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神様修行の旅  作者: バーチ君
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帝国軍の侵攻を阻止する!

 僕達はイエティーの案内で竜人族の村に行った。そこではイエティーと竜人族が幸せに暮らしていた。古代竜のギドラといろんな話をして時間を過ごした僕達は、翌朝、山の反対側に向けて出発しようとした。すると、キドラが声をかけてきた。



「シン様。山の向こう側に行くのであれば我々がお連れしますよ。」


「いいの?」


「はい。雪山は慣れていますから。それに、われらもシン様達のお役に立ちたいですから。」


「ありがとう。じゃあ、お願いするよ。」



 キドラ達とその仲間達がドラゴンへと変身した。僕達はその背中に乗って山の反対側まで連れて行ってもらった。



「ここでいいよ。あまり、街の近くまでは行かない方がいいだろうからさ。」


「畏まりました。」



 キドラ達は僕達を下した後、再び山に戻っていった。



「さすがにドラゴンよね。あっという間だったわ。」


「ここからは歩いて街に向かうよ。」


「はい。」



 僕達は歩いて国境の街セキハラに向かうとことにした。街に近づくにつれてだんだん警備が厳しくなってきた。兵士達の数も多い。そして、僕達が街に入ろうとすると兵士が走ってやってきた。



「もしやシン様達ですか?」


「そうだけど。」


「チャーチル陛下より承っております。どうぞこちらに。」



 僕らは領主の館のような場所に案内された。そこにはこの辺りを守る貴族達がいた。僕達の姿を見ると、全員が席を立った。



「どうしたんですか?皆さん座ってください。」



 すると、一人の貴族が前に出て話してきた。



「皆さんのことはチャーチル陛下からの書状で伺っていましたので、みんな緊張したのでしょう。」


「僕達は普通の人族です。そう思っていただいて結構ですから。」


「わかりました。私はこの戦いの総司令官を任されているサンドリアと申します。」


「サンドリアさんですね。僕はシンです。彼女達はギン、マギー、メアリーです。よろしくお願いします。」


「こちらこそ。よろしくお願いします。」


「早速ですけど、帝国の動きや現状を教えていただいていいですか?」


「わかりました。」



 この街セキハラという街は細長く、北、西、南と帝国と接していて、東には僕達が越えてきた高い山がある。帝国の軍隊は北と南にも配置されているが、主力部隊は西にいた。さらに軍事国家だけあり、武器が充実しているようだ。魔石を利用した様々な武器を持っている。自動で動く馬車、つまり戦車だ。それ以外にも銃火器も備えていた。この世界にはあまりにも不自然な武器だ。



