ベネット救出!
僕達はカナリア聖教国の聖都ビザンツに到着した後、教皇選挙に立候補しているヨハンの警護をしていた。だが、ヨハンにとって大切な女性ベネットが教皇派の連中に誘拐されてしまった。ヨハンは脅迫状に書いてあった通り、一人で指定された場所に向かおうとしたが、僕達が姿を消して同行することにした。
“そろそろですよ。ヨハンさん!”
“えっ?!シン殿?”
“そうですよ。これは念話ですから。悟られないようにしてください。”
“わかりました。”
ヨハンが指定の場所に到着すると、ご丁寧に聖騎士達が待っていた。どうやらベネットは倉庫の中にでも縛られているのだろう。
「よくきたな。ヨハン。逃げなかったことは褒めてやるよ。」
「神の騎士である聖騎士がどうしてこんなことをするんだ?」
「お前は馬鹿なのか?この世に神なんかいないさ。現実を見てみろよ!力のあるものが思い通りに生きてるじゃないか。何の罰も受けずにな。俺達にとっての神は最高権力者の教皇様なんだよ。」
「何と情けない!それでも貴様らは人間か!」
「どうかな~。教皇様からしてみたら、役に立たないものは人間扱いされないからな~。」
「ベネットは無事なんだろうな!私がここに来たからには彼女は無事に返してもらうよ。」
「そんなことできるわけがないだろう!俺達の顔を見られてるんだぜ!2人まとめて殺してやるよ!あの司教のようにな!」
「やはりお前達の仕業だったのか!」
「話はもう終わりだ!やれ!」
聖騎士達がヨハンに斬りかかった。僕とマギーが姿を見せてヨハンの前に立った。
「僕達も話は聞かせてもらったよ。あんた達相当な悪党だね。マギー!容赦しなくていいよ。」
「お前らは何者だ?どこから現れた?まあいい、こいつらも一緒に殺せ!」
僕もマギーも怒りが限界に達した。2人の身体から爆発するように闘気が溢れ出る。
「マギー!こいつらは聖騎士だ。それなりに力がありそうだから、魔力を解放するよ。」
「わかったわ!」
マギーの身体が光始め、背中から純白の翼が出た。僕の銀髪も逆立ち瞳の色が黄金色へと変化した。さらに全身からは眩しい光が放たれる。
「き、き、貴様らは何者なんだ?」
「あんたに言う必要ないじゃない!それに知ったらちびるわよ!」
聖騎士達は僕達の姿を見て立ちすくんでいる。だが、隊長から檄が飛んだ。
「かかれ!教皇様の命令だ!今こそ役に立つことを証明するんだ!」
聖騎士達が思い直したように僕達に斬りかかってきた。僕はマサムネで受け止めた。マギーも背中の剣で受け止める。
「マギー!やるよ!」
「了解!」
僕の言葉が合図となって僕達は一気に聖騎士達を攻撃していく。誰も僕達の姿は見えない。ただ、そこにいたはずの聖騎士達が次々と死んでいくだけだ。
「な、なん、なんなんだ~!」
「ヒエー た、助けてくれ~!」
聖騎士達が恐怖を感じるのも当然だ。見えない敵が次々と仲間の首を撥ねていくのだから。そして、残り数人になったところで、隊長が怯えながら大声で言った。
「こ、こ、こっちには人質がいるんだ!姿を見せろ!人質がどうなってもいいのか!」
すると、ギンとメアリーがベネットを連れて倉庫から出てきた。
「隊長さん。残念だったわね。ベネットさんはもう救出したわよ。」
隊長達は逃げようとしている。
「逃がすわけだいでしょ。」
メアリーが転移して彼らの前に立ちふさがった。聖騎士達はメアリーに斬りかかろうとしている。メアリーが魔力を解放すると背中に純白の翼が出た。
「き、貴様もか?」
僕は隊長達の前にゆっくり歩いて行きながら言った。
「さっき、あなたはこの世界に神はいないとか言っていたよね?因みに彼女は天使だよ。そっちの彼女は聖女さ。それに人質のところにいるのは神獣のフェンリルなんだよ。これでも神はいないとかいうの?」
「ま、まさか、こんなことが。」
「だったら本当に神がいないかどうか見せてあげようか?」
僕は頭の中で7大神を念じた。すると、僕の頭上にゆらゆらと7大神達の姿が現れた。
「どうだい?これで信じてもらえたかな?あなた達の前に7大神様達がいるんだからさ。」
「わ、わ、私が間違えていました!お許しください!」
「それは無理だよ。あなた方には無限地獄で反省してもらうからさ。許される時が来るまで苦しむがいいさ。」
『ヘルダウン』
残った聖騎士達と隊長は黒い渦に飲み込まれていった。そして、僕達は魔力を戻して元の姿に戻った。すると、ベネットとヨハネが僕達の前に跪いた。
「知らぬこととはいえ、数々のご無礼お許しください。」
「別にヨハネさん達に謝られることは何もないですよ。」
「で、ですが」
「大丈夫ですから。僕達は全員が人族です。いいですね!」
「は、はい。承知しました。」
「今まで通りでお願いしますよ。」
「はい。」
僕達は全員で教会に戻った。そして、その日は全員疲れたので魔物の森の家で休むことにした。
「シン様。あの7大神様達は本物なんですか?」
「まっさか~!7大神様達もそんなに暇じゃないさ。」
「じゃ何なのよ!あの7大神様達は?」
「僕が作り出した映像だよ!」
「映像?」
「そうさ。ギン達の映像だって出せるよ。」
「本当ですか?」
僕は目の前にギン、マギー、メアリーの映像を出した。映像は僕の記憶と創造から生まれるのだ。僕はうっかり3人をバニーガールの姿で想像してしまった。
「え————!!!シン君、なんか厭らしい!」
「違うから!間違えただけだから!」
「本当ですか?シン様。いつもこんなことを想像しているんじゃないでしょうね?」
「違うよ。本当に間違えただけだから。」
するとマギーが悲しい声で言った。
「シン!せめて想像する時ぐらい私の胸もみんなと同じようにしてよね!」
「だから!間違えたんだってば~!」
「わかりました。今日は4人で一緒にお風呂に入っていただきますから。」
「わかったよ。」




