13:変わりたい私に現れた素敵な人・2
その日から伯爵家の侍女の手を借りる事にしました。元々、伯母は私付きの侍女を……と言ってくれていたものの、ただでさえ学校に通う間は伯爵家に住まわせてもらうのに、更に専属で付けてもらうのは居た堪れず、専属ではなく、必要な時だけ侍女の手を借りたい、とお願いしていて。だから普段は自分で身支度を整えていました。でも、ユーレ様が言うには折角、手を借りられるのならば、借りてもいいのではないでしょうか、と。平民だと一人であれもこれもやるのは当たり前だけど、貴族はお世話をしてもらう事も仕事なのだ、と。
理解出来なくて首を捻れば。
侍女の仕事はメイドとは違い、洗濯や掃除等をするのではなく、その家の人間に仕えることが仕事。だからお茶の支度だったり身支度だったり起こしたり寝支度だったり……と、その仕える相手が気持ち良く過ごせるように動くことが仕事。だから夫人や令嬢は、お世話をしてもらう事が仕事なのだ、と。侍女の仕事を作ることも主人として必要なこと、とユーレ様が言う。
もちろん、使用人を人扱いしない、という考え方は別だけど、仕事を与えないのは主人失格。私が伯爵家の人間ではなくても、伯爵家が客人として見做しているのだから、私は伯爵家の使用人から見れば主人と同等に仕える立場。だから、堂々と侍女の手を借りなさい、とユーレ様に諭されました。
そういえば、伯母も「気にしないでいいのよ、それがあの子達の仕事なんだから」 と言ってました。その時は、でも伯爵家の人間ではないのに……と思っていましたが、ユーレ様の説得には頷く以外無くて。
そんなわけで伯母に頼んで歳の近い侍女を三人付けてもらい、彼女達にも改めてお世話になることをお願いしました。変わりたい、と願う私の気持ちを汲んでくれた侍女達は、任せてください、と力強く請け負ってくれ。その侍女達と一緒に質の良い睡眠の取り方をユーレ様から教えてもらったり、野菜や果物を多めに食べるだけでなく適度に身体を動かすのも必要だと言われて毎朝、散歩することを勧められました。あと、ダンスは貴族にとって必須ですが、週に一回はダンスをきちんと練習するように、と。
実際に若く見えるユーレ様や、そのユーレ様の指示で若さを保つ伯母を見れば、言われた通りにする方がいいのでしょうが……見た目に反してユーレ様は厳しいお方でした……。
「最近、シフレー様、髪が艶々になりましたわね?」
学校の長期休みがそろそろ、という頃になってリコリナ様がそのように言って下さいました。
「そうですよね! しかも肌も滑らかですわ!」
ロロナ様からもそう言われ、カッツェ様は何をしているのかお尋ねされ。私は皆さまに伯母の紹介でユーレ様に出会ったことをお話しました。
当然、おしゃれに興味のある私達ですから、三人も目を輝かせて話を聞いて下さり。かと言って学生である身だから華美なことは学校側からも禁じられているので、食事に睡眠に運動に、と健康的な生活を送るようになったら今の状態になったこともお伝えしました。
「まぁ! 野菜は確かに健康には良いと聞いてましたが、果物も必要だったとは!」
カッツェ様が驚いた顔をしながら、身体を動かすことも良いと知った皆さんが、自分達も身体を動かそうということになって。更に私達は仲良くなりました。
「それにしても、なんだかシフレー様はご自分に自信がついたのか、随分と目線が上を向くようになりましたね」
と、リコリナ様から指摘されて、そういえば俯くことがなくなったことに気付きました。
そうしたらクラスの子達からも声をかけられることが増えました。これも、ユーレ様のおかげなのでしょうか。そうだといいな。
お読み頂きまして、ありがとうございました。




