神の戦1-皆で!
クロと姫は三界中に供与をし続けています。
闇の波動に圧され、異空間へ飛ばされた皆に、光の波動を当てて押し戻した反動と、直後に受けた闇の神の反撃で、アオとサクラは異空間を流されていた。
【アオ! サクラの手を! 意識が無いわ!】
(はい! ディアナ様!)心の手を伸ばす。
(サクラ、目覚めて!)心の手で揺さぶる。
(……ん……あ……アオ兄!?)
(戻るよ)(あ……うん。せ~のっ!)
――闇神城内。
(みんなは……だいじょぶだね)
(うん、城内だね)
【やはり戻れたか……ならば!】
二人は身構えたが、(あっ、逃げるよ!)
【私が導きます!】(ディアナ様、それは――)
アオとサクラは強い力に引かれていった。
【ディアナ様!?】【アオ! サクラ!】
スミレとヒスイが、アオとサクラの気を追って、闇の神の間に着いた時、ひと足違いでアオとサクラの姿が消えた。
【如何した!?】
戻った金虎が、二神の様子に驚きの声を上げた。
【闇の神は何処に行った!?】
【異空間のようです……】
【誰ぞ神は追っておるのか?】
【ディアナ様が、アオとサクラを連れて……】
【その二人が追っておるのならば、我等は、この術を止めようぞ】
【はい。金虎様】
スミレ、ヒスイ、金虎は術に絡む闇を打ち消すべく、闇の神の魔法円に光を当て始めた。
【発動は引き延ばせそうか?】現れた。
【始祖様、他の方々は……?】
【ここに来ていた神は、飛ばされたが大丈夫だ。
金虎同様すぐに自力で戻る。
他は魔王達と戦っているからな……。
結界近くに居る神を連れて来るから、待ってろ!】
カルサイと孔雀が現れ、直ぐに魔法円を囲む。
カルサイがヒスイとスミレに目を向ける。
【アオとサクラは?】
【ここまでは戻りましたが……】
【ディアナ様に導かれ、異空間に……】
スミレとヒスイは言葉を濁した。
【私が探します】カルサイは目を閉じた。
♯♯♯
クロと姫が、大きな音が響いている部屋に曲空すると――
沢山の結界魔宝の上の宙で、バナジンが魔王達と戦っており、
剛鬼と飾鬼が紲輝鎚で壁を打っていた。
(この音じゃったか……)(だな……)
バナジンの気が爆発的に高まり、閃光が部屋を満たした。
(スッゲー!)
(神様の本気とは真、凄まじぃのじゃな……)
(あ……結界魔宝の解呪も同時に……)
(ならば解除しよぅぞ♪)(だなっ♪)
♯♯♯
(サクラ、さっきの声、聞こえたよね?)
(うん♪ クロ兄の声ね♪
『こっちは任せろ! 気にすんなっ!♪』でしょ)
(うん。凄い力だったね)
(一瞬だったのに、俺達 見つかってたね~♪)
(三界は大丈夫だ。集中しよう)
(うんっ♪ クロ兄なら だいじょぶ~♪
……アオ兄、全力だね)
(そうだね、サクラ)
♯♯♯
【コバルト、ずっと気になっていたのですが、地の小さな光は光臨鐘ですか?】
【ん? ずっと?
ああそうか、結界の こっちからでも見えてるんだな。アオとサクラが埋めたんだ】
穴をくぐる。
【闇神城まで続いているのですね】
【そうだ。だから神も あの城に行けたんだ】
【光の道ですね……】
【しかも、この穴と鏡で、あっという間だ】
コバルトはロサイトとルバイルの手を取り、闇の神の間に向かった。
♯♯♯
【何故ここまで……】
「逃がす事は出来ないからね」
【流石、神の子達だな】
「ただの竜だよ」
【フン……まあよい。ここで、この世の終焉をとくと眺めようではないか】
「いやだよ~、俺まだ若いんだからねっ。
新婚なんだし、終わりになんてさせないよ!」光を放つ。
【まだ無駄だと解らぬのか!?】
「ムダじゃないも~ん。
術を止めてくれるまで やめないよっ」
(サクラ、少しずつでいい。避けられないよう、空間ごと浄化するんだ)
(うんっ)
(勝輝、吸っても大丈夫な闇なら頼むよ)
【畏まりまして御座います、我等が王】
♯♯♯
「極炎豪放!!」
フジは神以鏡から神の光と神聖光輝を炎に乗せ拡散させた。
倒れた魔王の胸部に、アカの掌握が突き出る。
(浄化しろ)
(アカ兄様、ありがとうございます!)放水!
(残り一体、掴んだら即、浄化だ)(はいっ)
アカが神眼で追う――捕らえた!
その拳に、フジが光と神聖光輝を放った。
「こちらでお待ちください」元・魔王に言い、
(フジ、アメシス様だ!)曲空。
――アメシスは五体の魔王に囲まれていた。
(こちらの方が強いですね……)
(神聖光輝を拡散して弱らせろ)
頷き「極炎豪放!!」放った。
人を依代としている二体が膝を突いた。
空かさずアメシスとアカが光で包む。
(フジ!)(はいっ!)
