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私のサイコロ占い

作者: 来留美

「また1なのね」


 私は掌の上に転がしたサイコロを見て、テンションが下がる。

 一番小さい数字だから、私のサイコロ占いでは最悪なんだ。


 彼から一番遠い場所に座らなきゃいけない。

 私のサイコロ占いは彼との距離を決めるんだ。

 彼はラッキーセブンが好きで、通学用のバスに乗る時は、前から七番目の窓側の席に座る。


 今日のサイコロは1だから、私は彼から一番遠い、一番前に座る。

 6は彼の前の席になるから、その日はハッピーな日になるの。


 私のサイコロ占いは本当に当たる。

 以前に6が出た時は、彼とお友達の会話が聞こえてきて、彼の好きな女の子のタイプを知ったこともある。


 だから私はバス停でバスを待ちながら、掌の上でサイコロを転がして毎日、座る場所を決める。

 毎日でも彼の前に座りたいけれど、勇気がでなくて、サイコロに座る場所を決めてもらっているの。


 今日はまた1だったけれど、それでよかったわ。

 今日は髪型がうまくセットできなくて、彼に見られなくて済むからね。




「今日は久し振りに6だね」


 6が出て嬉しいけれど、少し心配。

 彼の前に座って、彼に見られているかもと思うと緊張しちゃうから。


 緊張すると後ろは振り向けないし、いつもサイコロを握り締めて、サイコロからパワーを貰う。

 自分に自信が持てるように。


『ドンッ』


「あっ、ごめんね」

「大丈夫です」


 彼が、バスを待っている私にぶつかってきた。

 彼はすぐに謝ってくれて、友達に押すなよなと言って怒っていた。


 サイコロ占いのお陰だよ。

 初めて彼と話せた。

 初めて彼に肩が触れた。




「えっ、今日も6なの?」


 また6が出た。

 今日も彼と話せるかな?

 私はサイコロを握り締めて心を落ち着かせる。

 ドキドキが止まらないから。


「そのサイコロって何か意味があるの?」

「えっ」


 バスを待っていると、彼に声をかけられた。

 緊張し過ぎて何て言えばいいのか分からない。


「今日は6だから六番目かな?」

「えっ」

「俺の前の席ってことなのかな?」

「どうして?」

「見てたから。君は6が出た時、嬉しそうに笑って可愛いんだよ」

「嘘」

「本当に可愛いよ。だからそのサイコロを、ちょっと貸してくれるかな?」


 彼にサイコロを渡すと、彼は黒ペンを持ち、サイコロに何か書いている。


「これでいつでも君の笑顔を見られるよ」


 彼はそう言ってサイコロを私の掌の上に転がした。

 サイコロは6が出た。

 よく見ると5に一つ多く点がある。


 このサイコロは6しか出ないようになったの。

 そして彼は私の隣に座る。

読んでいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女の子かわいい\(//∇//)\ そして男の子かっこいい! 読み終えて顔が緩みました にやけました(笑) 面白かったです!!
[良い点] う〜ん、ロマンチックですね。 サイコロと言えば、水曜どうでしょうという番組のサイコロの旅しか思いつかない私です。
[良い点] 来留美さま、もう、キュンですね。 いゃ〜もう、いいですね。 私もサイコロ6にして欲しい!笑笑
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