6:勉強は大変です。・3
作中の報告書は、所謂「レポート」のことです。
「報告書というものは、そのようなものですか」
私は納得した、とシリックを見る。そんなものまでやらなくてはならないのなら自分以外の人の勉強を見る余裕なんてないでしょう。
「付きっきりで勉強を見る時間は確保出来ないが」
私達の青褪めた顔に気づいたのか、デリックが大きな身体とは違う静かで小さめの低い声でそのように切り出したので、デリックを見て頷きます。
「例えば、談話室で時間を区切って見ることは出来る」
談話室というのは食堂の隣にある部屋のことでしたね。結構広くて規則正しくテーブルとイスが並べられていて、お昼休憩中や放課後にそこでお喋りが出来るお部屋とかでしたっけ。
「談話室はお喋りが出来るお部屋とか?」
私が思い返していると、ちょっと怖々しながらリコリナ様がデリックに話しかけます。デリックは驚いたような表情を浮かべてから、少しだけ口元を緩めて頷きました。デリックってちょっとでも表情を緩めると途端に大型犬みたいな懐っこさになるんですよね。
リコリナ様もそんなデリックにちょっと驚いた顔をしてからホッとしたような顔になってます。怖いって言ってましたものね。
「そうだ。話が出来る場所だが勉強しても大丈夫。自主学習室が勉強出来る場所だが、あちらは図書室と同じで私語厳禁。つまり喋るのはダメなんだ。一人で勉強するにはいいが分からない所を尋ねて教えてもらうようなことは出来ない。図書室も一人で勉強するのは構わないが私語厳禁。喋ると注意される。だから二人以上で勉強するのなら談話室を使うといい」
デリックが皆に、というより尋ねたリコリナ様に、という形で丁寧に説明します。リコリナ様は成る程と頷き、私達の顔を見ました。
「では談話室を利用して、シリックとデリックが教えてくれるのですか?」
「時間は限られるが」
私の確認にデリックが頷きました。そうですよね。報告書なんてものを作成して提出するなら、それも期限が決まっているのなら、教えてくれる時間をくれるだけ有難いですよね。でもシリックは首を振りました。
「すまないが、報告書提出の期限が色々でね。二日続けて提出したら一日空いてその次の日とか、多いんだ。自分の授業の復習と報告書作成で手一杯で教える時間が取れそうもない。休日に時間が取れるかもしれないけど、それも分からない。私の要領が悪いのかもしれないが」
「いえ! シリックは1クラスなんですから! 要領が悪いというよりそれだけ大変ってことでしょう」
私は驚いて強く否定する。シリックはどの授業にもついていけるらしく1クラスなのです。だからなのか、それとも卒業する年だからなのか、報告書作成が多いのなら、それは仕方ないです。自分優先は当然です。
「それなら俺で良ければ、教えよう。毎日も無理だが」
ということでデリックに談話室で教えてもらうことになりました。私達四人を見てくれるそうです。ちなみに、明日と明後日なら大丈夫というので、明日と明後日に一時間ずつ見てくれることになりました。それ以上は自分の授業の復習をしたい、とのこと。私達四人からすれば一時間でも教えてもらえるだけ助かるので「「「「お願いします」」」」 と四人で頭を下げました。
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