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1-15 神の勇者

ようやくメルから銃を取り上げソフィに魔銃を渡すと嬉しそうに銃を眺め始めた。


「人に向かって打つなよ? 襲ってくる変態がいたら容赦なく撃っていいが基本は護身用だ」


「はい! わかりました。ユウキ様!」


 嬉しそうに頷くソフィーとは対称的にメルは悲しそうにソフィーを見ている。魔王城からパクった銃はあの一本しか無いから諦めてもらうしか無い。


 早く迷宮から出よう。もう他の人達も疲弊してきている。かなり登って来ているはずだ。後少しのはずなんだ。


 しばらく登ると再び大部屋に付いた。もうボスは出てこなくていいんだが……そんな俺の思いとは正反対に中にはドラゴンがいた。


「ひぃぃぃぃ! ゆゆゆユウキ様!」


 ソフィーが俺に抱きついた。そう言えばソフィが欠損したのは龍のせいとか言っていたな……トラウマが掘り起こされたのだろう。ソフィーのためにもサクッと終わらせよう。


 俺は、スキルで魔銃を再び作り更にソフィに渡した銃についていた専用の弾丸をスキル化して複製した物を詰めた。


 そして銃を売った瞬間、弾丸がドラゴンの頭を貫き天井をぶち抜いた。そして空に舞い上がった弾丸が空中で爆発し火の雨が降り始めた。


 そんな……弾丸を確認せずに撃ったのが失敗だった。ただでさえスキルで作成技術を模倣した物の威力は従来の物の数十倍の威力が出るのにスキルの銃とスキルの弾丸のセットが相乗効果を生んで恐ろしい事になっている。


 火の雨が降り終わったと後にはドラゴンはいなかった。というより高熱で溶けた。ドラゴンの骨がその場にあった。


「ユ、ユウキ様やりすぎです」


「あんたね、もう少し考えて銃撃ちなさいよ! 基本よ! 基本」


「ご、ごめん」


 やりすぎたせいで二人にこってりと説教されてしまった


 そしてついに俺が開けた穴から脱出することができた。俺が開けた天井の穴の上には警備兵が複数人待機していた。そして地上はひどい有様だ。海の近くだったので人的被害はないだろう。だが砂浜は砂が溶けガラス状になっている。


「止まれ! お前たちが崩落事件の被害者で間違いないか?」


 俺の後ろには12人ほど人間がいる。崩落事件の被害者とは迷宮に落ちた俺達の事だろう。


「多分そうです。何か問題ありましたか?」


「問題? 大アリだ! 今上がった火の雨はなんだ? アレのせいでここら一帯大事故だ! たまたま海岸だから被害者はいなかったがなにが起きたんだ!」


「ドラゴンです。下にドラゴンの骨がありますよね? 先程まであいつと戦っていました」


 俺がそう言うと警備兵の目が鋭くなる。


「つまりあの火の雨をふらしたのはお前ということだな。ちょっとこっちに来い」


 俺は、警備兵に手を引かれ連れて行かれそうになった。


「ちょっと待って、彼は私達を助けるために仕方なくこんな事をしたの……聖女としてのお願いよ。彼を連れて行くのやめてあげて」


 メルが俺をかばってくれる。メルを見た警備兵は俺を掴む手を離し俺は自由になった。


「か、彼は何者なのです? 私はてっきり魔王一派の者かと思っていたのですが」


 メルが俺をちらっと見る。この状況を回避するために俺が勇者だと言う気なのだろう。俺が軽く頷くとメルが話し始めた。


「彼は、勇者みたいなものよ……本人は否定してるけど彼のもつ剣が何よりの証拠」


 メルがそういったことで警備兵の俺を見る目が途端に怪しいものを見る目から尊敬するようなものへと変わる。


「その剣……見せてもらっていいですか?」


 そう言われ、前は軽く光る程度だった。今は虹色の光を放つ剣を見せた。


「こ、これは……使徒様でしょうか?」


 メルが俺の持つ剣を見て驚きの表情をする。


「あ、あんたなんで……迷宮の中にいた時は普通に光ってただけじゃない……なんであんたの剣が虹色に輝いてるのよ」


「何だよ急に取り乱して……魔王を倒す前に虹色に輝き始めたんだよ。そう言えばお前たちは階段の奥に逃げてもらってたから見てなかったのか」


 俺とメルの話を見て余計に混乱する警備兵


「つ、つまり彼は勇者から魔王を倒して使徒様になったということですか?」


「そ、そういうことみたいね。白く輝く剣は勇者の証、虹色の光を放つ剣は使徒の証。今虹色の光を放つユウキは使徒でしょうね」


 何かよくわからない方に話が進んできた。つまり魔王がやられる前に言っていた、神に選ばれた勇者ということでいいのかな?なんで選ばれたかは知らないが


 それ以降、高圧的だった警備兵の皆様は急に下手に出てくるようになりそれは街につくまで続いた。


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