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第6話 ヴァイラント征服騎士団


「俺が……騎士団に?」


「はい。先程ご覧頂いた通り、我らは新たな戦力を求めておるのです」


「それはやはり、このルーベンス王国が戦火に呑まれることを見越して、ですか?」


 俺が聞き返すと、ローガン騎士団長はフッと笑みを浮かべる。


「やはりあなた様は聡明だ。我々にはオスカー殿のような戦士が必要なのですよ」


「……ちなみに、もし騎士団への入団を断った場合、俺は他にどんな方法で食い扶持を稼ぐことになります?」


「そうですな、皿洗いなどの雑用全般、でなければ家畜の世話などでしょうか。いずれにせよ待遇は最低となります」


 ……それって、実質選択肢ないよな。

 この爺さん、全くとんだ食わせ者だ。

 もっともそうでなければ、『ヴァイラント征服騎士団』の騎士団長など務まらないのだろうが。


「……わかりました。『ヴァイラント征服騎士団』へ入団させてもらいます。俺の剣術でよければ、活用してください」


「おお、その言葉を待っていました! それでは今から、あなた様は我々の同志だ。――レーネ、そこにおるか?」


『はい、大旦那様』


 応接間の扉の向こうから、女性の声が聞こえてくる。

 そしてガチャリと扉が開くと、一人の使用人の少女が現れた。

 銀髪で控え目に言っても美人だが、その表情はどこか冷たさを感じる。


「ともあれ、本日は色々あってお疲れでしょう。ひとまず本日はお休みください。このレーネに部屋まで案内させます。レーネ、頼むぞ」


「はい」


 俺は案内されるまま応接間を出て、彼女の後についていく。

 しばらく廊下の中を歩いていると、途中で訓練場の景色が見えた。


 だだっ広い訓練場の中では大勢の騎士たちが鍛錬に勤しんでおり、少し見ただけでもその練度の高さが伺える。


 本当に自分が、こんな連中の中でやっていけるのか――そんな不安が頭をよぎる。

 しかしリーゼロッテはまるで大したことなかったようにも思えたし……一体なにがどうなっているのか……。


「オスカー様」


「え? は、はい?」


 使用人のレーネさんに名前を呼ばれて、俺は慌てて返事する。


「オスカー様は、あのリーゼロッテ様を倒してしまわれたそうですね。城内では大変な騒ぎになっています」


「う……もうそんな話題になってるのか?」


「ええ、それはもう」


 淡々とした様子で答えるレーネさん。

 嫌だなぁ、これから過ごす場所なのに奇異の目で見られるの。


「それと、リーゼロッテ様は酷く落ち込んでいらっしゃいました。あんなリーゼロッテ様を見るのは久しぶりです。ちょっと面白いですね」


「……キミ、実は楽しんでる?」


「そう見えますか?」


「いや、わからないけど……」


 だって表情から感情が読み取れないからな……。

 ほぼ完全な無表情だし……。


「ですが、お気を付けください」


「え?」


「リーゼロッテ様は、ああ見えて人一倍諦めが悪いお方です。それがあの方をあそこまで強くしました。オスカー様は、きっとこれからも絡まれまくるでしょう」


「……上司に睨まれるのは勘弁願いたいんだが」


「もう手遅れだと思います。――ここがオスカー様のお部屋でございます」


 案内された部屋へと入ると、そこは実に質素な個室だった。

 一人分のベッドがあり、あとは最低限の生活用品がおけるくらいか。

 とはいえ一人部屋をあてがってくれたのはありがたい。


「本日はゆっくりとお休みください。明日の朝に再びお伺い致します」


 レーネさんはペコリとお辞儀すると、部屋の扉を閉めた。


「さて……明日からどうなるものやら。ともかく疲れたな。今日はもう寝よう……」


 気付けばすっかり疲れていた俺は、そのままベッドに倒れ込む。

 そして大の字になったまま、深い眠りに落ちた。




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