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三界奇譚  作者: みや凜
第五章 闇神城編
416/429

闇神城1-突入

『魔王』というのも、ギンが勝手に付けた

呼び名でしたよね。

『龍神帝王』は、二代目以降らしいです。


 重ねた通路鏡を通ったアオ達は、闇神城に向かって進んでいた。


 神華侖では通れない新たな結界が現れた為、クロと姫は神眼で結界魔宝を探し、アカとルリは神眼と掌握で辺りを探り始めた。


(アオ、闇神城の内に新たな結界が生じたぞ)

ルリは掌握を城内へと伸ばした。


(今度は、どんな結界なんだい?)


(五階の結界は、光と闇を封じ、六階は……どうやら神――身体を持たぬ者を封じているようだ。

排除ではないようだが、人神様と魔神様が七階に閉じ込められ、戦っている)


(下から破壊出来そう?)


(そこまでは分からぬ。

六階の結界故か、会話も出来ず、気の色すらも確かめ辛い。

掌握は完全に妨げられている)


(城内を上がっていた魔宝を掴んだ)

アカが掌握で掴んだ物が、アオの目の前に現れた。


(どうしても神の光が必要なんだね)


(では、運びます)

白九尾が念網で包み、咥えて行った。


(アオ! 上の方で魔王らしき者の力が爆発的に膨れたぞ!

何人も いっぺんにじゃ!)

(下りて行ってるぞ! 神様 助けねぇと!)


目の前の結界が消えた。


(さっきの当たりだったね~♪ 行こっ!)


(先に向かいます!)

白九尾が戻り、即、跳んだ。


竜達も飛んだ。



 進みながら、光臨鐘を埋めていく。

ルリは、その間も神眼と掌握で探り続けていた。


(こちらの曲空を封じた為に、魔王達も移動に制限が有るようだな)


(ルリ、見えているの?)


(力の移動は分かる。大きな力だからな。

魔王達も飛んで移動している)


(アオ! また通せんぼだっ!)


(また新たに生じました)白九尾も留まっている。


(サクラ、この結界は)(中途半端~♪)

(雷だけは大丈夫だね)(闇と共にならばな)

(あ、魔王が飛んで来ているね)(ふむ)

(彼の属性なんだね)(通るつもりなのだな)

(アオ兄♪ ルリ姉♪ やってみよ~♪)


 アオとサクラは両掌を合わせ、術を唱え始めた。


二人各々の掌の間に闇の球が生じ、膨張した。


膨れた二つの球が重なり、ひとつとなった時、闇の球を包むように稲妻が走り、球の内に輝きを生んだ。


(いくよっ! せ~のっ!)

二人、両手を挙げた。


雷を内に保った大きな闇の球が浮き――


消えたかと思ったら、結界の向こう側に現れ、上昇を続け、結界の天に触れた瞬間、爆発した。

稲妻が結界を伝うにつれ、結界に亀裂が走り、上方から弾けて消えていった。


(サクラ……雷……って……)ホンモノだよな?


(クロ兄、もぉ驚かないんでしょっ)


(そっか……サクラだもんなっ♪)


話している間に亀裂は結界全体に及び、一気に弾けた。


(クロ! 進むのじゃ!)(おう!)


(念網で包んでおきます♪)

白九尾が、漂っていた神竜の魂を背に乗せた。



♯♯♯



 聳え立つ闇神城の前にアオ達は並んだ。


(高っけーなぁ)仰ぎ見る。


(曲空封じ、早く なんとかしねぇとな)


(一階の奥に、扉の無い部屋が有るぞ。

魔王が()る……魔宝も有るよぅじゃ!)


(闇を封じた魔王とは連携していないのかな……そうでなければ罠だよね)


(いずれにせよ、行かねばならぬのじゃろ?

参ろぅぞ!)

姫を乗せたクロが扉に向かう。


(お待ちください!)

