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雷の覇者  作者: 悠奏多
7/13

第4話:模擬戦 響VS理沙

お待たせしました。

模擬戦の続き、響VS理沙です。

やっと響の戦いを書けました。

「結局負けちまったな?努。」


「ぐぬぅっ」


模擬戦を終えて見学席へと帰ってきた努に響は声をかけた。


「「模擬戦で俺の実力を見せたるぜ」とか言ってなかったっけ?」

ニヤニヤしながら努のものまねをする響


「兄さん、もうその辺にして・・・ってああ!努先輩!?」

注意しようとした心はしかし、途中で黒いオーラを纏って隅に行きのの字を書く努を見て中断する。


「いいんだ、いいんだ。俺はどうせ体力しか取り柄がない馬鹿だから・・・」

「そんなことないですよ、努先輩!努先輩だって・・・・」



「さてと、次は俺らの番だぜ、理沙!」

落ち込む努とそれを必至に励ます心を見て満足したのか、響はその場を放置して理沙へと話しかける。


「あんた、ほんとにいい性格してるわね?」

少し頬を引きつりながら響に声をかける


「だろ?よく言われるぜ!人生楽しむのが一番」

ビシッっと親指を立てながら満面の笑顔を浮かべる響。棗は苦笑するしかできない。

理沙は「だめだこりゃ・・・」と頭を抱えている。

彼女がこの班一の苦労人かもしれない。


「そんじゃいっちょ行くか!!」


「頑張ってくださいね。響先輩」

と声をかける棗に対し、

「おうっ!」と言いながら右手をあげて見学席を出ていく響。その後を若干疲れた顔の理沙が付いて行った。








「棗ちゃん?どうだった?私の試合。」

一通り努の説得を終えた心が棗に声をかけたのは2人が出て行ってすぐのことだった。


「お疲れ様、心ちゃん。試合すごかったよ。心ちゃんって強いんだね。」


「いや〜、それほどでも」

照れながら率直な感想を言った棗に返す。


「謙遜するこたねぇぜ、心ちゃん。何といっても俺に勝ったんだからな!!」

復活した努が心に声をかける。回復が早いやつである。


「努さんもお疲れ様です。ケガしてませんか?」


「大丈夫だ。精神はズタボロだが、体は無傷だ」

ケガの有無を尋ねた棗に、そう言って返す努。


「そ、そうですか。ケガがなくてよかったです。」

と苦笑交じりで答えた。


「あ!兄さんたちが出てきたよ。」

心が言うと、努は「どれどれ」っと体を前に出して見る。


「心ちゃん。やっぱり響先輩も強いんですか?」

棗は心に聞いた


「そりゃ強いよ!私は何回やっても勝てる気がしないかな。」


「でもよ、魔導士ランクは同じなんだろ?」

棗の質問に答えた心に努が聞く


「たいていは、魔導士ランクが同じならそんなに勝率に差は出てこないと思うんだが。相性の問題か?。」

通常、魔導士のランクは個人の強さだけを示すのではなく、魔法の発動速度、規模、魔力量など様々な能力を総合してランクにしている。上位のランクになると指揮能力といったものも加わってくる。

そのため、戦闘になると魔法の連携や相性によって低ランクの魔導士が高ランクの魔導士を倒すというのは結構有り得ることである。

その点で、努の疑問は響の正体を知らない者にとって当然の疑問であり、棗も同じことを思っていた。


それに対して心の返答は、

「いいえ、兄さんと私とでは「経験」がまるっきし違います。私がどんな手を使ったとしても兄さんはそれに対応して打開してしまいますから。」

といったものであった。


当然努と棗の頭の中は、

(????)

