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神様修行の旅  作者: バーチ君
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マギーの幸せ

 魔大陸に向かった帝国軍を追いかけると、帝国軍は魔王城ではなく革命軍のいる方向へと向かった。僕達が到着すると、帝国軍が戦艦や飛行船から激しい攻撃を加えていた。革命軍は結界で何とか耐え忍んでいる状態だったので、僕達は帝国軍の艦隊と飛行船を殲滅することにした。すると、いきなり皇帝が現れ、驚くべきことにその正体は魔王ディアブだった。帝国軍を殲滅した僕達はマギーの故郷の村へとやってきた。そこにはマギーの父親がいた。久しぶりに会ったマギーから魔族の魔力が感じられないことを不審がっていたので、マギーが魔力を開放して見せた。すると、全身が光に包まれて背中に純白の翼が出る。



「マギー!お前、天使族に戻ったのか?」


「うん。」



 すると、マギーの父親が目に涙を浮かべて喜んだ。



「おめでとう。マギー!天使族に戻るのは我々堕天使族の夢だったんだ!それをお前が叶えてくれるとはな!」


「シンやギン、メアリーのお陰なの。世界中で困ってる人達を助けて回っていたら、天使族に戻ったみたいなの。」


「その話は本当か?ならば、我々にも希望が持てるぞ。そうだろ!みんな!」


「ああ、そうだ。俺達も頑張るぞー!」



 話が長くなりそうだったので、僕達は村の中央広場に移動した。そこで、用意した椅子に腰掛けて話を続けた。



「ところで、シン殿、ギン殿、メアリー殿は人族ではないですよね?この子と同じ魔力を感じますから。」



 どうしようか考えたがもう隠す必要もない。そう思って話し始めた。



「ギンは神獣のフェンリルですよ。それに、メアリーは元天使族の聖女です。」


「やはり、そうだったんですか~。それなら納得です。するとシン殿は?」



 やはりさすがに話しづらい。もし僕のことを知ったら、この人達はもう普通に接してくれなくなるかもしれない。そんな思いが込み上げてきた。



「シン様。どうしましたか?」


「そうだね。やっぱり正直に言うべきだよね。実は僕の母はディーテという名前なんです。」


「ディーテ?もしかして、管理神様と同じ名前なんですか?」


「いいえ、その管理神です。」


「えっ、え——————!!!」



 全員が椅子から降りて僕に跪いた。



「やめてください。こうなると思ったから言えなかったんです。」


「そうよ。お父さん。シンはそんな風にされるとすごく嫌がるんだから。普通にしてあげてよ。」


「だ、だがな~。」


「別に僕が神ってわけじゃないですから。僕はまだ修行中の身です。だから、そんなに気を使わないでください。」


「わかりました。ではそうしましょう。」



 ここで、話題を変えた。魔王について知りたかったからだ。因みにマギーの父親はルーカスという名前だ。



「ルーカスさん。魔王軍の戦力を知りたいんですけど。」


「そうですね。魔王軍には四天王がいます。その下にそれぞれ100人隊長がいまして・・・」


「ああ、それは知っています。」


「お父さん。もう100人隊長達はいないわよ。それに、四天王のベガもシリウスもすでに討伐したわ。」


「ほ、ほ、本当ですか?」


「ええ。」


「どうりで最近魔王軍の動きがおかしかったわけですね。ですが、まだ四天王のリゲルとアルタイは生き残っているんですよね?」


「はい。そうです。それ以外に魔王軍に協力している者達はいないんですか?」


「基本的には魔王ディアブが悪魔族ですから、四天王も100人隊長も悪魔族で構成されています。ですが、それ以外にもアラクネ族やトロール族は魔王に従っていますね。」


「他の種族はどうですか?」


「ダークエルフ族は率先して協力しようとはしていません。それに、われら堕天使族とバンパイア族は革命軍に参加していますから。」


「わかりました。なら、明日にでも魔王城に向けて出発しますよ。」


「我々も同行します。」


「いいえ。皆さんはここにいてください。戦いが終わった後は皆さんにこの魔大陸を平和に統治して欲しいんです。」


「わかりました。ですが、恐らく魔王のことですからアラクネ族やトロール族に城を警備させていると思います。くれぐれも注意してください。」


「ありがとうございます。」



 そしてその日、マギーは父親のルーカスとともに過ごし、僕とギンとメアリーは魔物の森の家に帰った。



「マギーちゃん。お父さんに甘えてるでしょうね。」


「そうだね。」



 なんかギンが寂しそうだ。



「どうしたの?ギン。」


「もしかして、マギーが羨ましいんじゃないの?」


「私だけ父親の顔を知らないんですよ。母親もすでにこの世にいませんし。」



 僕は椅子を立ってギンを後ろから抱きしめた。



「僕達がいるだろ!ギン。」



 ギンが僕の手を握ってきた。その手はとても冷たかった。



「ギンさん。一緒にお風呂に入りましょ!背中流してあげるわ!」



 メアリーとギンがお風呂に行った。僕はいつものように晩御飯を用意することにした。全員がお風呂から出た後、ご飯を食べたが静かだ。こうしてみるとマギーの存在がいかに大きかったかしみじみと分かった。



「マギーちゃんがいないと静かですね?」


「そうだね。今日は3人で寝ようか?」


「いんですか?シン様。」


「たまにはね。」



 その日は3人で寝た。なんかミーアの時と同じだ。もしマギーは一緒に行かなくなったらどうしようかと考えると、なかなか寝れなかった。



「やっぱり、シン様も寝れませんか?」


「うん。」


「私も寝れないわ。」


「メアリーもか。」


 

 ギンもメアリーも僕と同じ気持ちなんだろう。結局、3人とも徹夜状態だ。僕達は再びマギーのいる村に戻った。するとマギーはご機嫌でやってきた。



「みんな。おはよう。」


「おはよう。」



 僕達3人は生あくびが出る。



「どうしたの?3人とも。なんか元気ないみたいだけど。」


「別に大したことじゃないよ。昨日は3人で寝たからさ。」


「えっ?!何よそれ!私だけ仲間外れなの!」


「違うよ。もしマギーが一緒に旅をしないって言ったらどうしようかって・・・」


「そんなことがあるはずないでしょ!私はずっとシンやギン、メアリーと一緒なんだからね!」



 マギーも自分が心配されたことが嬉しかったようだ。ギンとメアリーに抱き着いていた。


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