御札が飛び、クロを追い越した。


扉の前に、見えない壁が有るかのように、御札が次々と貼り付いた。


(其は……)(結界か?)(いえ、呪です)


御札の妖文字が紅く光り、拡がり、呪の壁が露になった。


(浄浄万象!)

慎玄の錫杖からの輝きが、雷の尾を引いて飛んだ。


呪の壁が城に向かって弾けて消え、その勢いは扉を吹き飛ばした。


白九尾が入口へと跳ぶ。

城の内を確かめ、(進みましょう)にっこり。




(闇封じは上の方だけだね)掌に闇の球。


(じゃあ、結界魔宝 探す~♪)


 アカとルリが次々と結界魔宝を掴み集めた。

サクラも纏う闇を強め、集め始めた。


(あとは闇封じより上の階だ)(俺もムリ~)


アカは更に結界魔宝を二つ増やしたが、

(掌握を打ち消された)悔しさを露に仰ぎ見た。


(ひとまず竜の神様の所へ運びますね)

白九尾が念網で包み、咥えて跳んだ。



♯♯♯



 白九尾は姿を消し、通路鏡を抜けた――


(楽しそうですね)紫苑が視線を落とす。


(直面する必要はありませんからね)


(母様が、ですよ)微笑む。


(そうね)ふふふっ♪


(計画していたのですか?)


(母様が、ですよ)うふっ♪



 最外結界の穴を抜け、光臨鐘の輪の内に包みを置いた。

(竜の神様、お願い致します)念網を解除。





♯♯ 闇神城 一階 ♯♯


 クロ、姫、アカ、ルリは、引き続き偵察を兼ね、結界魔宝を探していた。

集めた結界魔宝は、白九尾がせっせと運んでいる。


フジと慎玄は屋内の浄化をしている。


(あの部屋……光封じ強いね~。

でも、闇だいじょぶ~♪)


アオとサクラが穴を開き、キンとハクが入った。


(様子見る~♪)穴に掌を翳す。

姫も並んで掌を翳した。

(え?)(およっ)

姫を掴んでサクラが飛んだ。

(逃げてっ!!)(逃げるのじゃっ!!)


皆が入口に向かって飛んだ時、部屋の壁が飛び散った!


壁の破片は雷の尾を引き――


城の外壁に無数の穴を開けた。


(うわ~、部屋の向こう側、外が見えるよ~)

(うん。部屋の壁がすっかり飛んでしまったね)


(兄貴っ! イキナリ過ぎだっ!!)


(まだ……加減が……だな……)ぽりぽり……。


(お~い魔王、生きてるか~?)瓦礫 掘る。


(アレじゃねぇのか?)クロが外を指す。


随分遠くに、薄ぼんやりした光が二つ見えた。


フジが飛び、浄化を始めた。



(で、これ、また運ぶのか?)瓦礫の下から魔宝。


(こっちにも有るぞ)クロの足元にも魔宝。


(なら、俺が行くよ)(アオはダメだろっ)


(この階は光が使えそうだからね)掌に光を出す。


(だからキン兄 爆発したんだ~)きゃははっ♪


(始祖様なら途中も大丈夫だと思うから、お連れするよ)

結界魔宝を光で包み、抱えた。


白九尾が戻る。


(紫苑殿、珊瑚殿、上に向かってください)

アオは複製を消し、飛び去った。



♯♯♯



 アオが通路鏡を抜けると――


「アオ様~♪」爽蛇がお茶を持って来た。


「ありがとう、楽しそうだね」


「はい♪」アオの耳に寄り、声を落とし、

「しっかりお護り頂いておりますので」

視線を上に向けた。


狸玖(リキュウ)大将とワン将軍も。なら、安心だね」


「また通られますか?」


「何度か紫苑殿も通った筈だけど」


「あの風……そうで御座いましたかぁ」


「姿を消していたんだね。

じゃあ、そろそろ行くね」

女性達に会釈して、結界の外に出た。




 最外の穴を抜けると、竜の神々が、大勢の竜と魔人を浄化していた。


【アオ、何かあったのか?】


(始祖様をお迎えに――この方々は?)


