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雷の覇者  作者: 悠奏多
11/13

第8話:歓迎会

時刻は放課後


「おっしゃぁ。今週もこれで終わりだ!!」

ホームルームが終わった瞬間努が叫んだ。


「さぁ、行くわよ!響、薫、努」

理沙が張り切って言う。


「心っちと棗っちはどうするん?」

薫が言う。


「心と棗には校門で待ち合わせって伝えてあるわ。」


「わかった。待たせるのも悪いし、行くか。」

理沙の答えを聞き、響は答えながら鞄を手に取る。

そしてそのまま4人は教室を後にした。





校門


「あ!兄さんだ。棗ちゃん、兄さんたちが来たみたいだよ。」


「あ、そうみたいですね。」

校門ですでに待っていた心と棗は響たちに気付いて駆け寄っていく


「理沙先輩、努先輩、こんにちは。それから・・え〜と・・?」

駆け寄った棗は理沙と努に挨拶をし、それから初対面の人を見て困惑する。


「私の名前は橋本 薫なのですよ。心っちですね?よろしくですよ」

それを見た薫は簡単に自己紹介をする。


「心『っち』?」

自分の呼ばれ方に疑問を持った心は響を見る

響は顔を横に振りながら

「諦めろ、心。こいつは誰に対してもこんな感じだ。」

と言った。


「は、はぁ。よろしくお願いします。薫先輩。」

それを悟った心は薫にお辞儀しながら言った。


「やっぱり、響っちの話から聞いて想像してた心っちよりだいぶ違うのです」

心を見て薫が言う。


「なんか昨日も同じ言葉を聞いたんですが、兄さんは私のことをどう説明したんですかねぇ?」


「だから、事実しか伝えとらん」

心の追及を響はかわす。


「はいはい、時間もなくなっちゃうからさっさと行くわよ。まずは買い物からね。男は荷物持ちよろしく」

そう言って自身が先頭に立ち歩いて行く。

その後を追うようにして4人は学園を後にした。








「ここが響の家か!?」


「うわぁ〜、子供二人で住むにはちょっと大きいのですよ」


歓迎会の買い物を終え、響の家についた6人は神楽坂兄妹を除き、みんながその家に驚いていた。

焦げ茶の屋根に、見るからに新築だとわかる壁に表札。いわゆる一戸建てである。


「響っちたちって意外と金持ちだったの?」

当然の疑問を訴える薫。


響たちでさえも、この家を見た時は驚いていた。

響たちにとっても、この家は魔導教会から今回の仮住まいとして支給された物なので、二人で住むには大きすぎると思っていた。

しかし、本当のことを言う訳にもいかないので、そこは二人で苦笑しつつ適当に誤魔化しておいた。




「お邪魔しま〜す!!」

玄関のドアを一番に開けた努は元気よく言った。


「うわぁ〜、中も綺麗なんだね?心ちゃん。」

よく整理された玄関とその奥に見えるリビングなどを見て棗が声をかけた。


「とりあえず、私と努っち、棗っちで食事の準備をするべし。理沙っちは会場の準備ね。響っちと心っちは気にせずくつろいでて」

薫が指示を出す。


「私も何か手伝いましょ「頼むからお前はくつろいでてくれ!!」む〜〜〜」

手伝いを申し出ようとした心の口を塞ぎながら、響が慌てて割り込んだ。


「ふふ、いいのですよ。主賓を働かせるわけにはいかないのですよ。それじゃあ、準備を始めるです。」

「おう!響、キッチン借りるな?」

「準備ができるまでゆっくりしていてください」

薫の言葉に腕まくりをした努が続き、その後に棗が続く。


そうして歓迎会準備が開始された。






薫たちに言われたとおりに、リビングでテレビを見てくつろいでいる響。心は自分の部屋で着替えている。

視線を動かすとキッチンから明かりが漏れ、3人の声が聞こえる。時折美味しそうな匂いまでも漂ってくる。

グゥっと鳴るおなかを押さえながら、テレビに視線を戻す。

テレビでは今ニュース番組をやっており、最近多発する妖魔出現について専門家が偉そうに語っている。


その時、視界に赤い髪の女の子が目に入ったため、響はその女の子に疑問を口にした。

「そう言えば、なんで理沙は料理担当じゃなくて会場担当なんだ?」


突然の質問に一瞬こちらを振り向くが、すぐに顔を背けて言う。

「べ、別にいいじゃない!会場の準備がしたかったから志願したのよ。」


(わざわざ会場の準備を志願する人がいるだろうか?)

響は考える。

(志願したのではなく、志願せざるおえなかった。となると、その理由は?)

