ホーク帝国に到着
僕達はカナリア聖教国での騒動を片付けた後、魔大陸に行く前にホーク帝国に行くことにした。
「ホーク帝国って古代遺跡があるのよね~?」
「マギーは古代遺跡に興味があるの?」
「別に興味なんかないけど、古代の美味しいものとかが出てきたりして!」
「そんなの腐ってるに決まってるでしょ!」
「もう~!ギンは夢がなさすぎなのよ!」
「マギーちゃん。それより、この前見た武器以外にも他の武器が出て来てるかもしれないわ。そっちの方が気になるんだけど。」
「そうね。メアリーさんの言う通りよ。この前だって、大精霊さん達に手伝ってもらったからいいけど、あれより強力な武器があったら大変でしょ?」
「確かにそうだけどさ~。」
僕は3人の会話を面白おかしく聞いていた。
「3人ともいいかな~。」
「何?シン!」
「このまま国境まで歩いていくのって時間かかりそうだからさ。どこかで飛翔していこうかな~って。」
「そうですね。その方が速いですね。」
僕達は聖都を少し離れた場所から、帝国との国境まで飛翔した。そして、国境沿いの森の中に舞い降りた。
「いよいよホーク帝国だよ。」
「そうね。」
「どんな武器があるかわからないから注意してね。」
「はい。」
僕達は森の中を歩き始めた。やはり、負のエネルギーが多いらしく魔物が多い。ブラックベアやキングボアのような狂暴な魔獣もいた。その都度討伐しながら進んだが、僕の空間収納にはかなりの魔物が入っている。
「シン様。森を抜けますよ。」
森を抜けると広い草原地帯が広がっていた。するとシルバーウルフの群れがやってきた。
「シン様。この子達が言うにはこの先に危険な魔物が生息しているようです。」
「ありがとうって言っといて。」
「はい。」
僕は空間収納からお礼にキングボアを取り出してシルバーウルフにあげた。そして、さらに進んでいくと、そこには魔素を吸いすぎて巨大化した2本足で歩くオオトカゲがいた。
「すごい爪よ!みんな気を付けて!」
オオトカゲは僕達に気づいたようで大きな口を開けて襲い掛かってきた。
ガキーン
僕はマサムネでオオトカゲの攻撃を防いだ。
「私がやるわ!」
すると、マギーが剣を抜いて前に出た。僕とギンとメアリーは後ろに下がってマギーの戦いぶりを見ることにした。マギーの素早い動きにオオトカゲは翻弄されている。マギーがオオトカゲの手や足を剣で斬りつけていく。
ギャー ギャー
オオトカゲがバランスを崩した瞬間、マギーが大きくジャンプして斬りつけた。すると、オオトカゲの頭が地面に落ちた。
「終わったわよ!」
「良かったんじゃないかな。」
「なんか、シンに褒められるのって新鮮ね。」
「そんなことないよ。いつもみんなのこと褒めてると思うよ。」
「まあ、いいんだけどね。」
僕はオオトカゲを空間収納に仕舞って再び歩き始めた。しばらくすると街が見えてくる。街に入ると兵士達が銃火器をもって歩いていた。まるで何かを警戒しているようだ。そこで、僕達は情報を得るために冒険者ギルドに行くことにした。
「あら、初めて見る顔ね。何か用?」
「なんかこの街に来てから兵士の姿が多く感じるんですけど。」
「ああ、そのことね。魔族狩りよ!魔族が人族に化けて侵入していないかどうか見回っているのよ。」
「そうなんですか~。」
「あなた達はどこから来たの?」
「中央大陸ですけど。」
「え———!そんなに遠くから来たの?兵士にでもなるつもりなの?」
「いいえ。観光ですよ。」
「観光でこの帝国にね~。私なら他の国を観光するけどね。」
「この国に古代遺跡があるって聞いたので、行ってみたくて。」
「ああ、カルロの遺跡ね。でも、中には入れないわよ。軍隊が警備してるから。」
「そうなんですか?」
「そうよ。知らなかったの?」
「はい。それで、そのカルロっているのはどの辺りなんですか?」
「帝都の北の街よ。そうね~。ここからだと、馬車で1週間はかかるかな~。」
「結構遠いんですね。」
「当たり前じゃない。このホーク帝国は西大陸で一番広いんだから。」
「そうなんですか。なら、今日はこの街で泊まります。宿はありますか?」
「あるわよ。この前の通りを行って、最初の角を曲がったところにあるわよ。」
「ありがとうございました。」
「あなた可愛い顔してるから、ついいろいろしゃべっちゃったわ。」
僕達は街を歩きながら状況を確認した。やはり兵士が多い。もしかしたらこの街は本来は別の国で、帝国によって併合された街なのかもしれない。そんなことを考えながら歩いていると宿屋があった。
「ここのようね。」
お金を払って各自部屋に行った後、僕の部屋に集まった。今後の行動を確認するためだ。
「シン!この国は魔族の侵入を警戒しているんだよね?」
「そうみたいだね。」
「だとしたら、ここの皇帝は魔族じゃないわよね?」
「それはわからないよ。今ドラクさんが調べてくれてるから、その結果でわかるんじゃないかな。」
「そうですね。慎重になった方がいいかもしれませんね。自分が魔族と疑われないための行動かもしれませんから。」
「ところで、シン君。この後どうするの?」
「最初に帝都に寄ってから古代遺跡に行くか、古代遺跡に行ってから帝都に行くか迷ってるんだよね?」
「どうして?」
「古代遺跡には古代の進んだ文明が残ってたんでしょ?それが有効活用されているのか、それとも戦争の道具に使われているのか、皇帝にあってみないとわからないからね。」
「でも、実際に戦争の道具に使われてたじゃない!」
「メアリー!確かに戦車や銃火器はそうだったかもしれないけど、中には人々の生活に役立つものもあるかもしれないよ。」
「確かにね~。」
「戦車だって平和的に利用しようとすればいくらでもできるしさ。」
「さすがシン様です。考えが深いです。」
僕はしばらく考えた。帝都と古代遺跡は近い距離にある。ならどちらに先に行っても同じだ。それに、行く途中の街でこの国の文明が他の国とどう違うか調べればいいだけだ。
「決めたよ。先に古代遺跡にするよ。」
「わかりました。私達はシン様に従うだけですから。」
「そうよ。シンが行くところが私達の行くところなんだから。」
「そうよね。」