15:私、変われました!・2
「ありがとう、シフレー嬢。君にはずっと感謝ばかりだ。この目のことも綺麗だって言ってくれたし。……好きになってくれてありがとう」
「い、いえ、そんな」
にこりと笑って頭を下げたロベルト様。本当に感謝してくれているみたいで、私は戸惑います。そんな、頭を下げてもらうことではないのに。
「私はね、母が外国の人だと話したよね?」
紫色の目は北の大国出身のお母様譲りだ、というお話でしたので、頷きます。
「その北の大国で母は伯爵家の令嬢で。父は婿入りしていたんだ。政略結婚だったけど、仲は良かったと伯父からも母方の祖父からも聞いている。
それで、この国の学校を卒業したら彼方の伯爵家の跡取りになることが決まっているんだ。本当はずっと北の大国で生まれ育ってそのまま両親の後を継ぐ予定だったんだけど。
父が生前、この国を見せたいって私に話してくれていて。両親が亡くなった時は何も考えられなかったんだけど、母方の祖父が、父の生まれ育った国を見てみないかって言ってくれて。それでこの国の公爵である伯父一家の元で暮らしていた。
長期休みは、毎年北の大国へ行って、祖父にも会っていてね。だから今年もその予定。
それで。
卒業したら、彼方へ行って伯爵家を継ぐ。
そのために伯爵家の跡取り教育も受けているんだ。
だから」
そこで言葉を切ったロベルト様に、私は気持ちには答えられない、と言われるのだと分かりました。
だから。
「分かりました。私は、ロベルト様に気持ちを伝えられれば、それでいい、と最初から思ってましたから。お友達のままでいて下さるなら、それで」
私は、ニコッと笑って言います。
でも。
何ででしょう。
笑ったつもりなのに、ロベルト様のお顔が歪んで見えて。
瞬きをするたびに、熱いものが溢れ落ちます。
私はーー笑いたいのに、泣いてるみたいで。
「ご、ごめんなさい。ロベルト様、あの、泣きたいわけじゃなくて!」
これでは優しいロベルト様を困らせてしまいます。止まれ、止まれ、泣かない!
「ああ、そんな風に目を擦ったら赤くなるし、目を痛くするよ」
慌てたロベルト様の声。必死に拭う私を見かねたのか、ハンカチが目に当てられました。
ビックリして、止まれって願ってた涙が止まりました。
「ロベルト様……」
ハンカチで涙を拭ってくれたロベルト様が困ったように笑いながら
「最後まで話を聞いてくれる?」
と言うので、コクリと頷きました。
「彼方に行って伯爵家を継ぐけど。学校を卒業するまでは此方に居るし、私もシフレー嬢を好ましく思う。好き、という感情まではいかないかもしれないけど、でもいいな、とは思っているから。
だから、今はまだ友達のままで、もう少し、お互いのことを知っていこう。
お互い、もっと仲良くなって、それからまたその後のことを考える。それでどうかな?」
優しく優しく笑ってくれたロベルト様の提案に、私は言葉も出ず、コクコクコクコクと、何度も頷くしか出来なかったですが、ロベルト様は分かってくれたようで。
「じゃあこれからよろしくね、シフレー嬢」
優しい声で“これから”があることを教えてくれました。
翌日、リコリナ様達に今日の結果を全てお話することになるのは、まぁ当然のことでしたね。
でも、私、変われました!
お読み頂きまして、ありがとうございました。
最終話までお付き合い頂きまして、ありがとうございます。
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