神の戦2-掴め!
アオとサクラは、異空間で闇の神を追い、
兄弟と仲間達は、闇神城で魔王達と戦っています。
闇の神が逃げる。
ディアナに引かれ、アオとサクラが追う。
異空間で、それは何度も繰り返された。
「そろそろ諦めて~、あの術 止めてよぉ」
【止めるくらいなら己を滅する!】
「もともと神様なんでしょ?
なんで こんなことするのぉ?」
【貴様等に言ってどうなるのだ!】
「教えてよ~。いいことあるかもだから~」
【馬鹿にするのも大概にせよ!】消えた。
ディアナに引かれながら(もぉ少しかも~)
(うん。本来の感情が動き始めたね)(うん♪)
♯♯♯
【結界が解除されたようです。
弥勒、光を集めましょう】
【はい。釈迦様】
【よしっ! 打つぞ!】【はい! 父上様!】
閻魔達が紲輝鎚で床を打つ。
人神達は魔王からの闇の攻撃を躱しつつ、受ける掌に、魔神達の鎚が発した光を集め始めた。
そして魔王達に向けた掌から放った!
――静寂が訪れる。
【流石でございます、人神様】にこにこ。
【いえ、閻魔様方のお陰で御座います。
呪の闇をその壁に封じて頂けましたので、戦えたので御座います】合掌。
【釈迦様!】
釈迦の背後に、新たな魔王達が現れた。
空かさず、光が暴風に乗って拡がった。
――再び静寂……。
【はて……先程の光は何方が……?】
クロと姫が、魔王の気を追って曲空した先では、蓮仏と華仏が魔王達に囲まれ、苦戦していた。
(ここに大勢いたんだな……)(ならばじゃ♪)
クロは神以鏡を構え「暴嵐激乱!!!」
――乱れ吹き荒れる暴風が収まると、人神・魔神達も来ていた。
【先程の光と風はクロ様だったのですね】
剛鬼が にこにこと寄って来た。
【蓮仏と華仏までもお助けくださり、有難う御座います】釈迦と弥勒、合掌。
(協力はトーゼンですのでっ)ぺこり、曲空。
(わわっ! クロ! しかと説明せねばっ!)
【クロ様を追いましょう】【そうですね】
♯♯♯
【燦狐、此方の穴は任せろ】
(お願い致します、ゴルチル様)
白九尾とゴルチルは、二つの闇の穴から湧き出る、魔王の影や幹部達と戦っていた。
【全て出切る迄、手出しせず堪えろ】(はい)
闇黒色の群からの攻撃を躱し続けていると、やっと穴が塞がった。
【一気にいくぞ!】(はい!)
白九尾の周りに無数の御札が現れ、その妖文字が神の光に乗り、尾を引き飛んだ。
ゴルチルが次の光を放とうと構えた時、背後から、神の光が風に乗り拡がった。
【クロか……】(魔王達が来ます!)
次々と魔王が姿を現した。
【全部 出て来い! 何度も面倒だ!】
♯♯♯
(サクラ、闇の浄化が進んだから、そろそろ真剣に説得しようか?)
(はい。お願いします)
アオ兄……またヤバい事してるよね……。
(サクラは浄化を続けてね)(はい……)
「俺達は自分の意思に関わらず、他の方の想いを拾ってしまいます。
貴女様は、どうやら誤解から、このような事をなされたのではないかと思うのです」
【誤解……だと? 遥か昔の事だ。
貴様なんぞに何が解る!】
「遥か昔ですので、多くの方々の想いが貴女様に纏わり付いているのです。
……サフィア様」
【何故……その名を……】
「貴女様を想い、心の底から御心配なされていらっしゃる方々の御気持ちを感じるのです。
サフィア様に生きていて欲しいと、強く願う方々の御気持ちから拾いました。
その方々が、誤解だと……そう、強く訴え掛けられております」
【そ……んな……今更……】
「まだ、この世は滅亡してはおりません。
どうか術をお止めください」
【遅いのだ……もう……止められぬ……】
【術をお止めください! お願い致します!】
【ディアナ……お前が教えたのか!?】
「いいえ! サフィア様!
ディアナ様も、サフィア様も、固く御心を閉ざしていらっしゃいます。
大神様が閉ざした御心まで拾う事など出来ません!
ディアナ様は、今回の見届けの神様として、俺の中にいらっしゃっただけなんです。
俺が嘘をついているか否か、心の隅々までお確かめください!!」
サフィアの鋭い視線にも、アオの真剣な眼差しは、臆する事無く対峙する。
【アオ……サクラも……真に、潔白と……】
「何度 御覧頂いても構いません」
【もう、よい。
しかし……最早、手遅れなのだ!】消えた。
「ディアナ様! 追って――」
【これは神の戦……私達姉妹の戦なの。
アオ、サクラ……ありがとう】
「ディアナ様!?」
ディアナはアオとサクラを元の世界へと突飛ばし、サフィアを追った。
♯♯♯
【キン! アオとサクラが異空間から、こちらに向かって飛ばされています!
