14:今度は逃げません!・1
自分に自信が付いてきて俯くことが無くなった私は、ロベルト様と話すことも前より気後れしなくなっていました。
髪の色も目の色も変えられるわけでは無いのですが、髪や肌が艶々して来たからか、伯母もリコリナ様達友人も、普段はあまり私を褒めることがないシリックとデリックも、そして目の前に居るロベルト様も。
「見違えるようになったね」
と、よく仰ってくれます。特に、その、恥ずかしながらロベルト様への気持ちを自覚した私としては、ロベルト様に言われれば言われる程、もっと褒めてもらいたいな、と綺麗になりたい気持ちが増えまして。ユーレ様から教わった食事に睡眠に運動だけでなく、化粧水を使用した肌のケアも欠かしていません。成人すると社交デビューもしますから、その際に必要な化粧の方法も、侍女達と一緒に学びました。
社交界へのデビューの時は学校の長期休みを利用するために、実家に帰りますから、実家の侍女達にこの化粧方法で綺麗にしてもらうのです。まぁまだ数年は先なんですけど。でも、そろそろデビューの時に着るドレスのデザインや小物を選び始めても良い頃ですね。もう直ぐ来る長期休みで、母や姉と話し合いましょう。
また、長期休みはリコリナ様・ロロナ様・カッツェ様と四人でお泊まり会も行う予定なのです。それも楽しみですし、多分、毎年家族旅行もしていましたから、今年も家族旅行をする事にもなるでしょう。姉の結婚式が来年ですから、今年は最後の家族全員での旅行になりますし。絶対有るはずです。母からの手紙にも計画を立てている、と書かれていましたし。
そんな長期休みのことで頭がいっぱいだった私に、伯母が「シフレーちゃん、いいかしら」 とお茶を誘ってくれたので、席に着いたところ。
「実はね、ユーレ様が旅立ってしまったの」
「えっ」
きちんとお礼も言えないまま、ユーレ様は旅に出てしまったらしい。
伯母が言うには、商会をこの地だけでなく他の土地でも経営していて、普段はユーレ様が足を運んで商品を持って来ることはあまりないのだそう。
「本当に、気紛れというのとは違うけれど、偶然、今回はユーレ様に来てもらえていたから、相談出来たのよ。彼女はより良い化粧品作りが出来るように自分の足で素材を集めに出向いたり、経営する店が此処の他に地方にあと二つあって、その三店へ自ら足を運んで経営状態を見たり、と忙しい人だったの」
そんな忙しい中、私の話を伯母から聞いたユーレ様は、変わりたい、と望む私の気持ちに共感して此処に留まっていてくれたらしい。
「そう、だったのですか……。私、きちんとお礼を言えませんでした」
「私も急に聞いたから、シフレーちゃんに話す時間がなかったの、ごめんなさいね。でも、手紙を書けばいいと思うわ。お店の方にユーレ様宛で出すと、時々ユーレ様が居る所へ手紙を持って行くみたいだから、その時に一緒に持って行ってもらえるように頼みましょう。ユーレ様も、そうして欲しい、と言っていたから」
私は、伯母の薦めもあり、今の自分の状況を伝えることと、俯くことが無くなって自信がついたこともお礼の言葉と共に手紙に認めました。
また会えた時は、きちんとお礼が言えるといいな、と思います。
お読み頂きまして、ありがとうございました。
ユーレは、この後は出て来ません。元々その後を少し書きたいな、と思って端役で出す予定でしたので。




