闇神城2-上階へ
最終章は、そんなに長くありません。
入念に準備したので、あとは一気に、です。
サクラ達は闇神城の二階に着いた。
(二階も光だいじょぶ~♪)お手玉♪
(問題は、この上の結界だな……)
キンが高い天井を睨む。
(そぉだね~。
でも……兄貴達、こっちだよ~♪)飛んだ。
サクラに続いて兄達が飛び、扉前後の結界を扉諸共、白九尾が破壊すると――
(闇で真っ暗じゃねぇかよっ)
溢れ出した闇に包まれてしまった。
(だね~。勝輝、闇 吸って~)
【畏まりまして御座います、我等が王】
(この闇は何だぁ?)(呪は無いのか?)
【魔王達の闇で間違いは御座いませんが、呪は含まれておりません。
結界が溜め込んだだけのようで御座います】
(光と闇に対する結界を同時にムリヤリ発動したから、でしょ?)
(ふむ。矛盾が生んだ歪みに吸着されたのであろうな)
次第に室内が露になっていく。
(この力……)アカが奥の扉を睨んだ。
(それに熱くねぇか? またアレかぁ?)
(うん♪ 炎鉱石~♪ それとねっ)
サクラが壁に光を放つと、壁が消えた。
(これも魔宝か?)(デケーなっ♪)
(そ♪ 結界魔宝の起動装置っぽい)
(だからいつも結界魔宝が昇ってたのかぁ)
広間の奥に有る重厚な扉の向こうからは、大きな力と熱気が押し寄せており、
目の前には、得体の知れない大きな魔宝の塊が高い天井に届きそうに聳え立っていた。
サクラが大きな魔宝の前に立ち、光を帯びる。
サクラの背の華雅も明滅する。
♯♯ 闇神城 一階 ♯♯
(始祖様、大丈夫ですか?)
【ああ。何とも無い】アオから出て見回した。
【先ずは解除か】床の結界魔宝に光を当てる。
(皆は、すぐ上ですね。
サクラが光を使っています。行きましょう)
【その前にコイツら入れとけ。
また魔王にされたら厄介だからな】
コバルトは漂っていた元・魔王達をアオに押し込んだ。
♯♯ 闇神城 二階 ♯♯
(もぉだいじょぶだよ♪
結界 増えないからねっ♪
あ♪ アオ兄、おかえり~♪)
(これは凄いね……。
いくつ組み合わせているんだろう)見上げる。
(これからの参考にもなるよねっ♪)
(そうだね。皆の新たな道の為に)(うんっ♪)
(竜宝の王様達、置いてくぞ~)
(待ってよぉハク兄っ!)
(いや、サクラ。待つしか無いよ。
五階の結界が厚さを増して三階まで覆っている。
ここでも既に圧が強くないかい?)
(頭痛いの、そのせいだったんだ~)
(光も闇も拒絶されているからね。
アカが探してくれるのを待とう)
(じゃあ、もぉここには魔王 来ないの?)
(結界が有る限り、たぶん来れないね)
キンとコバルトは広間を浄化し始め、アオは集縮の大壺を出し、炎鉱石を集め始めた。
床に結界魔宝が現れる。
(アカ兄、ありがと~♪)光を当て、解除。
次々と――
(みんな友達だよ~♪)るんるん♪
【えっ!?】【竜宝の王様?】ざわざわ……。
(キュルリ♪ このヒトに魔王の闇 教えて♪)
【は~い♪】結界魔宝に両掌を当てる。
【これ~♪】キュルリが輝く。
サクラが、それを巨大魔宝に乗せる。
【一階、二階全域に、記憶しました闇を拒絶し、封じる結界を発動致します】
(上の結界が後退したら拡げてね~♪)
【畏まりまして御座います、我等が王】
(ありがと~♪ あ……♪)
(すぐ上からの圧が消えたね)
【コイツだったのか?】
解除したての魔宝を指す。
【結界を三階、四階に拡張致します】
ハクが元・魔王を連れて来た。
(五階で戦闘が始まった。
紫苑と珊瑚は七階に向かったぞ)
(サクラ、行ってくれるかい?
解除と浄化は、始祖様と二人でするからね。
キュルリ、お手伝いお願いね)【は~い♪】
(行こっ♪)ハクとサクラは上階に向かった。
(始祖様、このコが気になっているんですね?)
キュルリと手を繋いでいる芳小竜を見る。
【ああ。その中がな】
(俺もずっと気になっていたんです。
確証は有りませんが、元竜――神様が眠っておられる気がするんです)
【だからずっとサクラに預けたまま、お前ひとり先に入ったりしてたんだな?】
(まぁ……危険ですから)
【ふむ……確かに入ってるな。
で、何で連れて来たんだ?】
(どうしても ついて来たいと言うので。
芳小竜が主張するのは珍しいから)
【確かにな。
で、爺様は元竜の名で呼んでるんだろ?
そいつの名は?】
(トパーズ……)
芳小竜が振り向き、首を傾げる。
コバルトが一瞬 目を見開いた。
(ご存知なんですね?)