掌握が掴んだ魔王に神以鏡を向け、光を纏った神聖光輝を浴びせる。
この依代は魔竜ですね……。
残った二体から同時に瘴気が放たれた。
「隔壁!」アカが各々を囲んだ。
(防ぐのは闇だけだ)
光輝神雷と神聖光輝を浴び、一体が落ちる。
もう一体が消えた。
(逃げた? それとも――)気を探る。
【ハクの方に行ったようです】
(でしたら、すぐにっ)
【いえ、移動と同時に闇は消滅しました。
こちらの方々の浄化を続けます】
(アカ、フジ、ハク兄の所へ!)(はい!)
クロが現れ、続けてキンが現れた。
(アメシス様、浄化はドルマイ様にお任せください。
初代魔王の魔法円の方をお願い致します。
神竜様、黒竜に付いて行ってください)
キンがアメシスに伝えている間に、クロは依代達を抱えて消えた。
♯♯♯
ビスマスが放った光は魔王に躱され、現れた何かに当たった。
「あ……ま、いっか~」
ビスマスは魔王を追い、攻撃を続けており、光が当たった何かは眼中に無い。
「ちょいと、その隅で待っててくれよなっ」
声を掛けて、ハクはビスマスを追った。
(ハク兄様!
先程、魔王が現れたと思うのですが)
(ああ、あれだ)指す。
(一瞬で……)
(コイツが避けた所にアイツが出たんだ)
笑いながらビスマスの攻撃を双璧で真似る。
(捕らえた!)アカの掌握の拳に一斉攻撃!
(お~いクロ、こっちも回収してくれ♪)
(自分で連れて来てくれよなっ)むっ。
(連続曲空 出来るんだから頼むよ~)
(しゃあねぇなっ)現れ、連れて行った。
キンが現れ、
(ビスマス様、初代魔王の間にお願い致します)
(フジ、初代魔王の部屋を浄化して欲しい)
(アカ、最上階に頼む)ハクを掴んで曲空。
♯♯♯
【お袋! 浄化はコイツらに任せて、闇の神の間に行ってくれ!】
コバルトが深魔界との境界で浄化していた神達を連れて来た。
【お前らも行け!】
オニキスとオパルスも移動した。
コバルトは慎玄と純慎に近寄り、二人の額に掌を翳し、光を放った。
【この術で浄化して欲しい。
魔法円から闇が噴き出し続けているんだ】
二人を連れて、闇の神の間に移動した。
♯♯♯
(アオ、共心しろ)
アオの心の中で、ルリがアオの腕を掴んだ。
(異空間でなんて危険過ぎるよ)
(構わぬ。
アオの一部になれるのならば本望だ)
(ルリ……俺は嫌だ)後退る。
(しかし、今 使わねば、何の為に会得したのか分からぬぞ)
(闇の神を三界の何処かに連れ戻し――)
(連れ戻す為にも力が必要ではないのか?
バナジン様は、この時の為にお教えくださったのではないのか?)
(一旦、元の部屋に戻ろう)
(そんな事が易々と出来るのか?
それに、最早 時間は無い。
アオが共心する気が無いのなら、私からアオの中に入るぞ)
(それこそ解除不可能になるだろ!)
(そうだな)フフッ。
(そんな楽しそうに……)
(だから本望だと言っている)くすくす♪
(ルリ……)
ルリが真顔に戻る。
(入るぞ!)アオの胸に飛び込んだ。
(待て!! 闇の神が動いた!!)
ディアナに引かれた。
きゅる……。
青(どうしたんだい? パラチア。
何か気になるのかい?)
キ【とぉさま! あれ!】
青(うん……光だね……。
ディアナ様、少し離れたいのですが、
後で戻して頂けますか?)
デ【……ええ】
青(サクラ、少し離れるよ。
ひとりで追える?)
桜(アレでしょ? 俺も気になる。
だいじょぶだから行って)
青:水晶と精霊様……おそらく精霊王様。
それなら――
(クレフ様! ルタン様!)
届かないのか?
(何方でも! お越し頂けませんか!?
精霊王様!!)
光が物凄い勢いで迫って来た。
?【なんだ、アオではないか。
また、どうした――リヒト!?
しっかりしろ!! リヒト!!】
青(安全な場所にお連れ頂けませんか?
この水晶も一緒に)
?【アオの頼みならば、勿論、引き受ける。
だが、その水晶は何だ?】
青(神様が封じられているようです)
?【そうか。解った。安心して進むがいい!
いや、遡っているのか?
まぁ、とにかくだ、進め!】
ト【私がお供してもよろしいでしょうか?】
?【そうか。ならば共に。
アオ、迎えに来たならば、また笛を
聴かせてくれよ】
青(はい。そんな事でいいのなら、いつでも)
?【前にも、そう言っておいて、なかなか
来やしないのだからなっ】
豪快な笑い声を響かせて、筋肉質な精霊王は
トパーズを伴い、飛び去った。
青:何方様だったんだろう……?
デ【アオ……先程の大神様は?】
青(トパーズ様です。どうかなさったんですか?
あ、そうか。俺の中の別々の場所に
いらしたんですね?)
デ【え? ええ。ですので驚いたのです。
アオの中は広いのですね】
青(そうらしいです。
では、闇の神の近くにお願い致します)
デ【ええ】




