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三界奇譚  作者: みや凜
第五章 闇神城編
422/429

闇神城7-闇の神の間へ

 『闇の神』『初代魔王』と、竜達は好き勝手に

呼んでいますが、魔王達は『神』と呼んでいる

ようです。


♯♯ 闇神城 ♯♯


(アオ兄おかえり~♪)ぱふっ♪


(ただいま)なでなで。


(みなさ~ん♪ 次、こっち~♪)

サクラが飛んだ。


(まだ曲空は使っちゃダメだよ~)


兄達から了解の返事を受ける。




(メライトさん、七階だけではなさそうなんですね?)


【はい……まだ歪みを感じるのです】


(真神界に作ったような、異空間を通る歪みと同類ですか?)


【そうですね……似ています。

おそらく、私が作った鏡を利用し、曲空すれば異空間に引き込むように変えている……そんな気がするのです】


(そんな物が出来ていたのですか?)


【未完成だと思います。

私は、そこまでは作れていませんでしたし、短期間で完成出来るとは思えませんので。

曲空封じを解除されたので、無理矢理それを発動したのではないでしょうか】


(それだけに恐ろしいという事ですね……鏡の在り処は分かりますか?)


【いえ……ずっと上……その程度です】


(ありがとうございます。

では、初代魔王(闇の神)に直行します。

誘導お願い致します)




 サクラに続いて鏡をくぐり、回収出来る結界魔宝を解除していたアオとクロは――


(アオ、あっちこっちに魔王がいるけど、どうするんだ?)


(流石、クロには見えるんだね。

サクラは初代に直行するつもりだよ。

初代を浄化出来れば、全てを浄化出来るかもしれないからね。


魔王達は俺達の動きを把握していながら、動かないね。後ろを塞ぐつもりかな?

今は、襲って来たら戦う。それでいいと思うよ)


(そっか)(監視だけは頼むよ)

(解った)(うむ♪)


(しっかし、隠居っつっても強ぇんだな)


(ああ、それか。初代が復活させたからだよ)


(え? じゃあ……)(全員、現役だよ)

(ゲッ……)


(勝てるのか?)(勝つよ)

(どこからそんな……)(俺達だから、かな?)

(おいおい……)(大丈夫さ)くすっ。


(初代にとっては、想定外だらけだろうからね)


(想定外?)


(三界中の人族も神族も、全てが協力している。

長い時を掛けて分断したのにね)


(そっか……だなっ♪)


(だからこそ成し得たんだけど――)


(ん?)


(ここまで侵入されるなんて、思いも寄らなかっただろうね。

しかも神まで来てしまった。

だから慌てて未完成の魔宝まで使わないといけなくなったんだよ。

そこまで追い詰めたんだ。皆の力で)


(この曲空封じか?)


(曲空は出来るよ。ただ、罠が仕掛けてあるんだ。

最初の曲空封じを解除されたから、今度は無理矢理に厄介な罠を起動させたんだ)


(どんな?)


(そこまでは分からないよ。

でもきっと戦えなくなる。

ま、そんな事じゃあ俺達を止められないけどね)


(おう♪ 皆の力があるからなっ♪)


(それに、この状態でも見える者が居る)

クロと姫を見て微笑む。


(オレ達だけ!? まさか……アオには見えてねぇのか?)


(うん。闇が強過ぎて、よく見えない。

神様方も同様だと思うよ。

そうでなければ、人神様と魔神様も苦戦しなかっただろうね)


(もしかして、さっきも見えてなかったのか?)


(神眼では真っ暗だったよ)


(オレ、知らずに……サクラ怒鳴っちまった!)


(いいよ、そんな事 気にしていないから。

どうしてもなら、後にしてね。

サクラは今、元・現魔王に案内して貰っているからね)


(もう友達になったのかよ)(たぶんね)


また鏡をくぐる。


(あ……初代、近いぞ)(見える?)

(奥の部屋、魔法円がある!)

