これから1・2年生の間は午前中に座学が行われ、午後からが魔法と剣術の授業のようだ。3・4年生になると魔法と剣術の授業のみとなり、実践演習も始まるらしい。
「これからどうする?」
「シンに魔法や剣術を習うにゃ。」
「それいいかも!」
「なら、西門から出て平原に出ようか?あそこならだれも来ないし。」
「そうですね。そこなら安心ですね。」
4人は西門から出て平原に向かった。思った通り誰もいない。ここには薬草もないし、魔物が出ることもめったにないのだ。僕は魔法の訓練から始めることにした。
「2人とも魔力はあるから、それを全身に流す練習からだね。」
「魔力を全身に流すの?」
「そうだよ。すべての基本だからね。」
「どうやって流すにゃ?」
「2人とも僕の手を握ってごらん。」
メアリーとミーアが僕の手を握った。僕は少しずつ魔力を流した。
「キャッ」
「なんかビリビリって来たにゃ!」
「それが魔力だよ。それを全身に流すんだ。その流れが早ければ早いほど魔力が上昇していくんだ。」
「シン君。もう一回やってくれる?」
メアリーとミーアが再度僕の手を握ってきた。今度は僕が魔力を流しても驚くことはなかった。そして、少しずつ魔力の流れが掴めてきたようだ。
「どう?自分達で流せる?」
「やってみる。」
「挑戦にゃ!」
2人は必死で魔力を流そうとしている。だが、なかなか上手くいかないようだ。
「難しいにゃ!」
「当然だよ!僕だって魔力を流せるようになるまでに時間がかかったからね。」
「シン君でも時間がかかったの?」
「そうさ。誰も教えてくれる人がいなかったからね。」
「そうしてみると、私とミーアはラッキーね。」
「シン様様にゃ!」
すると、ポツリとギンが言った。
「私は最初からできましたよ。」
「えっ——————!」
考えて見ればギンはフェンリルだ。そのぐらい生まれつきできて当然かもしれない。そして、その日は魔力の練習だけして学園に戻った。
「疲れたわー!なんか頭が痛くなってきたー!」
「それは魔力切れです。しっかり食べて寝れば治りますよ。」
「ギンの言うとおりさ。それに魔力を限界まで使うようにしていると、魔力量も増えるよ。」
「それ本当にゃ?」
「本当さ。」
「なら、毎日魔力切れまで練習するにゃ!」
ミーアもメアリーも目が輝いている。やる気満々のようだ。そして、学園に戻った僕達は食堂に行ってご飯を食べた。僕とギンは前回も食べた定食だ。サラダにスープ、パンと軽い肉野菜の炒め物のセットだ。メアリーとミーアはボリュームのある肉料理をがっつりと食べていた。
「じゃあ、明日ね。」
3人は女子寮に帰る。僕だけが男子寮だ。男子寮の入り口まで来た時に見知らぬ男子生徒に声をかけられた。