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1-10 六畳一間の戦争


ソフィーが俺に張り付いて服をよだれでびしょびしょにしている状況で目が覚めた。


「まじか....くちょぐちょだ。」


ソフィ―を見ると自分の茶髪をもぐもぐと食べていた。髪の毛を口から出してやり俺はベッドから降りた。ソフィーが起きる前に着替えなくては....公開でソフィーが自殺しかねない。


服を脱ごうとすると後ろから服を脱がそうとするソフィーの手が俺の服を掴んだ。あ....まずい


「ソフィー? 服は自分で脱げるから気にするな!」

「いえ! ユウキ様の服は私にお任せを!」


「いやいや! 俺が自分で脱ぐから!」


ソフィーを部屋から追い出し着替え始めた。部屋の外からしくしくと泣く声が聞こえる。数分で着替え終わったのでソフィーを入れることにした。


「ソフィー? もう入っていいぞおぉぉぉ!」


ソフィーが俺にタックルして押し倒してきた。


「ユウキ様私を捨てる気ですか? そんなことしませんよね?」


ソフィが半泣きで俺にしがみついて暴れまわる。そんな一室の戸を容赦なく開ける人間がいた。


「失礼するわよ~すてるとかな‥‥なな‥‥何してるの?ユウキ君?」


メルが唐突に部屋に入ってきて地獄の様な惨状を見てドン引きしている。ソフィはそんなメルに俺の剣を勝手に手に取り突き付けた。


「あっ!」


『ガシャン』という音を立て剣が床に落ちた。ソフィーの手を見ると赤く爛れていた。


「手、貸してみろ治すから」

「すみませんユウキ様」

「謝るのは俺だけじゃないだろ?」

「あの、申し訳ありませんでした。どこのだれか知りませんが‥‥」


メルが性犯罪者を見る目で俺を見ている。やめて!何もしてないよ!


「で、その子何?」

「奴隷の子だけど‥‥」

「は? あんた奴隷買ったの? 屑が死ね」

「お前さらっと酷い子というな!この子は昨日まで手足が欠損してたの!それを俺が治したの!」


メルがソフィをじろじろ見る


「この子のどこが欠損してるのよ!」


「それは、かm‥‥えっとその‥‥ユウキ様ならできるのです!」


ソフィーは、昨日俺が神扱いをやめろと言ったのを気にして口ごもったようだ。


「そんな適当なことで信じれるわけないでしょ!」

「あなたは何なのですか? ユウキ様の恋人か何かなのですか?」

「ち、違うけど‥‥」


「なら話しかけないでください!ユウキ様が穢れます!」

「はぁ? ラミナ教の聖女の私が話しかけて穢れるってどんな聖人よ!」

「へぇ、貴女聖女なんですね! 貴女に信仰されている神が可哀そうです!」


戦争だ!俺の6畳一間の部屋で戦争が起こっている! やめて! 戦争なんてしないで!

 

「貴女もこんな変態に使えることになるなんてかわいそうね!」

「はぁ? ユウキ様を馬鹿にしましたか?殺します。私の龍の籠手で消し炭にします!」

「やってみろ! 私のユニークスキルで消し去ってやるし!」


「お前ら落ち着けよ‥‥」


「うっさいしね!」

「ユウキ様は黙ってください!」


泣いていいっすか?


「まぁまぁそんなカリカリしないで‥‥近くの森まで行って焼肉でもどう?」


「ユウキ‥‥流石ユウキね! わかってたわ!」

「焼肉とは何でしょうか? ユウキ様」


「普通に肉を焼くだけだけど?」

「それは、普通の料理と何が違うのでしょうか?」

「‥‥何が違うんだろう? 肉だけ食べることに魅力があるんだ、多分‥‥分かったよ! なんかおごるから喧嘩やめてくれ」


「まぁおごってくれるならそれでいいけど‥‥あんたはどうなの?」


メルがソフィーに質問をする。


「私は、ユウキ様がやめろとおっしゃっているので、やめますが‥‥」


というわけでみんなで外に出た。喧嘩が終わって良かった!


「あそこの店良くない?アレおごってよ!」


メルが走って店まで向かうのでおれも走って追いかけた。その瞬間突然地割れが起きた。俺らの周囲にいた人間の大多数が落ちて行く。だが落下地点は巨大な柔らかい魔物の腹の上だったので誰も怪我はしていない


「きゃぁぁ! 魔物よ! 誰か!」


俺は、即座に剣を引き抜いた。そのまま、魔物の腹を真っ二つに切った。すると何もなかったかのように魔石だけ残して消え去った。


「ここは多分迷宮の最下層ね。周りを見て! 紫の鉱石があるでしょ?これ迷宮産の鉱石の中でも最も価値のある鉱石の一つドルガナ鉱石よ」


「どけ!」


メルを突然押しのけて鉱石採集を始めた男がいた。意地汚そうな顔をして鉱石を素手で取ろうとしている。


「こいつら放置して、行くぞメル、ソフィー」

「ま、待ってください! 私も連れて行ってください!」


俺が魔物を倒せるところを見て一緒に付いて来たい人間が、一定数いるようだ。

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