マギー!村に帰る!
僕達が帝都に到着すると、帝国軍はすでに魔大陸に向かっていた。僕達も後を追いかけようとしたのだが、帝国軍がいなくなった街を魔物達が襲撃していた。そこで僕達は魔物達を討伐した。
「早く追いかけないと!」
僕達は上空に舞い上がり魔大陸に向けて飛翔した。かなりの速度で飛行したはずだが、戦艦も飛行船も見当たらない。下を見ると島が見えてきた。僕達は一旦島に上陸することにした。
「マギー!魔王は魔大陸のどのあたりにいるんだ?」
「北東よ。北東に魔王の住む魔王城があるのよ。」
「マギーちゃん。魔大陸の北東ってことは西大陸に近い場所ってことよね?」
「そうよ。」
「マギーの父親達はどの辺りにいるんだ?」
「革命軍は南東にいるわ。多分、お父さんもそこにいると思う。」
「なら、魔王城からはだいぶ離れてるのね?」
「そうよ。」
「そしたら、今回の帝国との戦争に巻き込まれる心配はないわね。」
「まあね。」
するとそこにドラクがやってきた。
「シンさん!大変です!帝国軍が南東に向かっています!」
すると、マギーが声を上げた。
「どうして?!魔王城は方向が違うじゃない!どうしてよ!」
「ドラクさん。ありがとう。みんな出発するよ!」
僕達は魔大陸の南東に向かった。しばらく飛翔していくと、前方から爆音が聞こえてきた。
ドッドーン
バッバッーン
「急ごうか!」
「はい。」
僕達の目の前では巨大な戦艦が魔大陸に向けて砲撃を繰り返している。さらに、上空の飛行船からも爆弾のようなものが投下されていた。一方の魔大陸ではかなりの広範囲で炎と煙が上がっていたが、一か所だけ結界で守られているところがあった。そこに、戦艦も飛行船も集中的に攻撃をしているようだ。
「みんな。攻撃をやめさせるよ!」
「うん!」
僕達は魔力を開放する。4人の身体が眩しく光り始めた。そして、飛行船に向かっていく。だが、僕らの存在に気づいた帝国兵は飛行船と戦艦から大砲と機関銃で攻撃してきた。
ドッドッドッドッドッ・・・・・
僕達は自分達の周りに結界を張って魔法で攻撃を仕掛ける。フェンリルの姿になったギンは口から冷気を放つ。すると、飛行船はガチガチに凍ってしまった。プロペラも凍ってしまった飛行船は地上へと落下していく。
『シャイニングスピア』
マギーは魔法で巨大な光の槍を出した。そして、飛行船にそれを投げつけた。光の槍は飛行船に刺さると音を立てて爆発する。
『ファイアードラゴン』
メアリーは剣の先から巨大な炎のドラゴンを作り出す。そのドラゴンが巨大な口を開けて飛行船を飲み込んだ。飛行船は真っ赤に燃え上がり、地上へと落ちていく。
僕達の攻撃を受けて、逃げようとする飛行船が現れた。そこで、僕は両手を広げて魔法を唱えた。
『ストーム』
すると、上空が急激に曇りはじめ強い風が吹き荒れ、空から黒い雨と雷が地上に向かって降り注ぐ。そして、僕が手で指し示すとそこにあった飛行船に巨大な雷が落ちた。飛行船は炎に包まれながら地上に落下していく。
「私に楯突くのは貴様達か!」
あたり一帯に大きな声が響き渡った。声のする方を見ると戦艦の甲板に一人の男が立っていた。どうやら皇帝のようだ。僕達は皇帝の前に舞い降りた。
「お前はなぜこんなことをするんだ?」
「なぜだと~。わかりきったことだ。この世界を負のエネルギーで満たし、私がこの世界の神になるためだ。」
「負のエネルギー?」
「そうだ!負のエネルギーは巨大な魔力を生むからな!この私が神になるためには必要なんだよ!」
「お前はもしかして・・・」
「そうだ!我こそがこの魔大陸の覇者ディアブ様だ!楽しかったぞ!憎い人族と我に逆らう革命軍どもを戦わせるのはな。おかげで十分なエネルギーを集めることができたわ!ワッハッハッハッ」
僕の怒りが頂点に達した。
「貴様は絶対に許さない!」
「そうか。許さんか。面白い。ならば、我が城までやってくるがいいさ。」
魔王ディアブはその場から姿を消した。だが、洗脳されているのか飛行船と戦艦が再び攻撃を始めた。
「みんな。ちょっと退いててくれるかい。」
「わかったわ。」
僕は魔力を開放する。逆立った銀髪が金髪へと変化し目が黄金色へと変化する。背中には金色の翼が出た。僕の身体からは眩しい光が放たれる。そして、僕は魔法を唱えた。
『消え去れ!ディスアピアランス』
すると、僕の手から眩しい光が放たれ、あたり一帯が光に包まれた。そして、光が収まった時、目の前の戦艦も飛行船もすべてがなくなっていた。ギン達が僕のところにやってくる。
「シン様!すごいです!」
「うん!すごかった!」
「シン!今の魔法は何よ!もしかして、神の魔法なの?」
「どうかな~。それより、マギーのお父さんは?」
「そうだ!」
僕達は結界で守られていた場所まで向かった。そこにはたくさんの魔族達がいた。僕達の姿を見て、ひとりの魔族の男性が駆け寄ってきた。
「もしかして、マギーか?」
「お父さん!無事だったのね!」
「お前こそ無事で何よりだ。」
「お父さんに紹介するわ。こっちが私の旦那のシン。それに、第2夫人のギンと第3夫人のメアリーよ。」
するとギンとメアリーが顔を真っ赤にして怒った。
「マギー!あなたいつからシン様の妻になったのよ!それに私が第2夫人ってどういうこと?」
「そうよ。なんで私が第3夫人なのよ!」
「ごめんごめん。冗談。全員、私の仲間だよ。」
「そうか~。でも、この人達は人族じゃないよな?何者なんだ?それに、お前の魔力も魔族のものじゃないようだがな。」
周りの魔族達も一緒になって聞いている。恐らく、魔族は魔力に敏感な種族だ。僕達を見て人族には思えないのだろう。
「マギー。正直に説明していいよ。」
マギーが下を向いた。そして、小さな声で言った。
「お父さん。私、もう魔族じゃないんだ~。」
「どういうことだ?」




