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三界奇譚  作者: みや凜
第二章 航海編
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絆の島11-神竜の魂

 やっと神様登場です。

この三界には、大きく分けると神族と人族がいて、

人族には、天人・人・魔人がいます。


 キンに呼び出され、夜空を洞窟へと飛んでいるクロの前方に、唐突に、暗黒色の魔物と思しき影が現れた。


その暗黒色の魔物は、手に鳥籠のような小さな檻を持っていた。

魔物は宙に留まり、その檻に何かしていた。


クロは気を消し、少し降下し、その檻の中からの光を頼りに、下から接近した。


【助けてください!】


クロの頭に、女性の声が響いた。


【私は、この檻の中です】


檻の光が、輝きを増す。


クロは、上昇しながら魔物の背後に回り、衝撃波を放った。


不意を衝かれた魔物の手から、檻が落ちる。


クロは、すかさず檻を掴まえた。


小童(こわっぱ)め! よくもっ!!」


体勢を立て直した魔物が襲いかかる!


 溜めて~~~ 今っ!


寸前で躱し、尾で(くう)を斬る。

無数の風の刃が放たれる。


刃の行く末を確かめる事無く、次の術を唱え始める。


無数の風の刃が、魔物を切り裂く!

クロは、その魔物の破片に、術を放った!


星空のように煌めきを擁する藍黒の風が、魔物の破片を塵と成し、かき消した。


「大丈夫ですか?」


【はい。ありがとうございます】


「どうやって開ければ――」


【貴方がお持ちの護竜杖を、この檻に(かざ)して下さい】


「ゴリュージョウ?」


【はい】


「……もしかして、これか!?」

『竜殺し』を破壊する為に、長老達から借りた杖を取り出す。


【はい】


杖を翳すと、檻は簡単に開き、中から、光を(まと)った小さな天使が出てきた。


「神竜……様?」


【はい】にっこり

【正確には、神竜だった魂です】


「それは……どういう?」


【私の肉体は、既に亡くなっているのです。

貴殿方が『死』と呼ぶ、その状態からが、私共、神竜にとりましては、本領発揮できる状態となるのです】


「そうなんですか……」


【ただ……肉体から解放されても、すぐには、神としての活動は出来ないのです。

言わば『熟成期間』が必要なのです。

私は、そこを狙われ……

捕らえられてしまいました。


貴方にお会いできて良かった……

助けて頂き、本当に、ありがとうございました】


そう言って、去ろうとした神竜の魂は、何かに気付いて、振り返った。


【貴方にも、神竜の欠片を感じます】


近づき、クロの眉間に手を当てた。


【これは……】


「どうかしましたか?」


【あ……失礼致しました。

貴方も、貴方の中の欠片も、友人に似ていましたので……】


【彼女は、神竜と竜の間に生まれたそうです。

もしかしたら、貴方は……

彼女の血族なのかもしれません】


「その……ご友人の名をお聞かせ願えますか?」


神竜の魂は、暫く考え、

【助けて頂きましたので、お礼として……】


【彼女の生前の名は、スミレ】


「えっ!?」


【彼女に、よく似た欠片が、貴方の幸となりますよう……】


クロの眉間に当てていた掌から、やわらかな光が流れ込んだ。


【それでは、これで……】


神竜の魂は、消えるでもなく、ゆっくりと飛んで行こうとする。


 そんな小さな体で、いつ着けるんだ?

 てか、また、捕まりかねねぇよな。


「天界の門までなら、送りますよ」


 そこまで行けば、たぶん安全だ。


【まだ、行きたい場所に、すぐには移動できなくて……

お恥ずかしい限りです】


 神竜って、意外と可愛いんだな……

 威光を放ちまくってるのかと思ってた。


クロは、天界の門で、神竜の魂を見送った。


そして、まだ持ったままだった杖を見た。


 護竜杖(ゴリュウジョウ)か……

 この杖、そんな名だったのか……

 鱗の内に入れたまま、すっかり忘れてた……



♯♯♯



 クロは、檻の取っ手を、護竜杖に引っ掛けて、くるくる回しながら、キンの部屋に入った。


「キン兄、ただいま~」


キンは、卓で書いていた手を止め、振り返り、ハッとした。


「クロ……それは……」


「来る途中で、魔物から奪ったんだ」


「詳しく話して欲しい」


「うん」


クロは、来る途中であった事を漏れ無く話そうと、思い出し、思い出し、語った。


「この杖、爺さん達から借りてたんだけど、護竜杖って名らしいんだ」

キンに渡す。


キンは、杖の気を探り、

「これと似た気の剣が有った筈だ。

探しておく」杖をクロに返した。


「神竜の友達の『スミレ』は、やっぱり、あの――」


「だろうな。

スミレ様の出生に関しては、伏せられている。

腕に紋様が有った事から、王族である事は確かだが……

ベニ女王の実子という事には、なっているが、定かではない。

ベニ女王は婚姻を結んでいないからな」


「神竜の子でも、おかしくねぇって事か……」


「確証も無いし、長老様方も口を開く事は無いだろうが、可能性は有る。

ベニ女王と神竜の間に生まれたか、

ベニ女王が神竜の卵を拾ったか……」


「う~ん……」


「何だ?」


「スミレ様に似た神竜の欠片って、何だろ?」


「さぁな」


「何で、オレなんかに入ってるんだろ?

サクラなら、納得できるんだけどな……」


「クロにも、まだ解放されていないだけで、サクラのような力が有るのかも知れぬ」


「あったら便利だろうけど……

気配を感じたこともねぇよ~」


 キン兄みたく、ムチャクチャ強くもなく……

 ハク兄やアオみたく、素手で治療なんてムリ。

 アカやフジみたく、凄いモンも作れねぇ。

 サクラは言わずもがなだ……


 オレって…………はぁ…………



落ち込みきっているクロは、気付いていなかったが、


同じ時、キンも同じような事を考え――


実は、落ち込んでいた。





凜「カミリュウなの? シンリュウなの?」


桜「どっちでも~」


凜「は? そんなイイカゲンなぁ」


桜「凜ほどイイカゲンじゃないも~ん」


凜「サクラを悪役にでもしようかしら……」


桜「ふえっ!?」


凜「十二分にアヤシゲだからね~♪」


桜「どこがっ!?」


凜「ヒスイとコソコソしてるし、

  時々、雰囲気違うし~

  隠しまくりじゃないのよぉ」


桜「それは……」

青「サクラを苛めたら赦さないぞ!」


凜「げっ……マジ怒り……」


黒「逃げた方がいいんじゃねぇか?

  アオがキレたら、ヒトッタマリもねぇぞ」


凜「そうするっ!」


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