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神様修行の旅  作者: バーチ君
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ヤン王国で悪人退治

 ヤン王国に入った僕達は貧しい農村に行った。話を聞くと新しい領主のロンバルト子爵の悪政が原因のようだった。そこで、ロンバルト子爵の館のある街まで行ったのだが、その街では若い女性達が全員フードで顔を隠していた。不思議に思っていると僕達は兵士達に連行されることになった。兵士達に連れてこられた場所はどうやらロンバルト子爵の屋敷のようだった。



「ここだ!中に入れ!ただし、武器は全部ここに置いて行けよ!」


「なんでよ!別に聞きたいことがあるだけなら構わないじゃない!」


「うるさい!いうことを聞け!」


「マギー!いわれた通りにしようか。」


「まあ、いいけどね。」



 僕達が屋敷の中に入ると、広い庭で兵士達が酒を飲んでいた。そして、兵士の一人が館に入って行った。しばらくして、太った男と一緒に戻ってくると、酒を飲んでいた兵士達が立ち上がって門の入り口を塞ぐように立った。



「お前達、でかしたぞ!すごい美男美女ではないか!」


「あの~。僕達に何か用ですか?」


「わしはこの領地を預かるロンバルト子爵だ。お前達をわしの妾にしてやろう。ありがたく思え。」


「僕は男なんですけど。」


「男でもよい!わしは綺麗なものが大好きだからな。後でじっくり楽しませてやるからな。ウヘッヘッヘッ」


 

ロンバルト子爵は気持ち悪い笑顔をしながら兵士に命令した。



「この者達をわしの部屋まで連れてまいれ!」



 すると、ギンもメアリーもマギーも苦々しい顔をした。



「ちょっと、シン!きもいんだけど!私もう我慢の限界!」


「シン君、私もよ。」


「私もです。シン様。汚いものはすぐに処分しましょう。」



 どうやら3人ともロンバルト子爵に嫌悪感を抱いたようだ。



「貴様ら!何を言っているのかわかっているのか!



 門の前にいる兵士達が一斉に武器を構えて僕達を取り囲んだ。



「みんな、こいつらに容赦はいらないよ。」


「わかってる。」



 兵士達は一斉に僕達に斬りかかってきた。武器を持たない僕達は体術と魔法で対処する。



ボコッ バコッ


グハッ


スパン


ギャー



 片手や片足を失った兵士達は痛みに泣き叫びながら転がっている。



「ギャー た、た、助けてくれー!!!」



 中には逃げ出そうとする者、恐怖のあまり腰が抜けて失禁する者もいた。



「逃がすわけないでしょ!」



 マギーが逃げようとしている者の前に瞬間移動して拳をお見舞いする。そして、とうとうロンバルト子爵だけとなった。



「き、き、貴様ら!わしにこんなことをしてタダで済むと思っているのか!わしの後ろには公爵殿下がいるんだぞ!この国を敵にまわすことになるんだぞ!」


「シン様!この者は状況がわかっていないようです!わからせましょうか!」


「そうだね。」



 するとギンがフェンリルの姿になった。



「私は神獣フェンリル!お前達はわかっていないようだから教えてやろう!われらが本気になれば、この国など亡ぼすことなどたやすいのだ!」



 ロンバルト子爵は顔面蒼白状態だ。そして、いきなり地面に頭をつけて謝り始めた。



「お許しください!私が間違えておりました!どうかお許しください!」


「ダメだよ。あなたは許されないほどの罪を犯したんだ。しばらく地獄で苦しんでくるがいいさ。」



『ヘルダウン』



 ロンバルト子爵の頭上に黒い渦が現れ、ロンバルト子爵はその中に吸い込まれていく。



「ど、どうかご慈悲を~!!!」



 ロンバルト子爵の姿が消えた。残った兵士達は体から血を流しながら、痛みをこらえて僕達に平伏している。



「シン!こいつらはどうするの?」



 すると、僕達を案内してきた兵士達が声を震わせながら言った。



「私達はどんな罰も受けます!国を、この国を亡ぼすのだけはお許しください!か、か、家族がいるのです!どうか、どうか・・・・」



 全員が地面にうなだれている。どうやら同じ気持ちなのだろう。少しは人間の心が残っているようだ。


 僕は魔力を少し開放する。すると、僕の身体から神々しい光が出た。



『リカバリー』



彼らに魔法をかけると、彼らの身体が光始め、失ったはずの手と足が元に戻っていく。



「き、奇跡だ~!」


「か、み、神様だ~!ハッハー」



 僕は彼らに言った。



「あなた達はロンバルト子爵の手足となって悪事に加担した。その事実は消すことができない。だが、犯した罪を償うことはできる。もし、再び悪事に関するようなことがあれば、ロンバルトと同様に無間地獄に送るから、覚えておくがいいさ。」



『ギルティーリング』



 彼らの首に黒い輪がはめられた。



「この首輪は悪事を行えば即刻あなた達の首を落とすことになるよ。でも、償いをして罪が許されたときにはその輪は外れるから。」



 全員が平伏したまま泣いていた。そして、僕達は子爵の屋敷を後にした。



「みんな。王都に行くよ。この国の大掃除をしないとね。」


「なんかさっきのシンって本当に神様になったみたいだったよ!」


「そうかい。ありがとう。」


「シン君、なんか以前よりもすごく成長しているように感じるんだけど。」

 

「そうかもしれないね。ギンもメアリーもマギーも成長してるし、同じだよ。」



 ロンバルト子爵が行方不明になったことは瞬く間に、周囲に知れ渡った。神様とその御伴達が現れ、悪人ロンバルト子爵を成敗したという噂が流れたのだ。



「シンさんってやっぱり神様だったのかな~。」



 村にいるカムイはしみじみと思った。


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