13:変わりたい私に現れた素敵な人・1
「伯母様、明日は学校に行きますね」
心配をかけた伯母に話がしたい、と伯爵家の侍女にお願いして伯母に時間を取ってもらい、自分の気持ちだけを焦って告げたら、なんと伯母は来客中。えっ。お客様が来てたの⁉︎ しかも挨拶もしないで私ってばなんてこと! サァッと血の気が引くってこういう事なんだ、と頭の何処かで思いながら、どうしよう、どうしよう、と焦ります。
「あらあらシフレーちゃん。もう大丈夫?」
伯母はお客様に挨拶もしないで話し出した私を叱る事もなく朗らかに笑って私を気遣ってくれる。それからお客様に視線を向けた。
「シフレーちゃん、この方はね、私が使う化粧品店のオーナーなのよ」
伯母に紹介された女性は私より十歳くらい上の若く綺麗な人だった。慌てて名乗って今度はきちんと挨拶をして、何とか取り繕えたと安堵する。
「シフレー様ですね、はじめまして。私はユーレと申します」
「ユーレ様」
とある男爵の夫人だけど、今は夫から休暇をもらっているので男爵夫人の活動はしておらず、前からやってみたかった化粧品店を経営している、と説明してくれました。旦那様から休暇をもらう……。そういう夫婦もあるんですね。
「ユーレ様はね、こんなに若く綺麗だけど、シフレーちゃんよりかなり年上の娘さんが居るの」
伯母の話に目を丸くしてマジマジと見てしまった。ユーレ様はニコニコと笑いながら頷きます。えっ、こんなに若く見えるのに私より年上の娘さんがいる⁉︎ だってユーレ様って何歳なの⁉︎ 私、てっきり二十歳から二十五歳くらいだと思いましたけど⁉︎
「えええ! 二十五歳くらいかなって……」
「まぁ! シフレー様に、そんなに若く見えてもらえるなんて思いませんでした! 年齢をはっきりとは申しませんが、そうですね。伯爵夫人より歳上だと思って下さいな」
えっ。伯母は三十代半ばですが……、その伯母より歳上ですか⁉︎ こんなに若く見えるのに⁉︎ 伯母も若く見える人ですけど、でも、実年齢を知らなかったら確かに伯母も二十代に見えますね。驚きです。
「それでね、シフレーちゃん。あなたの母には許可を得ているのだけど。あなたが嫌じゃなかったら、ユーレ様からお化粧の方法とか、髪を艶々にする方法とか、教わってみないかしら?」
私は、ハッと伯母を見ました。私が長く見た目を気にしていることを知っていて、今回、ピーテル様に傷つけられて気落ちした私に、何とか気分を上げられるよう、ユーレ様を紹介してくれたのだ、と気付きました。
「伯母様……ありがとう、ございます」
伯母の優しさに涙が溢れます。あらあら、なんて笑いながらハンカチで私の涙を拭った伯母。少ししてから落ち着いた私はユーレ様を改めて見ました。
「あの、ユーレ様。私、変わりたいんです! 変わりたい、と思ってます。好きな人に、好きって言う自信がないし、嫌いな元の婚約者に言われたままじゃなくて言い返したいんです! だから、少しでも私が可愛くなれるように、教えて下さい!」
「承知しました、シフレー様。シフレー様、そう思うことが綺麗になるのに大事なんですよ」
ニッコリ笑ったユーレ様は、先ずは、睡眠をきちんと取って好き嫌いなく野菜と果物を多く摂っていくことから始めましょう、と早速綺麗になる方法を教えて下さいました。
お読み頂きまして、ありがとうございました。
今話で出て来たユーレは、拙作【目が覚めたら……】の女主人公です。【目が覚めたら……】のその後のユーレ。世界観をふんわり設定していたので、本作を書き始める時に、何となくユーレを出せるな、と思いましてユーレを登場させました。あらすじの“とある女性”はユーレのことです。今のユーレはこんな感じ。【目が覚めたら……】の時間軸から一年以上は経過していると思って下さい。




