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三界奇譚  作者: みや凜
第一章 竜ヶ島編
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天亀湖5-華雅の三眼

 おまけは、ここまで。次回から海です。


「ところで……

お前さん、小さい頃、モモさんに連れられて、ここに来た事は有るかの?」


「いえ、今日、初めて来ました。

モモお婆様が連れて来たのなら、(フジ)だと思います」


翁亀は、ハクの後ろの空を見上げている。

ハクは、振り返ったが、木々が鬱蒼としていて、空は見えなかった。


「なら……あの子かの」


翁亀が、そう呟いた時、ハクはフジの気を感じた。




 そして――


「翁亀様、お久しぶりです」


フジが降り立ち、翁亀に会釈して、近付いて来た。


「よう来たのぉ♪ 大きくなったのぉ~

お前さんも団子食うか?」

さながら、久しぶりに孫に会ったお爺ちゃんだ。


フジは、一瞬 照れて困った顔をしたが、

「今日は、翁亀様に教えを乞いに参りました」

深々と頭を下げた。


「なんじゃ? 遠慮のぉ言うてみ♪」


 なんだか……随分、扱いが違うような……


そんなことを思いながら、ハクは黙って眺めていた。


「ありがとうございます、翁亀様」


フジは、背負っていた宝剣を翁亀に差し出し、

「この剣についてお教え頂きたいのが、ひとつ」


「ふむ……他には?」


「もうひとつは……

(サクラ)が生まれた時の事を知りたいのです」


翁亀は、暫し考え、

「……長いぞ、それは。よいのか?」


「構いません。時間は、たっぷりあります」

華が香り立つような笑顔が咲き溢れる。


「お前さん、モモさんソックリじゃのぉ」

翁亀も感心している。


「孫ですから」また華が咲く。


翁亀がチラとハクを見る。


 悪かったなっ。大違いで!


「お前さんは、お前さんじゃよ」

翁亀は、ハクに、そう言って笑った。


フジは、翁亀とハクを交互に見て、二人が仲良くなれたことを確信して微笑んだ。


「剣の事とサクラの事は、関連しているのかもしれません……

それが知りたくて、翁亀様でしたら御存知の筈と思って参りました」


「そうか、そうか~♪」

頼られて、嬉しくて仕方ない翁亀だった。



♯♯♯♯♯♯



 アオ達が進んでいた砂漠には 、魔物が巣くっている岩山が、数多 聳えており、その岩山の内部、奥の間の壁には、美しい玉が埋め込まれていた。

その玉を、壁から取り出すと、岩山はサラサラと砂に還っていく。

アオ達は、岩山の魔物を討伐する度に、玉を回収し、岩山を砂に還した。




 一方、剣の方は――


以前、キンが振ってみたが、いまひとつとお蔵入りしていた物だが、竜宝である事は確かであり、アオのための武器として、アカが鍛え直した物だった。


 その剣の表面には、沢山の窪みがあり、岩山の玉は、その窪みに吸い込まれるように、小さくなり、収まるのだった。

玉を収める毎に、剣は力を得、内から光を発するようになっていった。




 砂漠の脅威の元凶・馬頭鬼の岩山には、一際大きく、光輝く玉が埋め込まれてあった。

妖狐王の三の姫が、馬頭鬼を滅し、アオ達が、砂漠に平穏が戻ったと安堵し、喜び合っていた時、


 サクラは、何者かに操られているかのような意志のない瞳を、その玉に向け、人の姿のまま宙を滑るように、瓦礫となった岩山の頂に登った。

そして、玉を掲げ、何事か唱えると、残っていた周囲の岩山から、各々の玉が、サクラの周りに飛来して漂った。

全ての玉を集めると、サクラは糸が切れた操り人形のように、カクンと力が抜け、飛来した玉とともに落下した。

落下するサクラを蛟が受け、事無きを得たが、サクラは、それから数日、眠ったままになってしまった。



♯♯♯♯♯♯



「今、この宝剣は、アオ兄様達が集めた玉に加え、その時サクラが集めた玉と、私達の洞窟に保管していた玉を収めた状態です。

まだまだ穴が多いのですが、現時点でも、かなり強い力を感じます。


私は……この剣を持つべきは、サクラではないか、と思うのですが……」


「ふむ……」

そう言ったきり、翁亀は目を閉じ黙り込む。


「そうじゃ、とも言えるし、そうではない、とも言えるわい。


確かに……

この剣の事と、末子の事は繋がっておる。

この話は……

いずれ、皆が知ることになるやもしれんが……


それまでは、ハク、フジ、お前さんら二人の胸だけに留めておいて欲しいんじゃ。

口外せんと約束できるか?」


翁亀の眼差しの真剣さと、初めて名を呼ばれた事に驚きつつ、ハクとフジは顔を見合わせ、そして、意を決して頷き合った。


二人は翁亀の方を向き、

「決して口外いたしません。翁亀様」

改めて、深々と礼をした。



 翁亀は、顔を上げた二人の目を見、ひとつ頷くと――


「じゃが、この話は本当に長いからのぉ~

一旦、休憩じゃ♪

その辺の虚でも何でも好きに使え。

食いモンは……ふむ、持って来とるな」


フジが頷く。


「眠くなってしもうたわい……

はしゃぎ過ぎたかの♪」

翁亀は笑いながら潜っていった。


桜の大木が、少し沖で止まった。



 ハクとフジは、そよ風に吹かれながら、桜を眺めていたが――


 フジは、持って来た袋を引き寄せると、重箱を取り出し、

「お弁当です」

にこにこしながら、ハクに渡した。


「朝には戻りますので」

言いながら、宝剣を抱えて立ち上がる。


「どこ行くんだ?」


「翁亀様には お見せしましたので、アオ兄様に剣を渡して参ります」


「アオは? もう大丈夫なのか?」


「ええ、もう大丈夫だと、出航しましたよ」


 あの一瞬で、いったい何日経ったんだ!?


ハクが固まっている間に、フジは飛ぼうとしていた。


「待てっ! サクラは?」


「昨日、起きましたよ」にっこり


 昨日って……


愕然とするハクを残して、フジは飛び去ってしまった。



 一人残されたハクは、呆然としていても仕方がない と、重箱の蓋を開けてみた。


「クロの料理は久しぶりだな……

一人で花見か~

酒……竜喜とやら、味見させてもらうとすっか♪」


ハクは、翁亀とフジが戻るのを、のんびり待つことにした。



♯♯♯



 ま、サクラは、玉を集めた後、すぐに目覚めて

 動き回っておったがの。

 ハクとフジには、黙っておかねばの。


 さて……どこまで話せるかのぉ……


湖の底で、思案する翁亀だった。





桜「慎玄さま~♪」


慎「サクラ様、如何なさいましたか?」


桜「慎玄さまも、たぶん、コレ出せるよ♪」

 掌に光の球を出す。


慎「この光は……?」


桜「治癒♪ でねっ、こっちは回復で~

  これが浄化♪」ポコポコ♪


慎「私にも出せるのですか……?」


桜「うんっ♪」光の球を渡し、掌を翳す。


慎「おや……これは……」


桜「やってみて~♪」


慎「では……ほう……」

 合わせた掌の間に光が生まれ、膨らむ。


桜「ねっ♪ 術に混ぜてねっ♪」


慎「御導き、有り難き事に御座います」合掌。


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