(マズいね。追い詰められているから……)



(サクラ、魔法円が有るらしい)


(うん、ありがと。気をつける~。

もぉすぐだからね。

アオ兄……ディアナ様をお願いね)


(うん……解っているよ、サクラ)




【この突き当たりです。

歪みの鏡も、あの部屋に有ります】


(ありがとうございました、メライトさん。

安全な所にお送りします)


【いえ。このまま、お供させてください】


(危険ですので、それは――)


【私が、これまで貴殿方に――いえ、この三界にしてきた事を考えれば、既に滅されていて当然です。

まだ少しでもお役に立てる可能性が有るのでしたら、お連れください】


サクラは立ち止まって考え、

(では……引き続き、お世話になります)

前を向いた。


【ありがとうございます】




(ルリ、通路の壁に埋め込まれている結界魔宝は取り出せるかい?)


(ふむ……なんとか、な)次々と出す。


(あの部屋の中は?)


(もちろん探る)


(無理はしないでね)

(無理だとは思っていない)

片っ端 解除していく。




♯♯ 天竜王城 ♯♯


「親父! 何があった!?」ギンが飛んで来た。


「ムラサキが集縮工場に行ったんじゃ。

硝子工房に行きたくての」


「武器を量産するのか?」


「全界が苦戦しておるからの」曲空。


「親父が……曲空?」いつの間に会得を?


【ギリギリ間に合ったようだな】


「えっ!?」まるで黄色いルリさんだな……。


【城は相変わらずだな】


「ヒマワリ……」曲空して現れ、固まった。


【兄上、成ったばかりの神だが、手伝えるか?】


「なんで神に……?」


【成り行きだ。孫を護りたくてな】


「壺を運ぶ! 神の光を込めてくれ!」


【お安い御用だ】フフン♪


「ギン! 執事達を集め――ヒマワリ!?」

大きな箱を抱えたまま固まった。


【シロ兄♪ 久方振りだな】


「後で ゆっくり聞かせろ!

とにかく手伝ってくれ!」


「シロ! 壺運びを手伝え!」

ムラサキが大きな壺を四つ置き、シロを掴んで消えた。


執事達が集まる。


「中身も集縮か……」

ギンが大壺の中から壺を出した。

シロが置いた箱から鏡を出し、壺へ。

「ヒマワリ様、この壺に光を」


【ふむ。これが武器なのだな?】光輝神雷♪


蓋をして、ひとつ出来上がり。


「神の光しか効かんからの」次の大壺を置く。


「手分けして流れ作業だ」


「畏まりまして御座います」一斉に礼。


【鏡を入れた壺と蓋を持って、そこに並べ】


執事達、ずらっと一列。


【光輝神雷】光が走る。【どんどんいくぞ!】




♯♯ 闇神城 ♯♯


 サクラは強い闇を感じる扉の前に立った。


(みなさ~ん、初代はここだよ~。

歴代魔王も集まるかもだから気をつけてね)


【サクラ、この結界は私が破壊します】


(最高神様にしか出来ませんよね?)


【サクラには何もかもお見通しなのですね】


(そんなことないよぉ)


 神よりも神らしき子……頼りにしていますよ。

【では――】気を高める。【放ってください!】


サクラは、カルサイの光を結界に向け放った。


闇の結界が、光の粒と成って弾け散った。


刹那、部屋の中央の魔法円が、闇に覆われた。


【ひと足 遅かったな……】「まさか――」


【間もなく、この世は終焉を迎える!】

狂気染みた高笑いが響き渡る。


人神、魔神、白九尾が攻撃を始め、キン、ハク、フジが加勢し、闇の神を魔法円から離す。


(サクラ、この鏡か?)

(ありがと♪ ルリ姉♪)

アオが通路に退き、鏡を浄化し眠らせた。


(曲空できるよ!)

(よしっ!)(集めよぅぞ!)

クロ、姫、アカ、ルリが集める結界魔宝をアオが解除した。


(光、使えます!!)アオは部屋に曲空した。

(神様方、術を止めてくださいっ!!)


竜の神達が絆竜から出で、魔法円を囲む。


【無駄だ。大神だろうが、最高神だろうが、その術は止められぬ!】


(術は神様方にお任せする他は無い!

サクラ、俺達は初代魔王の方だ!)

