12:知られたくなかったこと・2
シリックとデリックも今回の件は怒ってくれました。特にデリックは目の前で見ていたロベルト様のお話を聞いたことと、ロベルト様のお怒りも聞いたことを私に伝えてくれました。女性に対して暴言と暴力を浴びせるあの男はなんなのだ、とも言っていた、と。
「婚約者だった、と話したの……?」
デリックに恐る恐る尋ねる。話してしまっても仕方ないとは思うけれど、ロベルト様には私の口から説明したい、と思ったから。
デリックは気になるならシフレーに直接尋ねるように助言した、と伝えてくれたそうです。知られたくないから良かったとも思うし、自分で説明した方がいい、と思ったのにいざ話すことになったら話せる気がしないとも思う。
「明日は休むといいわ」
伯母に言われて素直に頷く。ロベルト様に話さないと、という焦りのような自分でも説明つかないモヤモヤする部分が気になっていたので、明日は休むことにホッと安堵の息をついた。
一日休んで自分の気持ちと向き合ってみました。
「ロベルト様にピーテル様のことを話す。でも、ピーテル様のことを知られたくない。話すと決めているのに、どうしてなの……」
ロベルト様のことを思うと、キラキラした紫の目と優しいと言って笑ってくれたあの日を思い出します。フワフワした気持ちでキュンと胸が掴まれて、その笑顔をもっと見たくて暖かい気持ちになって。
なんだか大好きな本を読んだ時のワクワクした気持ちに似て、大好きなお菓子を食べて幸せになった気持ちに似て。大好きなドレスを着て精一杯可愛くなったと思う気持ちに似て、大好きな花を見て心が落ち着く気持ちに似て。
「ロベルト様の笑顔とあのキラキラした目って、全部大好きな物と似ているんだなぁ……」
ポツリと零れ落ちた自分の言葉に急に顔が熱くなって胸が暖かくなって痛くなって。
「私……ロベルト様が好き?」
大好きな物と似た気持ちになることに気づいて、ロベルト様が好きって言葉を口にしてみたら、ああ、そうなんだって理解しました。
「私、ロベルト様が好きだから、ピーテル様のことを話したくないんだ。でもロベルト様が好きだから、きちんと話して誤解して欲しくないんだわ」
きっと初めてロベルト様のあのキラキラした目を見た時から、私は知らないうちにロベルト様を好きになったのだと思います。
「ロベルト様のこと、何でも知りたいなぁ」
好きな色、好きな食べ物、好きな本、好きなこと。
ロベルト様が好きって気づいたら、そんなことをたくさんたくさん知りたいって思いました。
好きって気づいたらロベルト様のことを思うだけで胸がホンワカしてますが、実際に会ったらあまりにも恥ずかし過ぎて逃げてしまいそうな気もします。
でも。
何でしょう。ロベルト様が好きと気付いたら、ピーテル様のことは怖くなくなりました。今度、私のことを何か言って来ても逃げ出すことはしません。
お読み頂きまして、ありがとうございました。




