冒険者パーティー『リバティハウス』
冒険者ギルドで問題が発生した。その問題を解決した僕達は、ギルドからもらった報酬を孤児院に寄付しようと向かった。僕達が孤児院に行くと、ミーアが子ども達と遊んでいた。
「あれ~。どうしたにゃ?3人揃って!」
「シスターはいる?」
「いるにゃ。」
ミーアに案内されて、僕達は建物の中に入って行った。建物の中にも小さな礼拝場所があり、そこには7大神の小さな石像が祭られていた。
「どうしましたか?メアリー様。」
「はい。今日はシン君がここに用事あったのでついてきたんです。」
「そうなんですね。」
僕はポケットから白金貨7枚を取り出した。1枚はメアリーの剣を買うために取っておくことにしたのだ。そして、白金貨をシスターに渡した。
「これを子ども達のために使ってください。」
「えっ?!いいの?本当にこんな大金をいいの?」
「ええ。僕が持っていても使いませんから。」
「ちょっと待っていてね。」
シスターが礼拝場所の7大神の前にお金を置いて拝み始めた。すると、どこからともなく鐘の音が鳴り響き、そして、7大神の像が見る見るうちに明るく光り始めた。
「き、奇跡だわ!きっと神様達が喜んでいらっしゃるのね!」
慌てて僕達も片膝をついて7大神に向かって手を合わせた。すると、以前頭の中に聞こえた声が再び聞こえた。
“シン。頑張っているようね!これからも頑張りなさい!”
しばらくして鐘の音がしなくなり、石像も元に戻っていた。この不思議な現象に、シスターだけでなくギンもメアリーもただただ驚いていた。そして、僕は驚くというよりも褒められたことが凄く嬉しかった。
「シン君。あんたの優しい心が神様達にも通じたのよ。ありがとうね。」
「いいえ。僕よりもシスター。あなたの方がよほど立派ですよ。あなたはこの子達の父であり母なんですから。僕はただお金を寄付することぐらいしかできませんので。」
シスターの目から大粒の涙がこぼれた。
「ありがとう。シン君。あなたは本当に優しい子ね。」
その後、ミーアも交えて街を歩くことにした。
「へ~。シンもギンもSランクににゃったの~?すごいにゃ~。私も頑張るにゃ!」
ここでメアリーが言ってきた。
「私達でパーティーを組まない?」
「いいけど。」
「シン様がいいのであれば、私に異論はありません。」
「賛成にゃ!でも名前はどうするにゃ?」
僕達は必死で考えた。よく考えてみれば僕は恵まれている。確かに両親はいないかもしれないが、五体満足で行きたいところにいつでも行ける。やりたいことが何でもできる。この国の人々が何にも縛られることなく、健康で自由な生活を送れるようにしたい。
「『リバティライフ』なんてどう?」
「そうね。いいと思う。」
「私もそれでいいにゃ!」
「シン様が決めた名前ですから、異論はありません。」
僕達のパーティー名が『リバティライフ』に決まった。そして、再び冒険者ギルドに行ってパーティー登録をした後、4人で街を歩いた。
「でも、シンもギンも強かったんだにゃー。私が森で襲われた時も、本当は全部討伐していたんじゃにゃいのかにゃー。」
「まあね。」
「やっぱりそうだったにゃー。あの血の跡は怪我した程度じゃなかったにゃー。」
メアリーが僕達の話を羨ましそうに聞いていた。自分がその場にいなかったのが寂しいのだろう。
「学校が始まったら、休みの日に定期的に魔物の盗伐に行かない?」
メアリーが提案してきた。ギンが鋭い目で見ている。
「お言葉ですが、メアリー様。魔物の盗伐はそれなりの強さが必要です。さもないと大けがじゃすまなくなりますよ。」
「ギンの言う通りにゃー。でも、どうしたら強くなれるのかにゃー。シンが指導してくれれば強くなれるのかにゃー。」
「そうだよ。ミーア!ナイスだよ!シン君、お願い!ダメ!」
なんか下から見られると僕は弱いようだ。
「いいよ。なら、放課後に訓練しようか?」
「やったー!!!」
そんなこんなで、いよいよ入学式の日が来た。学園長の長い話が終わった後で、貴族の男性が新入生代表の挨拶をした。そして、僕達は教室に行くことになった。僕達4人はCクラスで一緒だ。
「ねぇ、見た?」
「見たにゃ!」
「何を見たの?」
「シン君は気が付いてなかったの?」
僕はみんなが何を見たのか気になった。
「シン様。女子生徒がみんなシン様に見とれていたんですよ。」
「えっ?!そうなの?気が付かなかったよ。」
「シン君は鈍感なのよ!」
「そうにゃ!シンは鈍感にゃ!」
僕達が教室に入ると、すでに教室にいた女の子達から悲鳴のような声があがった。
「キャー あの人!同じクラスよ!」
「ラッキーだわ!」
「何て名前かしら?」
僕は一番後ろの席に座った。僕の隣に誰が座るのか、ギンとメアリーとミーアで取り合いになっていた。
「私はシン様の左です!」
「ここは私が座るにゃ!」
「ダメよ!ミーアはシンの前にして!」
“ハ~。どうでもいいじゃん。席なんか。”
結局くじ引きで決めた。僕の左がミーア、僕の右がギン、僕の前がメアリーになった。ただし、一週間ごとにくじ引きをするようだ。
担任らしき女性が教室に入ってきた。なかなかの美形だ。でも、身長が低いせいか少し幼いような気がする。
「私はあなた方を受け持つことになった。担任のコトミです。よろしくね。では、一人ずつ自己紹介をしてもらいましょうか。」