と混乱している。


「心ちゃん、それってどういう「あ!始まるみたいだよ。」・・・」

棗がそのことを聞こうと思ったとき、心の言葉に遮られタイミングを失った。


納得していない2人はしょうがなく視線をリングに向けるのであった。










リングにはそんなやり取りとは関係なしに、2人が立っている。


「さて理沙。お前の実力を見せてもらおうか?」

響は偉そうに言う。


「それはこっちのセリフよ、響!そんなに偉そうにしてて負けたら恥ずかしいわよ?」

と挑発には乗らない理沙だったが、


「安心しろ理沙、俺は負けないからそれだけは有り得ない。」

と即答する響を見て、あえなく失敗する


「ムカァ。そんなに自身があるなら響、賭けをしましょうか?」

と提案した。


「ああ、かまわんよ。それじゃ勝った方が負けた方に1つ命令できるっていうのはどうだ?」

これまた即答で返す響。


「いいわよ、乗った。拒否権はなしね。絶対あんたに吠え面かかしてやるんだから」


「あえて言おう、『それは不可能である』と」


ブチィっと何かが切れる音がしたような気がする。



「そろそろいいかの?2人とも」

そこに一心が若干冷や汗をかきつつ声をかける


「はい、こちらは準備完了です」

涼しげに響は答える。


「望むところよ」

気合い十分にこたえる理沙。背後に修羅が見えるのは気のせいだろう。



響は右手を前に出し、理沙は胸の前で左手の甲に右の掌を合わせる。

そして同時に自らの相棒の名を呼ぶ


はしれ、『やなぎ』!」「たけれ、『竜麟りゅうりん』!」


右手の指輪からまたは、両手のブレスレットがそれぞれ輝く。

治まったときには、右手に鞘に入った刀を持った響と、両手を赤と黒の手甲で覆った理沙が立っている。


鞘に入った右手の刀を左手に持ち替え、右手で柄を握り刀を抜く。その刀身は澄みわたった色をしており、手入れがいきとどいていることがうかがえる。

だがしかし、理沙の魔導媒体を見た響は背中に悪寒を感じていた。

彼の師であり姉である七聖「獄炎」は手甲の使い手であり、幼いころから修行という名の調教を受けていた響は本能的に一瞬その光景を思い出してしまった。

くしくもその時、見学席にいた心もまた過去を思い出し身震いして棗に心配されていたが、そんなこと響が気づいているわけがない。


「両者、準備はいいみたいだな?」

一心のその声で平静さを取り戻した響は「はい」と返事をし、理沙もまたそれに続いた。


「うむ。それではこれより模擬戦を始める。・・・開始!!」


その言葉を合図に二人は同時に動き出した。












開始の合図とともに二人は距離を詰める。


「はぁっ!」

「ふっ」


理沙は自分の顔の脇から少し下へと叩きつけるように右手を振るう。

対する響は下段に構えた刀を左足を踏み込むと同時に振り上げる。


ギィィィン


お互いの攻撃は一瞬拮抗するも、上から叩きつけたからだろう、理沙が押し勝った。


反動で後退する響を追うように、右手を振った勢いをそのままに右足を軸に回し蹴りを放つ。


それを見切って回避した響は、回避しながら右手の刀を逆手に持ちかえる。

そして、足首、膝、足の付け根、腰、肩、肘、手首の順に体の関節を目一杯使って回転エネルギーを刀に乗せ、理沙へと放つ

如月流刀術きさらぎりゅうとうじゅつ 流円閃りゅうえんせん」)


それに気づいた理沙はとっさに両腕を交差させ、防御する。


ズガンッ


およそ刀での攻撃とは思えない音を立て、理沙の手甲に当たった斬撃は、そのまま理沙の体を10mほど後退させて効力を失った。




「・・・いっつ〜〜、なんつう威力の攻撃よ!今の音ってどう考えても刀じゃ出ないでしょうが」

両手を振りながら響を睨む。


「如月流刀術 流円閃。全身の関節を円のように流れるように順序良く回転させて、すべての運動エネルギーを刀に乗せる技だ。今のでケリをつけるつもりだったんだがな」



その言葉にカチンときた理沙は

「ああ!もういいわよ!出し惜しみは一切なし。全力で叩き潰す!」

と、魔力を両手へと集中する。すると


ゴウッ


っと音を立てて手甲「竜麟」炎が上がる。


(オイオイ、炎まで姉さんとおなじかよ・・・)

