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神様修行の旅  作者: バーチ君
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教皇選挙の妨害

 僕達は教皇選挙に立候補しているヨハンを警護しながら聖都ビザンツまでやってきた。ヨハンに言われるまま小さな教会がある場所まで歩いて行くと、そこは貧民街だった。ヨハンの姿を見ると怪我人や病人達が教会に押し寄せてきた。そこで、メアリーが全員に治癒魔法を施し、僕は貧民街に住む人々のために料理をすることにした。空間収納から大量の食材を出して調理を始めると、ギンもマギーもメアリーもベネットも手伝ってくれた。しばらくして、いい匂いにつられたのか貧民街の各家から人々が出てきた。



「皆さんの分もありますから、テーブルや机、食器を用意してきてください。」


「やったぜ~!」


「何言ってるのよ!子どもが優先に決まってるでしょうが!」



 ライを使ったオムライや、オーク肉を使ったハンブルグやステーキと大人気だ。作っても作っても終わらない。結局、5時間の間ずっと作り続ける羽目になってしまった。



「疲れた~!」


「シン様。肩をオモミしましょうか?」


「頼めるかな~。」


「はい。」



 ギンとマギーとメアリーが交代で肩をもんでくれた。そこにヨハンがやってきた。



「メアリー殿。人々の病気や怪我は直せるのに、シン殿の肩こりは治せないんですか?」



ここで、僕は気づいてしまった。そうだ!自分で自分に『ヒール』をかければいいんだ。すると、僕が自分にヒールをかけるのをギンが止めた。



「ダメです!肩こりは魔法で治すべきではありません。私達がオモミしますので。」



 なんかよくわからない理屈だ。そんなこんなでその日は終わった。教会に泊まらせてもらった僕達は、翌朝からヨハンの選挙運動の護衛だ。僕達が用意した紙を貧民街の人達が街の人達に配って歩いた。僕達は街頭演説をするヨハンの警護に当たっている。



「おい!お前達!誰の許可を得てここで演説をしているんだ!」



 いきなり聖騎士2名がやってきた。



「別に許可は取っていませんよ。ここは公道ですから。許可は必要ないはずですが。」


「変わったんだよ!これからは公道で演説するときは聖騎士隊の本部に来い!そこで許可書を発行するからな。」


「わかりました。」



 僕達は演説をやめて聖騎士隊の本部に行った。大聖堂に隣接した建物だ。中に入ると教皇の肖像画が大きく飾られていた。



「街頭演説の許可を取りに来ました。」


「なるほど、お前がヨハンか。いいだろう。許可してやろう。だが、身辺には気を付けるようにな。長生きしたければ立候補を取り下げるんだな。」



 隊長らしき人物がヨハンに圧力をかけている。短気なマギーが文句を言いそうになったが、僕はマギーの口を塞いで外に出た。



「ダメだよ!マギー!」


「どうしてよ!さっきのあれって脅しでしょ?あんなこと言われたらみんな立候補できなくなるわよ。」



 ギンは冷静だ。



「マギー!脅された程度で立候補しないなら、初めから立候補なんかしなくていいと思うわよ。だって、死ぬ気で頑張ろうっていう覚悟がない証拠だもの。」


「私もギンさんの言う通りだと思うわ。」


「そうね。そうよね。脅されたぐらいでね~。」



 だが、彼らの言葉は脅しではなかった。立候補を表明していた他の司教が惨殺体で見つかったのだ。



「シン!あいつらよ!きっと!」


「証拠がないよ。」



 その日もヨハンは街頭演説に向かった。今回の護衛は僕だけだ。ギン、マギー、メアリーには紙を配る人達の警護に行ってもらったのだ。すると、メアリーから思念で連絡があった。



「シン君!紙を配ってくれてる人が暴漢に襲われたわ。」


「ケガは?」


「大丈夫よ。すぐに私が対応したから。」


「わかったよ。」



 すると今度はギンからだ。やはり同じようにビラ配っている人達が暴漢に襲われそうになったようだ。そして、マギーからも連絡があった。ビラを配っている子どもが誘拐されそうになったようだ。



「限界かな。」



 僕のポツリと言った独り言をヨハンが聞いていたようだ。



「シン殿。どうしました?何かあったんですか?」


「ビラを配っている人達が暴漢を装った何者かに襲われたそうです。」


「怪我人や死人が出たんですか?」


「大丈夫ですよ。みんながしっかり警護していますから。」


「よかったです。」



 ヨハンは心の底から安心したようだ。その日の街頭演説も終わって僕達が教会に戻ると、すでにほかのメンバー達も帰って来ていた。



「皆さんありがとうございます。今日は大変なことがあったようで申し訳ありません。」


「いいんだよ。司教様。司教様のような人が教皇になってくれたら、この国だって平和になるだろうからさ。」


「ありがとう。みんな。」


「ヨハン先生!泣かないでよ!僕達、頑張るからさ~!」



 子ども達も健気だ。しばらくして、みんなで食事を食べていると教会に石が投げ込まれた。その石は紙に包まれていて、紙にはベネットが攫われたことが書かれていた。



『女を助けたければ一人で郊外の倉庫まで来い!誰にも言うな!言ったら女の命はない!』



「どうしますか?ヨハネさん。」


「当然一人で行きますよ。」


「間違いなく罠よ!」


「マギーの言う通りですよ。僕に考えがあります。」


「シン殿の考えを聞かせてくれませんか?」


「ええ、いいですよ。ただ、驚かないでくださいね。」


「はい。」



 僕は魔法を発動して姿を消した。ギンとメアリーとマギーの姿も見えない。



「えっ?!皆さん!どこに行ったんですか?」


「ちゃんとここにいますよ。」



 僕達は再び姿を見せた。ヨハンは椅子から落ちそうなぐらい驚いた。



「ま、魔法なんですか?」


「ええ、そうです。魔法で僕達の姿を見えなくしたんですよ。」


「そんなことができるんですか?」


「そうですね。細かい説明はしませんが、これでわかってもらえましたよね?」


「はい。僕の周りに皆さんが一緒に護衛でいていただけるということですよね。」


「そうです。ギン!メアリー!ベネットさんの救出は頼んだよ。」


「はい。」


「大丈夫よ。シン君。私とギンさんに任せといて。」



 それから僕達は行動を始めた。ヨハンは一人で指定の倉庫に向かった。僕とマギーは姿を消してヨハンの近くで魔力感知を発動している。途中で命を狙われるかもしれないからだ。ギンとメアリーも姿を消して一足先に倉庫に向かった。


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