【狐と狸が運んで来た、元・影と幹部だ】


(魔竜ですか?)


【ああ、属性が闇のみだ】


 アオとコバルトが話している間に、持って来た結界魔宝は解除された。


(始祖様、闇神城一階は光が解放されました。

途中の通過は、俺の中でしたら闇障で大丈夫だと思います。

闇障鐸と勝闇も有りますし)


【ふむ。やっと乗り込めるか】


(嬉しそうですね)


【当然だろ。急ぐぞ】(はい!)


カルサイが寄って来た。

【コバルト、闇障を持つ神は貴方だけ。

皆様をお願いしますね】


【任せておけ。おとなしく待っていてくれよ】

神達が頷いた。



♯♯♯



 アオが闇神城へと、再び通路鏡をくぐった事に気付いたのは爽蛇だけで――


「紫苑様、珊瑚様にソックリだったらしいのよ♪ 見たかったわ~」ひそひそ♪


「そうなんですか?」もちろん小声で。


「ね、桜華様♪ あら?」キョロキョロ。


「いらっしゃらないわね」


「上に……」「えっ?」「いつの間に……」


「ミカン様、参りましょう」「そうねっ」


「リリス様、通路鏡をお願い致します」


「はいっ! 私でも保てるのですね?」


「勿論ですわ。リリス様も竜なのですよ。

竜体になれないだけ。中身は同じですわ。

こちらに手を添えるだけですのよ」


ボタンが掌を翳し、光を放った。


「見えたかしら? この気を保てますわね?」


「はい♪ 頑張ります!」


「お願い致しますね。

ワカナ様、竜宝をお護りくださいね」


「すみません……私も竜なのに……」


「それは言わないのっ」チリンリン♪

ミカンは神以鏡を配った。

「もし来たら、練習の通りにねっ」


「ワカナ様、ルリ様からお預かり致しました結界竜宝ですの。こちらの結界を重ねているそうですのよ。

こちらもお願い致しますね」

ボタンは背後に置いていた箱を渡した。


「私達は、ちゃ~んと修練したんだから♪

ワカナ様でなければ、アカ様の結界を護れないのよ。それに道具の管理や補修なんて、私達にはムリなんだから~」


「それは……それなら……頑張ります!」


「すぐに戻るわねっ」「それでは」

ボタンとミカンは上昇した。





フ【あとひと押しよ! 高めてっ!

  一点に集めてっ! そうよっ!】


 光が迸る!


?【はあぁぁぁあ"あ"あ"ぁぁぐごあっっ!!!】


 フローラが光を添え、支えた。


 立ち昇った黄金光を、同じ発生源から追った

輝緋光が覆い、発生源へと引き込んだ。


?【……ありがとう、アンタ……】胸を押さえる。


フ【これで貴女も神よ】賑やかだったわね♪


?【とうとう成れたのだな……】深い息を吐く。


フ【でも、まだ調整しないといけないわ】


?【へ? まだなのかい!?】


フ【すぐに終わるわ。気を鎮めてね】


 フローラは微笑み、優しい光で包んだ。


?【あ……この柔らかな気……まるでベニ姉……】


フ【ゴルチル様も、そう仰ったわ】ふふふっ♪


?【フローラ様は……ベニ姉の……?】


フ【ベニだけじゃないわ。貴女も私の子孫よ♪】


?【えっ!? あ……まさか、初代王妃様……】


フ【はい♪】うふっ♪


?【失礼を致しましたっ!!

  これまでの数々の御無礼、どうか――】


フ【いいわよぉ、そんなことなんて♪

  これからよろしくねっ♪】


?【宜しくお願い致します!】


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