闇神城8-魔王だらけ
闇の神が異空間へと飛ばし、アオとサクラが
皆を闇神城へと戻し――
ドッ!「ってぇ~っ!」ムクッ!「姫!!」
飛来した闇の波動を避ける。
(姫! どこだ!?)
また避けたついでに「風神竜牙!!」
無意識に発生源に向かって放ち、そして姫を探す。
「見つけた!」曲空!
――姫の目の前。
「乗れっ!!」「あいなっ♪」放水!!
(ん? アレ、魔王か?)(然様じゃ♪)
「おっとぉ」避ける。
(神眼で見よ)(おう♪)
(皆バラバラで、魔王達と戦ってるんだな……)
(早ぅ終わらせて、助太刀致そぅぞ)(だなっ♪)
(先ずは、この城全てに供与じゃ!)(おうっ♪)
(いや待たれよ! 三界全域に供与じゃっ!)
(はあっ!?)
(神眼を拡げるのじゃっ!)
(ゲッ……これは……よしっ! やるぞっ!!)
(保とぅぞ!)(モチロンだっ!)
クロと姫は、神眼と供与を三界全域に拡げ、それを保ち、攻撃を続けた。
この水……今一歩、届いておらぬのか?
水の勢力が足りぬのならばっ!
姫は風の召喚竜を出し、そこに神聖光輝を放水して込めた。
(行けっ!!)
召喚竜が魔王に向かって突進し、水飛沫を上げ、腹に入った。
(クロ! 神以鏡じゃっ!)(おう♪)
もう一体に向け「風神竜牙!!」
背に抜けた召喚竜は風のみになっており、一拍おいて、魔王の絶叫が響いた。
(よぅやってくれたのぅ♪)なでなで♪
【クロ様!】【静香様!】
オニキスとオパルスが現れた。
各々、神竜の魂を伴っている。
(浄化、お頼み申す)元・魔王を指す。
二神が元・魔王とその依代達を浄化し始めた。
(して、クロが倒した魔王の魂は何処じゃ?)
(あ……オニキス様、後で来てください!)曲空。
――クロの痕跡が残る部屋。
(ほったらかしてワラワの方に来たのか?)
力無く漂っているものを指す。
(姫が背にいねぇから、探すのに必死で……気づかなかったんだっ♪)
(じゃが、気絶しておるぞ)闇の竜じゃな。
(何したっけ?)
【では、引き継ぎます。光輝神雷!】
神竜の魂が浮き出る。
(依代達どうする?)(一ヶ所に集めよぅぞ♪)
(じゃあ結界魔宝も)(七階が良かろぅぞ♪)
七階に曲空。オニキスとオパルスも続く。
(ここならば、我等の結界も確かじゃ♪)
(広いし、ちょうどいいな♪)依代達を並べる。
(では、オニキス様、オパルス様。
宜しくお頼み致しまする)ぺこり、曲空。
♯♯♯
アカはサッと恍恒鏡を出して盾にし、魔王の波動を反射した。
魔王は避けきれず、波動に絡まれ固まった。
掌握で魔王を掴み出す。
【赤虎、あとは任せよ】光輝神雷、一発じゃ。
(アカ、終わったのか?
じゃ、依代 貰って行くからな)抱える。
【ならば付いて参れ】引っ張られた。
【ほれ、此奴等も頼むぞ】当然、元・魔王もな。
(あ……ありがとうございます)
♯♯♯
【慎玄、怪我はありませんか?】
(援護、ありがとうございます。
大丈夫でございます)合掌。
【親父、孔雀様と純慎を連れて来たぞ。
術の時間稼ぎに行くから、頼む!】
(慎玄殿、純慎殿、御無事でしたか。
カルサイ様、始祖様、孔雀様。
ありがとうございます)曲空して来た。
【キンも、この二人を護れ!】消えた。
魔王の闇拒絶の結界が、せり上がる。
【そちらの魂と依代も浄化致します】
(宜しくお願い致します)
(あ、じゃあ、ここに運んで来る!)曲空。
【今、一瞬……】(はい。クロです)
(この皆さん、依代だったんです。
お願いします!)
オニキスとオパルスが、元・魔王達を連れて引っ越して来た。
【あら、では私も浄化します】現れた。
【ドルマイ、浄化を頼みます。
私も魔法円の方に行きますね】
【お任せくださいね】
♯♯♯
(クロ、アオとサクラは何処じゃ?)
(それなんだが……見えねぇんだよな……三界には……いねぇな……)
(ワラワは闇に飛ばされ、光で戻され、また闇で叩き落とされたよぅな感じじゃったが……クロは如何な感じじゃったのじゃ?)
(ああ、まったく同じだ。
どっか別の……上も下も分かんねぇトコに飛ばされて、戻されたよな。
んで、戻ったと思ったら、弾かれて壁にブチ当たったんだよ)
(押し戻したのがアオとサクラの光ならば――)
(アイツら、まだ戻ってねぇのかもしれねぇな。
でも、アイツらなら、絶対 自力で戻る!)
(そぅじゃな♪ 二人ならば、いずれ戻るな♪)
(戻るまでに終わらせて驚かせてやろうぜ♪)
(そぅじゃな♪ ならば次に参ろぅぞ♪)
(だなっ♪ 行くぞ!)(あいなっ♪)曲空!
クロと姫が曲空した先では――
「うわっ!!」「およっ!?」
雷が炸裂し、空間を満たした。
――色が戻る。
(クロ……また来たのか)
(キン兄~、そりゃねぇよぉ)
(ここは大丈夫だ。それより――)上を見る。
クロと姫も上を向く。
(クロ、最上階が賑やかじゃぞ)(行くぞ!)