「サンドリアさん。あの武器は何なんですか?」


「あれは自動で動く馬車ですね。あの前に突き出した筒から金属の球が飛んでくるのです。我が隊はあの馬車にさんざんやられました。」


「でも、あれって帝国が作ったんですねよ?」


「そうですが、捕虜から話を聞くと、どうやら帝国内にある古代遺跡から発掘されたものを真似て作ったようです。」


「なら、そこにある筒の武器もそうですか?」


「はい。これも金属の弾が飛び出すんです。帝国がこの短期間に他国を亡ぼせた理由がわかる気がします。」


「確かにそうだ。この文明が遅れた世界に地球の武器があれば勝てるはずだ。」



 僕達は休憩させてもらうことにして、その場を離れた。



「シン様。顔色が悪いようですが。」


「ああ、ギン達も見たよね?あの武器。」


「うん。なんかすごく強そうだったよ。」


「そうさ。あれは戦車って言って、本来この世界にあってはいけない武器だよ。」


「なら、あの筒状の武器もなの?」


「そうだよ。マギーやメアリーが上空に舞い上がった瞬間に撃たれて殺されるよ。」


「そんなにすごい武器なの?なら、どうするのよ!」


「シン様。どうするつもりですか?」


「あの武器を破壊するだけなら簡単なんだけど、でも、近くにいる兵士達も犠牲になるからさ~。」


「シン君。相手は帝国の兵士達なんでしょ!攻めて来てるんだから、しょうがないと思うんだけど。」


「でも、メアリー。その兵士達にも家族がいるし、中には強引に連れてこられてる人だっているかもしれないよね。」


「それはそうだけど~。」


「なら、どうするのよ~。」



 僕はしばらく考えた。やはり、兵士に犠牲者が出ることは覚悟しなければいけないかと思い始めた時に、僕達の目の前に光球が現れた。7大精霊達だ。



「水臭いぜ!シン様。困ったときは俺達を呼ぶように言ってあったじゃないか!」


「そうですよ。サラマンダーの言う通りですよ。私達が協力しますよ。」


「ありがとう。みんな。」



 僕達は北、西、南に位置する帝国の部隊を攻撃する役割分担を決めた。今回の戦いは、勝つことが目的ではない。相手の武器を殲滅し、戦う気力を奪うことが目的だ。戦車のない北にはマギーとメアリー、それに光の大精霊のウイスプと闇の大精霊シェイドに行ってもらう。南の戦場にはギンと森の大精霊ドリアード、風の大精霊シルフだ。そして、最大戦力である本体のいる西には僕と火の大精霊サラマンダー、水の大精霊ウンディーネ、土の大精霊ノームが向かうことになった。



「じゃあ、各自念話で連絡を取り合いながら戦うよ。」


「了解!」



 僕達はそれぞれの場所に向かった。北の戦場に到着したマギーとメアリーは、姿を消して兵士達に拳をお見舞いしていく。



グハッ グホッ



 近くにいる兵士達は、突然仲間が倒れるのでパニックになっている。



「どうしたんだ?」


「何が起こっているんだ?」



 すると、そこに空から大精霊のウイスプとシェイドが舞い降りる。大精霊達を見て、さらにパニックは広がっていった。ウイスプが手を広げて魔法を唱えると、兵士達が手に持つ武器は光の粒子となって消えていく。シェイドが手を広げて魔法を唱えると、兵士達の持つ武器が黒い影の中に飲み込まれてしまった。こうなると、兵士達にはどうにもできない。ここで、マギーとメアリーが姿を現し、魔力を開放した。背中に純白の翼を持った天使がいきなり現れたのだ。全員が跪いた。



「ホーク帝国の皆さん。私は聖女メアリーです!あなた方は間違いを犯すところでした。神はあなた方が人殺しをするのを喜んでいません。わかりますね。神は愛の化身です。武器を捨て、平和に暮らすのです。いいですね!」



 兵士達は全員が震えている。自分達が過ちを起こそうとしていたことを悔やんでいるようだった。一人立ち上がり二人立ち上がり、そして全員が立ち上がって、腰の武器もすべて捨ててその場を立ち去った。



「さすがね。メアリー!」


「うんうん。ウイスプさんとシェイドさんのおかげよ。ありがとうございます。」


「いいのよ!じゃあ、またね!」



 役目を終えてウイスプもシェイドも帰っていった。


 南の戦場でも、森の大精霊ドリアードと風の大精霊シルフが姿を現した。初めて見る大精霊の姿に兵士達は驚きを隠せない。



「あの美女達は何者だ?」


「もしや、大精霊なのか?どうして大精霊がこんな場所に?」



 すると、兵士達の持つ武器が次々と草木に変わっていく。銃火器から蔓が出てきたのだ。兵士達はそれを慌てて振り払おうとする。すると、ギンがフェンリルの姿に戻り、口から冷気を吐き出す。その冷気に合わせてシルフが風を起こす。兵士達は体が凍えて手を動かすことができない。そこで、フェンリルの姿のギンが兵士達に言った。



「お前達はまだ戦おうとするのか!もしまだ戦おうとするならば、神獣であるこの私や大精霊達、さらに神をも敵にまわすことになるのだぞ!」



 ギンが本気モードで上空に向かって魔法を放った。空からは氷のかけらのようなものが落ちてくる。周りを見ると、地面も木々も兵士達以外のものは全て凍り付いてしまった。すると、兵士達の中から後悔の言葉が出始めた。



「申し訳ありませんでした!お許しください!2度と戦争に参加しません!」


「お、俺もです!俺も絶対に戦争には参加しません!」



 全員がギン達に跪いた。



「わかればいいのです。神はいつでもあなた方の行いを見ていますよ。罪を犯すものは無限地獄に送られることになります。わかりましたね!」


「は、はい!」



 兵士達はその場からぞろぞろと立ち去って行った。



「ありがとうございます。ドリアードさん。シルフさん。」


「いいのよ。でも、あなた物凄く綺麗ね。さすが神獣だけのことはあるわね。」


「そうでしょうか。」



 ドリアードもシルフもニコニコしながら帰っていった。



 そして、僕が向かった西の本隊がいる戦場だ。目の前には戦車が十数台控えている。


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