【まぁな。
古の大神……確かに行方不明だ】
(ついて来た訳を御納得のようですが……?)
【ん? ……いや……】
(お教え頂けるとは思っていません)
【お前なぁ、神を試すなっ】
(お目覚め頂けるでしょうか……)笛を構えた。
コバルトも笛を構え、音を合わせた。
♯♯ 闇神城 五階 ♯♯
(サクラ、どうしたんだ?)
(なんでも~。次の部屋 行こっ)
アオ兄と始祖様、なんで笛?
その曲……誰か眠ってるの?
(サクラ……笛の音が聞こえるのですが……)
フジの不安気な声で、サクラは隣室の入口前で立ち止まった。
(うん。アオ兄と始祖様、吹いてるね~)
(戦っているのでなければよいのですが……)
(それは だいじょぶ~♪
浄化なんじゃないかな~)にこっ。
(そっちに魔王が行ったぞ!)
(フジ兄、来るよ!)(はい!)
魔王の気の動きを掴む。
(せ~のっ! 雷神竜牙!!)(炎神竜牙!!)
サクラとフジは、隣室の入口に向かって、神聖光輝を雷と炎に乗せ、放った。
(サクラ……雷ですか?)と、水鉄砲ですか?
(キン兄の おこぼれ~♪)(は?)
(ゴルチル様がキン兄の力 開いたら、アオ兄と俺にまで雷が飛んで来ちゃってね、頭 割れたかと思った~)自分で なでなで。
(ですからアオ兄様も雷を使っていたのですね?
何かを変えた雷だと思っていましたよ)
(うん♪ もらっちゃっの~♪
でもホントに痛かったんだよぉ)
ごめんね、フジ兄。
ホントは、あれで強化されただけなんだ。
♯♯ 闇神城 二階 ♯♯
笛の音に導かれるように、芳小竜から神が現れた。
(古の大神様……なんですよね?)
【時が止まっていたのかもな】
古の大神が、ゆっくりと目を開けた。
【ここは……?】
(始祖様、トパーズ様をお願い致します)
【待て、アオ】
去ろうとしていたアオが振り返る。
【お前の中に入る。
伝わらないようにするから安心しろ】
(俺は伝わっても構いませんが)
【お前なぁ……ひと言 余計だ】
言いながら大神トパーズを連れて入った。
(さて……何と呼ぼうかな……)
橙色の芳小竜を掌に乗せた。
【パラチア、いこ~♪】
(キュルリ、このコはパラチアなのかい?)
【うんっ♪】二人、嬉しそうに頷いた。
(トパーズ様の芳小竜ではなかったの?)
【ん~とね~、トパーズ、パラチアのコドモ】
キュルリが答えた。
(パラチア様は何処にいるの?)
【わかんない……とばされちゃったから……】
(トパーズ様をお護りしたんだね?)
【うん。ボクをトパーズに とばしたの。
そしたらね、パラチアが とばされたの】
(パラチア様も探すからね)よしよし。
結界魔宝が光った。
【結界を五階に拡大致します】
(行こう。キュルリ、パラチア)【は~い♪】
アオは二人を抱いて曲空した。
――五階。(おや?)
(あれっ? アオ兄……曲空?)
(うん……つい、ね)あはは……。
(兄貴達~♪ 曲空できるよ~♪)
(おっ♪)(やっとかぁ~♪)
兄達から口々に喜びの声が伝わった。
(始祖様は?)(中に居るよ)(浄化は?)
(俺がするよ)(始祖様は?)(居るけどね)
【サクラ、暫くアオに任せるからなっ】
(あ♪ ホントにいた~♪)【居たら悪いか!】
(気配なかったから~)【消してるだけだよっ】
(ふぅん。じゃあ、後でね~)【ああ。後でな】
(アオ兄、何があったの?)アオにだけ。
(古の大神様を見つけたんだよ。
始祖様は、その大神様とお話し中なんだ)
(この城に?)(いや、このコの中に、だよ)
(それで笛吹いてたんだ~)(聞こえた?)
(フジ兄にも聞こえてたよ)(そうなんだ)
♯♯ 三界 他場所 ♯♯
地下魔界では、検知竜宝が一斉に鳴り響いた。
「全域だ! 壺と鎚にて応戦!」
天界では、千里眼の監視兵が顔を上げる。
「王都上空に、魔王の闇を持つ者の群れが現れました!」
人界各国の天魔竜王国大使館でも、検知竜宝が鳴り響いている。
「人界各所に伝達! 第一級臨戦態勢!」
凜「サクラ、いつの間に雷を?」
桜「原神なった時もらった~♪」
凜「って?」
桜「光じゃないヒトは、光もらうの。
俺は光だから、他のをくれるって~。
だから雷にしたの♪」
凜「ふぅん……で、雷にした理由は?」
桜「カッコいいから~♪」
凜「いいのか? こんなの神様にしていいのか?」
桜「そうすべき時は、それなりにしますよ」
凜「アオ? 中身はアオなんでしょ?」
桜「いい加減にしてください!」キッ!
青「サクラ、そろそろ行くよ」
桜「うんっ♪ アオ兄と いっしょ~♪」