心の手で二人を掴んでください!】
カルサイが現れ、叫んだ。
(どうすれば――)【導きます!】
カルサイはキンの心を連れ、異空間へと飛び込んだ。
【二人を安全に連れ戻せるのは、二人との結び付きが強いキンだけ。
手を伸ばし、二人を掴んでください!】
アオ……サクラ……見えた!
キンは手を伸ばし、アオの手を取った。
(サクラ! こっちだ!)(キン兄♪)ぽふっ。
サクラがキンの胸に飛び込んだ。
【貴方様は……?】
アオとサクラを導いた神が、カルサイの前に現れ、頷いた。
【トパーズ様……?】お呼びくださったのも――
【ここは危険です。その二神を早く!】
【戻ります!】トパーズ様、どうか御無事で。
♯♯♯
【キュルリ、お手伝いお願いね】
【とぉさまは?】
【アオを助ける為なのよ】
【うん♪ とぉさま たすけるの~♪】
【ディアナ♪ あとで いっしょに、とぉさまと かぁさまと あそぼ~ねっ♪】
【あっ♪ サクラも いっしょねっ♪
みんなと いっしょに あそぼ~ねっ♪】
ごめんなさい……キュルリ……。
♯♯♯
カルサイ達が戻った先は――
【ゴルチル様……引っ張りましたね】
【神を集めただけだが】ニヤリ。
【纏めて来いと言ったら、こんなにも来たのでな】わはははっ。
(まだこんなにも魔王が……)
【アオ、ディアナ様は――】
【カルサイ、後だ! 此奴等、格上だぞ!】
(コイツら、魔王の中でも精鋭らしいな)
(じゃが、我等は負けぬ!)(だなっ!!)
ゴルチルが目の前に現れ、神以鏡に掌を当てた。
【補充した! 行けっ!!】
即座にクロ達から離れ、光を放つ。
【拡散では弱い! 一点集中だ!!】
(兄貴達! 集まって!!)
ハクとアカが現れ、一瞬 遅れてフジが現れた。
各々、神以鏡を構え、戦闘に加わった。
【サクラ! 下で浄化している神を呼べ!】
コバルトの声が聞こえた。
(はいっ!)曲空。
【アオ! 最上階だ! まだ稼働している結界魔宝を全て眠らせろ!】
(はいっ!)曲空。
サクラが神を連れて戻る。
【神共! 王子達の鏡に光を補充しろ!
勿論、加勢もだ!】
アオが戻った。
(アオ兄……)(何?)
(また……倒れないでよねっ)
(サクラには隠しようが無いよね)くすくす。
(笑ってる場合じゃないでしょっ!)
(うん。そうだね)くすくすくす。
(もぉぉぉ~っ!)
(大丈夫だから怒らないで)
(いいもん! なんかあったらアオ兄も、いっしょに神にしちゃうもんねっ!)
(サクラ、それだけは――)(するもんっ!)
(勘弁してくれよ)
(やだね~っ! 神 決定!)
アオとサクラの攻撃は的確で、見る限り、真剣そのものであった。
(サクラ、のんびりとは――)
(うん。一気に!)
二人が爆発的に気を高める。
(兄貴達! 拡げて! せーのっ!)
(光輝神雷!!)
(鬼雷爆裂!!)(極炎豪放!!)
(暴嵐激乱!!)
雷と炎が絡んだ光が暴嵐で一瞬にして拡がった!
(もっかい!!)
絶叫が劈く中、第二波が拡がる!
――視界と静寂が戻り、神々が浄化を始める。
(兄貴達♪ ありがと~♪)
(アオ兄、どぉやって異空間に行くの?)
(問題は、それだよね……)
恒「前王様、各屋敷の使用人の縁者から
集縮を集め、持って参りました!」
白「執事長達……けっこうな数じゃな!
これは有り難い! おお、そうじゃ!
鈴蛇が魔竜王国で、ひとりじゃ。
さぞかし心細いじゃろうて、行ってやれ」
恒「しかし、手伝いなどさせて頂かねば――」
白「城にも執事は大勢じゃよ」
蓮「恒蛇兄さん、磊蛇は行ってしまいましたよ。
御言葉に甘えさせて頂きましょう」小声。
白「遠慮など無用だ! 行け!」御光臨。
魁「ではっ!」恒蛇を引っ張る。
白「そのまま魔竜王城を手伝うてくれるかの?」
箜「はいっ!」恒蛇の背を押して行く。
白「風蛇も、爽蛇の代理として行ってくれるかの」
風「あっ、はい! ありがとうございます!
これで運びました壺は最後で御座います!」
風蛇は大壺を置いて、執事長達を追い掛けた。
白「さて……ヒマワリは、どうすれば
呼び戻せるんじゃ?」
フ【でしたら、私が光を込めましょう】
白「え?」このお顔……知っておる……?
……肖像画!「初代王妃様!?」
フ【はい♪】うふふっ♪




