天で待ってる
宇宙で光り輝く無数の星たち。どれもこれも美しいものだった。それに、星座の1つ1つに物語があるということを考えると、より美しさを増しているように思えた。
『星ってさ、なんであんなに綺麗なんだろうね…』
隣に座る彼女が呟いた。彼女のことを考えるとなんだか心が締め付けられるようだった。
小高い丘、辺りを見渡しても誰もいない。とても静かな空間だった。聞こえているのは小さな虫たちの囁き声だけ。他に雑音なんて聞こえやしない。
「さあ。過去があるからじゃないかな」
『そっか、君はそう考えるんだね。私はね、命が燃えてるからだと思うの!』
命が燃えている。僕には分からない表現だった。改めて僕と彼女は考え方が違うのだなと感じる瞬間だった。
『星には命があって、皆が光り輝こうとして見てもらいたがってる。でも一等星に勝てるわけがないから他の星と繋がりあって星座を作る。だから綺麗に見えるって私は思うの』
立ち上がり、両腕を大きく広げてぐるぐる回る彼女、その顔はとても楽しそうで、僕の知らない年齢の彼女を、彼女の本質を見ているようでなんだか嬉しかった。
けれど、このもやもやとした気持ちは何だろう。
『でも、命を燃やし尽くしちゃうと輝けなくなっちゃう。そうならないように皆が支え合ってるんだよ!』
「そしたら、誰とも繋がれない星はどうなっちゃうの? 1人で死ぬのは寂しいでしょ」
『ううん、そんなことないよ。誰とも繋がってない星なんてない。どこかで繋がってる。例えば、心とか』
星は僕にとって宇宙にある大きな石と同然だった。彼女に会ってその考え方以外も知ることができた。たまに分からないときもあるけれど、星も生きている。そう考えると、納得できるようなこともある。
『もうそろそろ、太陽が昇ってくるね』
彼女が言った言葉で僕の目から、涙がこぼれ始めていた。
『もう、泣かないの!』
そう言われるけれど、僕の心は悲しみ、寂しさでいっぱいになっていった。
後少しでお別れしないといけない。そんなの嫌だ、もっと一緒にいたい!
頭ではさよならしないといけない、そう理解していても、心が納得してくれない。もう、おかしくなりそうだ。
『また会えるから、それまでにいっぱい幸せになっていてね?』
彼女の体が消え始めた。今まではっきり見えていたはずの彼女、それが今ではもう、触れる事さえできなくなっていた。
『じゃあね、空で待ってるから』
少年は独り、丘に取り残された。いいや、初めからそこには彼しかいなかった。
今まで何も聞こえなかった雑音が夜に響く。それは悲しみに満ち溢れていた。
色々と考えられる年になったからこそ、悲しく感じてしまうこともある。最後にあった時はいつも笑ってお別れしようと決めていたのに、彼女が生きていたらと考えてしまうと、涙があふれてくる。
「さよなら…また、来年…来るから」
空に浮かぶ星々、それが全て死者と聞いて信じる人はどれだけいるだろうか。
それを知っている人はどれだけいるのだろうか。
少なくとも僕の周りにはいない。だからこれは、僕と彼女の秘密だ。