アオは、部屋を浄化している慎玄と純慎を背に庇った。


(初代、あんまり力残ってないよ)

(そうだね、使いきったみたいだね)


【私を殺しても術は止められぬぞ】


「そんなに甘くない事くらい解っている。

改心して貰おうとは思っているけどね」

懐に曲空し、光を放って曲空。


光が飛び交う。


【目障りだ!】

強烈な闇の波動が拡がり、皆、壁に磔にされた。


【全く以て鬱陶しい!】

初代魔王の周りに新たな魔法円が現れる。


アオ、サクラ、白九尾から閃光が迸り、拡がり、闇の呪縛が弾け散った。


【還闇降臨!】天から闇黒色の雷が走り降る。


(自身に!?)(若返りやがった……)


【失せよ!!】再び波動に巻き込まれた!




 闇に包まれ、身動きも出来ず、強い力に圧され、飛ばされる――


(アオ! サクラ! 起きろ!!)

ルリがサクラを心の手で引き寄せ、叫んだ。


(ルリ……ありがとう)(起きた~)


(どうやら異空間だ!)

(兄貴達、どこだろ……)

(かなり広範囲だ!)(やばっ!)


(サクラ! ルリ! 皆を押し戻すよ!!)

(アオ兄! ルリ姉! せーのっ!!)



 光が闇の圧をジリジリと押し返す――



(アオ兄! 上げるよっ!!)(よしっ!!)

(もっかい! せーのっ!!)


 光が炸裂し、闇を打ち消し、神々と兄弟と仲間達を闇神城へと押し戻した。


【小癪なっ!】

闇の神は、達した光を闇で弾いた。





♯♯ 中 ♯♯


匡「岩田様! 御無事で御座るかっ!?」


岩「此の程度、造作も無き事よ!!」


匡「武器は刀ではなく、この鎚で御座る!」


岩「虎縞津の若、其は何ぞ?」


匡「仏様の光が出る鎚で御座る!

  竜神様が届けてくださったので御座る!」

 大きく振り被って――


 ドォォォン! 光が噴き昇った!


 上に迫っていた魔物が、光に包まれ、

色を戻し、落ちた。


匡「魔物は全て操られし者で御座る!

 『元に戻し、保護せよ』と、

  静香姫様よりの御言葉で御座る!」


岩「そうか……して、鎚は幾つ有るのだ?」


匡「表門に山と積んで御座る!」


岩「兄者! 皆! 我に続け! 表門だ!」


 屈強な男達は駆けて行った。




♯♯ 仁佳 ♯♯


睦「霧影殿、この投石器にて、壺を投じるので

  御座いまする」


霧「睦月殿は凄腕の射手なので御座るな」


睦「いえ。この投石器にて放たば、壺は

  魔物に吸い寄せられるので御座いまする」


霧「ならば早速! 皆、放つのだ!

  ……して、他国には?」


睦「我等、月衆が全ての国に伝えておりますれば」




♯♯ 東 ♯♯


嘉「珠姫(タマキ)、こちらに!」


珠「嘉韶(ヨシアキラ)様……」


嘉「ここに居れば大丈夫だよ。

  浄化の結界の内だから魔物は入れない。

  弐彌(ニィヤ)にも戦い方は伝えたよ。

  それと……私の両親も連れて行くからね。

  再婚して幸せになりなさい。帷長(イオサ)と」


珠「その事を……何故……」


嘉「無理矢理に嫁がされた……その事からね。

  私の心が、もう少し強ければ、誰も不幸に

  などしなかったろうに……。

  帷長も、まさか珠姫が嫁ぐ事になるなんて

  思っていなかったろうし、

  弐彌――いや、今は帷韶(カタアキラ)だったね。

  全ては息子の為にした事なのだよね?

  だから本当の親子で過ごせばいい。

  長く、辛い思いをさせてしまったが、

  これから幸せを掴んで欲しいのだよ。

  それを伝える為に来た。

  もう二度と現れないよ。さようなら」


珠「疎まれているのだと思うておりました……」


嘉「そんな事……ただ、珠姫が誰かを一途に

  想っているのは伝わっていたからね……。

  再婚直後に子を宿していると知った時には、

  正直、安堵したよ。その時に、継いだ後は、

  私が家を出ようと決めていたのだ」


珠「だから嘉韶様は私に指一本触れず……

  それなのに……私は……何度も――」


嘉「あの子達は、強く立派に育ったよ。

  次の妖狐王になるそうだよ」


長「嘉韶……」


嘉「ああ、やっと来た。

  私は戦いに行くから、珠姫を頼む。

  これからずっと――」


 嘉韶は微笑んで、結界から出て行った。


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