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15:私、変われました!・1

「し、シフレー様っ」


 私がピーテル様に言いたいことをたくさん言ったのをずっと見ていたリコリナ様が、何も言えずに去って行ったピーテル様を見送ってから、私の名前を呼んで「感激しましたわ!」 と抱きついていらっしゃいました。

 ちょっと驚いて、何に感激したのでしょう?


「あの、リコリナ様」


 私の戸惑いに気づいたようにリコリナ様は私から離れると、ギュッと両手を握って。


「だって。だって、私はシフレー様が、あの方と婚約していた時を知ってます。私達の目の前でシフレー様のことを悪し様に言うのも見て来ました。お止めしたのに、全く聞いてなくて、婚約者だから何を言ってもいい、とか有り得ないことを言うあの方にとてもイライラもしてました。

 シフレー様は、婚約者なのだから……と諦めたような表情ばかりだったのに。あんな風にはっきりと思ったことをお伝えして、それどころか、やり込めるなんてっ。とてもスッキリしましたし、感激しましたわ」


 確かに、リコリナ様達には随分と心配をかけてしまってました。反省です。


「自分に自信がついたからでしょうか。たくさん言いたいことを頭の中で考えていたのです。もし、次にピーテル様が何か言って来たら、言いたいことをたくさん言おうと思って」


 少し照れ笑いでリコリナ様に言えば「そうですわ! それで良いのです!」 と同じように笑って下さいました。

 そこで、ロベルト様とご友人の方の視線に気づいて、私はハッと我に返りました。


「お見苦しい所をお見せしました」


 しょんぼりしながらお二人に頭を下げると、お二人とも気にしてない、と言って下さり、おまけにはっきり言えたことをリコリナ様のように喜んで下さいました。

 それからロベルト様とご友人の方に、ピーテル様について軽くご説明し、お二人が理解して下さったことを確認して。気持ちを切り替えるように長期休みについて、色々と話しました。


「じゃあ長期休みの計画はそれでいいかな」


 ロベルト様がまとめられたので、話し合いは終わりになりましたが、私は、先程ピーテル様に言いたいことが言えた反動なのか、この勢いでロベルト様にお伝えしよう、と心に決めました。


「あ、あの、ロベルト様」


「ん?」


「少しだけ、お話を」


「いいよ。じゃあ……少し向こう行こうか」


 リコリナ様は、私の決意に気づいたようで小声で頑張って、と言ってくれました。

 リコリナ様・ロロナ様・カッツェ様には、ロベルト様に恋をした気持ちを伝えてあります。だからこその長期休みの計画なのです。

 此処で私の気持ちを受け入れてもらえなかったとしても、ロベルト様なら、きっと友達で居てくれると思うので。長期休みに皆さまで会う時も、学校が始まる頃……つまり長期休みが終わる頃です。それまでには、失恋しても私の気持ちは落ち着くでしょう。……多分。


「それで話って?」


「あの、急にこんなことを言うとお困りかもしれないですが。私、あの、ロベルト様のことが、好き、です。だから、あの、ええと。お友達のままでいて下さい!」


 ピーテル様に言いたいことを言った時とは違って、緊張で胸がバクバクして。言葉は詰まってしまって。

 目をギュッと閉じて、好き、の一言を搾り出して。

 でも、お付き合い、とか。したくないわけじゃない、ですけど、そうならないと思うので、お友達のままでいて下さい、とお願いしました。


 沈黙。

 居た堪れなくて、そっと目を開けて目の前に居るロベルト様をチラリと見たら、目を丸くしてました。


 あああああ! 急にこんなことを言われて驚かせてしまったんですね! ごめんなさいっ。


「驚いた」


 謝ろうとした私より先に、ロベルト様がそう言って笑いました。そうですよね。そう思います。私だって、逆の立場なら驚きます。だって元婚約者とアレコレ言っていたのに、その後急に告白されるんですもんね。驚きますよね。こんな事あるなんて思わないですよね。

 しょんぼりと肩を落として顔を俯かせた私。

 でも、その私の耳に。


「ありがとう」


 って、ロベルト様の声が聞こえて、思わず顔を上げてロベルト様を見ました。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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