思考の末一つの答えに辿り着く。


「ほう、努が料理できるのもそうだが、理沙が料理できないなんて意外だな。」

確信したように理沙に言う。


響の言葉にギクッっと一瞬肩を震わせこちらを振り返り、

「な、何言ってるのよ。料理ぐらいできるわよ。ただ、アンタに食わせるのが勿体無いと思っただけよ」

全力で否定する。


「そうだったのか?まぁ、わざわざ人の家で歓迎会をやると言っといて料理ができないわけないよな。」

頷きながら納得したふりをする響


「そうよ、そんなわけないじゃない。」

ホッとしながら作業に戻る理沙。


「なら今度俺に弁当作ってくれよ?」

それを許さない響。


「はぁ!?何でアンタなんかのために私が弁当を作らなきゃならないのよ」

驚いたように振り向きながら言う。


そこで響はニヤっとしながら

「賭けの賞品はそれにしよう。」

っと切り札を出した。


「なぁ!?」

それを今日1番の驚きで見る理沙

そこで確信する。


(コイツ、私が料理できないのわかってて言ってたわね)

理沙にとって料理ができないのは一種のコンプレックスのようなものだ。

しかし、そこは負けず嫌いな理沙である。


「どうした、理沙?」


「クゥッ!分かったわよ作ってくればいいんでしょ!!月曜日に持っていくわよ。」

やはり乗ってしまうのだった。








「それじゃあ、皆さんグラスを持って〜!!神楽坂兄妹の藤歌学園編入に〜・・・かんぱ〜い!!」


カチャン


その後、料理も無事に完成し、努の音頭に合わせて一斉に乾杯する。

テーブルにはフライドチキンやポテト、サラダ盛り合わせや焼きそばなど、色鮮やかな料理の数々が並んでいる。どれも美味しそうな見た目と匂いに食欲をそそられる。


「皆さん、今日は私たちのためにこのような会を開いていただきまして、ありがとうございます。ほら、兄さんも食べてバッカリいないで何か言ってください」

心が響に呆れ混じりに言う。


「んぐ!だってよ、この料理うまいんだもん。自分以外が作った料理なんて久々だしよ。みんな今日はありがとな!!このあとは家で楽しんで行ってくれ」

食べていた食べ物を飲み込んでから響が言う。


「フフ、ほめてもらえて嬉しいですよ、先輩。まだまだ沢山あるのでいっぱい食べて下さい。」

響の反応を見た棗が嬉しそうに言う。


「あ!?それ私が食べようと思ってたのに!!薫、それよこしなさい!!」


「ふっふっふ。理沙っち、こういうのは早い者勝ちと昔から決まっているです。そして勝負の世界は厳しいということも。パクッ」

理沙が手を伸ばしたフライドチキンを横からかすめ取る薫。

それを理沙が取り戻そうとするが、薫は見せびらかすように食べてしまう。


「くっ!!薫、食べ物の恨みは怖いわよ?」

意外と食い意地がはっている理沙であった。





現在の時刻は夜10時


「おっしゃ〜、そろそろ料理もなくなってきたし二次会としゃれこみますか、今日は無礼講じゃ〜〜〜」

「おお!!わかってるねぇ、努っち。やっぱそうこなくっちゃ」

そう言って自分のカバンから日本酒を取り出す努。薫はどこから持ってきたのか缶ビールに缶チューハイをテーブルに並べていく。


「アンタらね、私たちは未成年よ?お酒はって何で注いでるのよ!?」


「固いこと言うなよ。それとも酒も飲めねぇのか?」


「それくらい飲めるわよ!!いいじゃない!飲みましょう。」

努の口車に乗せられ酒を口に運ぶ理沙。


「いいねぇ〜。響もどうだ?」

自らも飲みながら一升瓶を響に差し出す。


「ああ、そうだな。もらおう。」


「お?結構いける口か?」

実は響は七聖「獄炎」との付き合いで小さいころから酒を飲んでいるので、酒には意外と強かったりする。


薫は薫で心たちに自分の持ってきた缶チュウハイを勧めている。

そしてこのあと響はこれらの行動を止めなかった自分に深く後悔する。






10分後・・・


「こぉら響!こっちを向きなはい。私の話を聞いてましらかぁ??」


「ぐお!?」

強引に響の顔を両手で挟んで自分の方に向ける理沙。


「響っち?響っち?何で男って生き物は女性を外見で判断するんでふかぁ〜」


「ちょっ!?待て、薫!!首はヤメロ」

首に絡みつく薫を必死でどける。


「だぁから、はなひを聞けぇ!!」


「わかったから理沙。ちょっと落ち着けー!ぎゃぁぁぁ!!?」

そう言ってのしかかってくる理沙を説得するが、バランスが崩れ倒れてしまう。


「さっきから・・ヒック・・そう言って・・ヒック・・話を聞かないじゃないかぁ〜//」

響の上にまたがる理沙


「お前!ヤメッ!?おい、努。本はと言えばお前の責任だぞ!助けろ」

そう言って努を見る。


「いいんだ、いいんだ。俺なんてどうせ・・・」

そこには部屋の隅で丸くなっている努がいる。

その周囲だけ暗い空気が流れているのは気のせいではないのだろう。


「くっ!使えない奴だ。心は?」

そう言って反対側を向く


「棗ちゃ〜ん。すりすり」

「やめて、心ちゃん。あっ!?そんなところ触っちゃダメ!!」

棗に抱きつきながら眠っている心と、抱きつかれながらも必死に抵抗する棗の姿があった。

少し危ない雰囲気が出てるので、響は眼を逸らす。


「くそ!味方はいないか!?こうなったら自力で抜け出すしかない。魔法を使えば・・・な!?バインドだと!!」


「フフフフ、逃がしゃないわよ。ひ・び・き」

「そうだよ響っち。しっかりワタヒの質問に答えてもらふのれふよ」

バインドを発動して魔力のロープで響を縛り上げた2人は不吉な笑みを浮かべながら響に近づいていく。


「オイお前ら、それ以上近づくな!?やめろよ、おい!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」


その後響がどうなったかは定かではない。



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