8:図書室前で出会った人・1
デリックと私達四人との勉強会から五日。
私はカッツェ様と一緒に図書室を目指していた。
ロロナ様とリコリナ様と昼食を摂った後でお二人は談話室の予約に行ってくれた。談話室は男女問わず生徒が利用することが多いので空いている日がいつなのか、小まめにチェックしないと分からない。空いている日に予約をして利用出来る場所。デリックは元々一人で利用するために予約していたらしい。一人で談話室を? とは思うけれど、面白いことにデリックは少々騒がしい方が勉強が捗るとか。
談話室は最大二十人まで利用可能で、五人グループでお喋りする傍らで十三人グループで勉強会をしていることとかもあるらしい。デリックはそんな中で一人で勉強をするつもりだったとか。あの日は他に二人と四人の女性グループと三人の男性グループがいた。男性が一人も居なくてもデリックは気にならないらしいけど、女性からすれば男性が居るだけで居心地が悪いと思うから、男性三人のグループが居て良かったと思います。尚、デリックは予約を取れる事務室へ人数の変更を届け出たそうです。人数まで予約時に申請するのですね。変更があったら直ぐに報告、と。
まぁそんなわけで学校で勉強をする時は、デリックは談話室を利用し、家では自室ではなくてサロンを使っています。納得。
さておき。
ロロナ様とリコリナ様が昼休みで事務室に行って利用出来る日を確認して予約して下さるそうなので、私とカッツェ様は図書室で辞書探しをします。東の国と南の国の言語辞書です。辞書は有難い。分からないところを調べれば答えが載っているんですから。
次にあるか分からないけれど、デリックに時間が出来たら行われる勉強会だけでなく、自分達で勉強会をしよう、ということで、談話室の利用を申請することになったのです。
「東と南の言語辞書を探して……」
「私は北の大国も不明ですから、そちらの辞書もお借りしたいわ」
私が呟くとすかさずカッツェ様がそのように仰いました。成る程。確かにそちらもあった方がいいかもしれません。お互いに深く頷き合って、三つの辞書を探すことにします。
そこで私は、ハッとしました。
「そういえば。カッツェ様、私大切なことに気付きました」
「なんでしょう?」
「今までは家で勉強する時に辞書はあって当然でしたし、ですから借りる事なんて無かったのですが。学校の辞書って借りられます?」
私は婚約者だった人から外見を貶されていたので、赤い目を他の人が怖がったらどうしよう? とか錆びた髪色をした私を気味悪く思われたらどうしよう? と考えてしまって、学校に入学するまで殆ど家から出た事が有りませんでした。リコリナ様・カッツェ様・ロロナ様が私の目を怖がらないでくれたので髪色を気味悪く思われなかったので、三人と出会ってからは遊びに出かけることも嫌ではなくなったのですが……。
でも行く所は限られていましたから、図書館をよく知りません。ですので、借りる事って出来るのか、ということも知らないのです。
「辞書は借りられるよ。でも貸し出す数に限りがあるし、借りていられる日数も決まっているよ」
カッツェ様が口を開けるより早く、背後から声が掛かりまして、カッツェ様と二人で、驚いて声が出せませんでした。それから慌てて振り返ると、金色の髪と紫色の目をした男性が居ました。男性用の制服を着ていらっしゃるので生徒のようです。
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