クロと姫が曲空すると、弥勒と優鬼が、十体以上の魔王と戦っていた。
(やるかっ!)(おぅよ!)
クロが重ねた神以鏡を構え、姫がクロの背に両掌を当てる。
「暴風激放!!!」
神の光を絡めた暴風が瞬時に拡がった。
絶叫大合唱――そして静寂――ではなく、
ドーーン!! ドーーン!!
(隣の部屋じゃな……)(行こう!)曲空。
♯♯♯
【赤虎! 同時に捕まえよ!】
(はい)掌握を、三体の魔王に向かって伸ばす。
【光輝神雷じゃ!】迸る。
(クロは最上階か……)
【ならば、運ぶより他に手は無かろうて。
して……先程より腕輪が光っておるのじゃが、女房殿ではないのか?】
(あ……)気付かなかった……。
(ワカナ、どうした?)
(アカ、鏡の光が尽きたの。
どうすればいいの?)
(ふむ)(大師匠様、お願い致します)
アカは金虎の手を取り、六階に曲空した。
――通路鏡を抜ける。「アカ……」「ん……」
アカが振り返り、
「大師匠様、神以鏡に補充を――」
【しておるぞ】見詰め合うとる間にのぅ。
「この上も……」見上げる。
「アカ様、こちらの事よりも、魔王の方をお願い致します」
爽蛇が深く頭を下げる。
「爽蛇殿……しかし――」
【ここだけでは無いようじゃ。
三界全域……多くの者が戦うておる。
皆、お前さんらが存分に戦えるよう、平和な世になるよう、戦うておるのじゃ。
戻るぞ、赤虎】
アカと金虎は、結界を更に強め、
「では、お願い致します」鏡をくぐった。
――六階の鏡に出る。
【赤虎、儂はカルサイ様に呼ばれたからの。
フジに加勢してやるがよい。
お前さんも、もう光が使えるのじゃからな】
「はい」掌に光を出してみる。「ふむ」曲空。
♯♯ 地下魔界 ♯♯
「妖狐王様! こちらをお使いください!」
「投石器か? リジュン」
「魔宝を組み込んでおりますので、的確に壺を投じる事が出来る筈です」
「おヌシらが作った物ならば間違い無い。
直ぐに入れ換えよ!
して、魔界だけか?」
「いえ、全域に運んで頂きました」
「ならば、よい」ニヤリ。「儂も行くぞ」消えた。
♯♯ 天竜王城 ♯♯
「シロ、もう工場にも壺は無いぞ」
「ならば、城や山から掻き集めるか?」
「それは、とっくに使ったんだが……長老の山は勿論、使用人達の家からも、王子達の屋敷からも集めきってしまった」
「ギン、他に無いのか?」
「店の在庫も集めたからな……」
【もう無いのか?】
「あとは時間が掛かりそうだな」
【ならば、直に放つとするか。
おかげで随分と慣れたからな】消えた。
「親父、あの御方は?」
「ああそうか、初めてじゃの。
あれはムラサキの妹、ヒマワリじゃ」
「はあっ!? 何故、神に!?」
「さぁのぅ……」
「孫とは……誰なのじゃろ……」
アオはシロには言うておらなんだか……。
飛翔台に伝令兵が降り立ち、
「アサギ王様よりの御伝言で御座います!」
飛んで寄る。
「天馬の国か?」
「いえ、既にハザマの森口に入られておられます!
『ハザマの森より妖狐軍の加勢が有り、我が国に隣接しております天馬、天兎、麒麟国の魔物は、全て元の姿に戻った』
との事で御座います!」
「では、各聖堂と祠を治療の場に!」
執事達が駆けて行った。
「援軍を率いて、その先の国に参ります。
アサギ王帰城まで、お願い致します」
ギンが飛んで行った。
「もう一件御座います!
王都に入りました所で、トキワ大臣様にお会いし、御伝言を承りました!
『魔人は、妖狐軍が連れて行った』との事、
『天人と人は、彩奏の大神殿に運び込みを始めている』
との事で御座います!」
「ならば、長老会で手分けして整えるわい」
ムラサキが曲空した。
紫「シロ、ヒマワリの孫は知らんのか?」
白「遠くから見ただけなんだよなぁ」
紫「アオは、どうして……」
白「王族を離れた者だから、とな。それと、
近いうちにヒマワリとも会えるから、
とも言っておったな。確かに会えたが、
それがどういう理由なのかはサッパリだ」
紫「で、ヒマワリを見て、どうだ?」
白「遠目だったが、確かに、あの娘さんは
ヒマワリの孫だな」
紫「娘さんの気は確かめなかったのか?」
白「確かめようとしたんだが……消しておった
のか、弱くて掴めない程だったのか……」
紫「ま、アオが帰還すれば、ちゃんと会わせて
くれるだろうよ」
白「ムラサキは知ってるんだろ? 教えろよ」
紫「アオを待てよ」
白「ケチ」
紫「おい、ケチとは酷い言いようだな。まぁ、
アオには、きっと考えが有るのだろうよ」
陽【兄貴、地下界には、どう行けばよいのだ?】
紫「ヒマワリ、戻って来たのか?」
陽【天界は神だらけだからな】
紫「人界になら星輝の祠から行けるそうだ」
陽【そうか。ならば、とりあえず行くか】
白「ヒマワリ、お前さんの孫の名は?」
陽【ルリだ。シロ兄の孫と結婚したそうだが?】
白「ルリ……さん……が?」
陽【ま、話は後だ。では、な】消えた。
紫「さて、壺を集めるか」そそくさっ。
白「待て! ムラサキ! おいっ!」