と内心結構参っている響。

「ふぅ〜、しょうがない。」

響は体全体に魔力を纏う。


バチッ バチッ


すると体がかすかに帯電する。


それを今度は「柳」に集め、帯電させる。

「柳」は小さな稲妻をほとばしらせながら白く輝いていく。

白雷びゃくらい

響の固有術式であり、圧縮された雷が白く輝く様から名づけられた。体や刀などに纏わせることができる。また響が使う雷系統の魔法は白雷がすべて基になる。



「それがあんたの本気?」


「さぁな?」

理沙の問いに笑いながら答える。


「フンッ、まぁいいわ。やることに変化はないし。覚悟はいいわね?」


「ご自由っに!!」

そう言いながら柳を振るう。


そこから魔法陣が展開され、白い稲妻が発生し理沙を襲う。

初級魔法である「ライトニング」である。


「っ!?」

瞬時に理沙は攻撃の性質を見切り防御壁を展開し防ぐ。


「咄嗟に防御壁を展開したのは正解だな。さっきと同じように手甲で防いでたら感電していた。」

理沙の行動を褒める響


まるで稽古をつけているような響の物言いと不意打ちにイラつきながら

「っ相変わらず、いい性格っね!!」

そう言いながら頭上に両手を掲げ、炎を収束、それを響に向って放つ。


「フレイムウェーブ」

解放された炎が波になって響に迫る

それを響は左手を前に出し防御壁を展開し防ぐがそこで気づく


(やるな!?目くらましか!)

押し寄せた炎に周りを囲まれ、視界が遮られる


突然左後方の炎が動くと

「バーンフィスト!!」

そこから理沙が現れ、紅蓮の拳を突き出す


ガキィィィン


だがそこは場数を踏んでいる響だけあって空気の流れを読み、それを察知し白雷を纏った柳でそれを受け止る


「器用なことを・・・」

拳に魔力の膜をかぶせ、感電を防いだ理沙を称賛する


余裕そうな表情の響を見て、なおも理沙は

「もらったーー」

と自身の切り札である、右手と同じ術式を展開する左拳を突き出す


(術式の同時展開!?高校生の技術じゃねぇだろ)


珍しく驚いた顔の響きを見て理沙は内心で勝利を確信するが、


「っ!?」

突然右手とせめぎ合っていたはずの力が消失した

見ると目の前には「柳」だけが存在する


「忠告だ。勝利を確信しても油断はするな。それが隙になる。」

「!?しまっ」

自分の懐近くから聞こえてきた声につられ、理沙は咄嗟に距離を取ろうとするが、すでに遅い


「それから、刀を持ってるからといって刀で攻撃するとは限らん」

そう言いながら自身の右手に白雷を集中させ理沙の鳩尾あたりに掌を当てる


ズガンッ


瞬間、理沙の体を白雷が通り抜け背中から抜けて行った


「嵐山流格闘術一の型 浸透頸しんとうけいの変化 白雷掌びゃくらいしょう

浸透頸とは魔力を使い打撃点を基点とし体内部へ攻撃する技で、白雷掌はそれを白雷で行った響のオリジナル技である


理沙は薄れていく意識の中で

「術式の同時展開は焦ったが、最後の詰めが甘かったな」

という言葉を聞き、


(最後まで偉そうに・・・)

と思いながら意識を手放した。










突然響と理沙を囲んでいた炎がなくなりその中から理沙をお姫様抱っこした響が姿を現した。


見学席では

「なんだ?いったいどうなってたんだぁ〜〜〜!?」

と言う努の叫びが聞こえてくるが、気にしない。



「それまで! 勝者、響!!」

その光景を見た一心が試合の結果を告げ、模擬戦は幕を閉じた。



模擬戦第二試合 響VS理沙

勝者 響

どうだったでしょうか?


戦いの描写など、変なところがあった時は連絡ください。


感想なども待っています。

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