表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/32

11:縮まる距離・4

「あの、あり、がとう、ございます」


 嬉しいですが恥ずかしい気持ちもあって言葉を詰まらせながらお礼を述べますと、ロベルト様は優しく微笑んでくれました。やっぱりキュンと胸が掴まれた気がします。


「シフレー嬢も髪と目のことで何か言われたことがあるんだね?」


「はい」


 それが何か、ロベルト様には話したくないなって何故か思います。リコリナ様、ロロナ様、カッツェ様には話せたし、シリックとデリックにも話したのに。何故かロベルト様には知られたくないなって思いましてどんなことを言われたのかは、話しませんでした。


「そうか。痛みを知る人は優しくなれる、と聞いた。だからシフレー嬢は優しいのかもね」


 痛みを知る人は優しくなれる。

 そう、なのかも、しれません。

 傷つくことを言われたからこそ、自分はそういうことを言いたくないな、とか。言われている人に対して自分はこういうことを言わないように、とか。言葉を選んだり相手の気持ちに立ってみたり。考えるようになりました。


「ロベルト様こそお優しいです。寄り添う言い方をしていらっしゃるから」


「ありがとう。私自身が悲しい気持ちをしたから、相手を傷つけたくないのかもしれないね。……それでね。シフレー嬢の言葉で嬉しいことがあったんだ」


 ロベルト様の言葉に首を傾げます。ロベルト様と殆ど会話をしたことはないですし、私は何か言いましたっけ?


「シフレー嬢は無意識だったと思う。でも私の目を見てキラキラして綺麗だ、と言ってくれた。それが、嬉しかったんだ」


 私は、ハッとしました。確かにそんなことを言いました。だって本当に綺麗だったんです! そういえば、ありがとうなんてお礼を言われてしまいましたね。恥ずかしいです。


「あ、あの、ええと、綺麗だと思ったので、あの」


「うん。そう言ってもらえて嬉しかった。亡くなった私の両親も、今の伯父夫婦も、そう思ってくれていて。従兄達もそう思ってくれていたのに。呪いの王子の本を見て私を揶揄う人達や、伯父夫婦と違う目の色を気味悪く思う人達の声しか聞こえなくなっていて。私を大切に思う人達の声が届いてなかった。でも君の言葉を聞いて、ようやく、私の家族は私を大切にしてくれていることを、思い出したんだ。だから」


 ロベルト様は深呼吸して


「シフレー嬢、ありがとう」


 笑顔を浮かべて、まるで大切な宝物を見せるように心をこめて告げてくれました。


 何でしょう。

 このロベルト様を見て私の顔が熱いです。絶対、真っ赤になっている気がします。耳まで熱く感じます。

 嬉しいのに恥ずかしくて、此方こそ、そう言ってもらえてお礼を伝えたいのに言葉が詰まって。胸が痛くて暖かくて。こんな風になったのは初めてのことで、自分のことなのによく分からなくて。でも嫌な気持ちは一つもなくて。


「わ、私も、ありがとう、ございます! そう言ってもらえて嬉しいです。あの、本当に、綺麗だと思います」


 自分でも何を言っているのか分からないです。でもロベルト様はニコニコして「ありがとう」 とまたお礼を言ってくれました。

 それからロベルト様は、亡くなったお母様が北の大国の出身で、大国の一部の地域では、紫色の目をした人は結構多いのだと教えて下さいました。成る程、お母様の血を受け継いだのですね。


 そして然りげ無くロベルト様のご両親が亡くなられていることを知りましたが、私は何を言えばいいのか分からず


「お父様とお母様のご冥福をお祈りします」


 ただ、そうとだけ伝えました。こういう時、何て言えば良いのか、全く分からなくて。でもロベルト様はやっぱり優しく「ありがとう」 と微笑んでくれました。

 そうして私は、シリックとデリックの兄弟の家である伯爵家に学校を卒業するまで滞在させてもらっていることなどを話して。


 最初よりも打ち解けることが出来ました。

 お友達に、なれたのかも、しれません。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