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三界奇譚  作者: みや凜
第五章 闇神城編
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越結界4-鏡は任せて!

 神竜達が呼んでいる『闇神城』と、

天竜達が呼んでいる『魔王城』は、同じ砦です。

魔王達は何と呼んでいるのでしょうね。


 アオとコバルトが話していた頃、深魔界の最奥、真魔界との結界前では、ゴルチルとサクラが、キンに回復を当てていた。


(キン兄、どぉ?)


(もう大丈夫だ)起き上がる。


【キン、その力……解放すべきだと思うが?】


(この力は、私には制御出来ないのです)


(ゴルチル様、調整って、この力の事?)


【そうだ。サクラ、手伝え。

キンの背を支えていろ】



 サクラがキンの背後に回り、支えると、ゴルチルは無言でキンの額に掌を翳し、雷を放った。


キンから雷が迸る!


(ったぁーっ!!)

サクラが自分の額を両掌で押さえ、踞る。


(ひどぉいぃ~)うるうる睨む。


(せめて前置きしてください)

少し離れた所からアオも睨んでいた。


【戻っていたのか】ニヤニヤ。


(始祖様と話している時でしたら、反撃していたでしょうね)

睨んだまま近寄る。


(キン兄さん、大丈夫ですか?)

サクラをなでなで。


(ああ……アオ、サクラ、少しいいか?)曲空。


(はい)二人も追って曲空した。



【オッサン、無茶するなよなぁ】


【彼奴等ならば何とも無い】


【だからだよ!

アオが発生源に反撃してたら、オッサン滅されてたぞ!】


【そうか……アオは御前の術技も得たのだな】


【そうだよ。気をつけろよな。

だいたい、天竜を一気に覚醒させるなんて、無茶にも程があるぞ】


【キンが使えずにいたのは、ガーネの力だからな。

神竜の力だ。覚醒させておくべきではないか】


【つったって! アオとサクラの事も考えろ!

これ以上の力なんて身体が()たないだろっ!】


【ふむ……】すこぶる嬉しそう。


【あのなぁ……】


三人が戻って来た。


(ゴルチル様、ありがとうございます。

直ぐ使えそうです)


【では、進むか】ニコニコ。


(先に俺だけ入ります)

返事を待たず、アオは穴をくぐった。


【サクラ、アオは……?】


(だいじょぶ~♪ クロ兄と話してる~♪)


(クロ達の所迄、行けたのだな?)


(うん♪ キン兄も心配しないで~)



 アオが戻った。


(闇化甲を着ていれば、光排除も大丈夫です。

ただし、封じられていますので、光は使えません。

この鏡――六運鏡(リクウンキョウ)三過鏡(サンカキョウ)を重ねれば、その先に進めます。

キン兄さん、行きましょう。

サクラ、穴を保ってくれるかい?)


(俺――)


(サクラ♪)(え!? ラン……それに――)


(私直属、サクラ王 親衛隊よ♪)


(なんか恥ずかしぃんだけどぉ)アオにだけ。

(そうだね)くすくす♪


(貴女方は……)呪に掛かった女性兵達……。


(ルリお姉様、皆さんは闇属性ですので、ご心配なく)にっこり。


【それに、あの解呪で新たな力を得ていますから、力を合わせれば、その穴でしたら保てますよ】

ドルマイが、もう一団 連れて来た。


【彼女達は、私共が護りますので進んでください】カルサイ達も来た。


(でも、ランは――)


(解っております。

私の使命は国を護る事。

サクラ、ご存分に戦ってください)


虹藍は微笑むとドルマイの方に向かい、

(お願い致します)丁寧に頭を下げた。


ドルマイと虹藍の姿が消える。


(サクラ、行こう)(……うん!)


 親衛隊が穴に手を掛け、拡げる。

アオ、ルリ、キン、サクラと続いて穴をくぐった。




(お待たせしました)


 待っていた兄弟が一斉に振り返る。

そこまでの道が、ごく微かに光っていた。


(光組、大丈夫なのかぁ?)


(大丈夫ですよ、ハク兄さん)


(あの光は何だぁ?)


(『光の道』ですよ。

光臨鐘を埋めながら、ここまで来たんです)

(でも、封じられちゃってて、まだダメ~)

(それを解除しないと神様には入って頂けないんですよ)


(鎚もダメだぞ)(同じだからね)


(あれれ? アカ兄と桜華様は?)


(結界の内からなら破壊出来そうだからって、紫苑と珊瑚も、そっちに行ったぞ)


(なら、慎玄殿を運ぶのに爽蛇を連れて来るよ)

アオが飛んで行った。



 そして連れて戻った。(曲空封じは困るね)


(アオ兄、困ってる感じな~い)きゃは♪

(慎玄さん、爽蛇に乗ってね~)


(ありがとうございます)


(あ♪ 結界ひとつ消えた~♪)


(鏡、整いました。通ってください)


(アカ兄、おかえり~♪ 桜華様は?)


アカが指した方向が煌めき、結界が またひとつ消滅した。


(では、進んでください)


(おぅよ♪)姫とクロが意気揚々とくぐる。


(アオ兄、その鏡……)


(うん。竜が術で保たないと通れないんだ。

だから、この結界が解除される迄、俺がここで保つよ)


(アオ、行かねぇのか!?)

クロが鏡から顔を出した。


(さっき迄と同じ、少し待つだけだよ)


(俺が残り、結界を成す)鏡を掴む。


(アカ! 掌握が要るだろっ!)


(ルリ殿が居れば大丈夫だ)


(アカは魔王と戦う時に盾を成さねぇと、他の誰にも出来ねぇんだぞ。

残るのは俺だ)ハクが鏡を奪う。


(オレ達なら、ここからでも供与できる!

光なんて持ってねぇから鏡から通るハズだ!

姫、それでいいよな?)(うむ!)

クロと姫が戻って来た。


(今 戦えない俺しかないでしょ)にこっ。


(サクラが残って どうするんだっ!!)全兄。


(兄貴達みんな行けば だいじょぶだよぉ)


(まさか、本気で言っているのではないだろうな?)


(恐いよ、キン兄~)


(鏡は私達が保ちます!)背後から声。


王子達、一斉に振り返る。


(ボタン!!)(ミカン!?)(ワカナ……)

(リリス! ここは人が来てよい所では――)


(竜人になったの。だから大丈夫よ)にこっ。


(竜人は竜では――)リリスの目を見て諦めた。

(護竜甲殿、リリスに展開お願いします)

【はい、フジ様】


(キン様、どなたが欠けても勝利は得られませんわ。

私達も備えて修練致しておりましたの)


(天性も術技も、この時の為に自分のものにしているの! だから――)

ミカンがハクから鏡を奪った。


(でしたら私がここに残り、結界を成します)

妖狐達が戻っていた。


(母様……それでは――)紫苑が桜華の袖を掴む。


(あなた達の方が、もうずっと強いのよ。

私はここで戦うわ。お行きなさい)


(若様、姫様、桜華様は私が御護り致します)

コギの軍も合流していた。


(コギ殿……では、お妃の皆様を宜しくお願い致します)


(アオ様。私も、こちらに残らせて頂きます。

リリス様をお乗せして飛ぶ事で御座いましたら出来ますので)


(うん……爽蛇、頼んだよ)(はいっ!)


(慎玄殿、私の背に)

(紫苑殿、お願い致します)


アオとサクラが、もう一度 術で鏡を繋ぎ直し、

(では……お願い致します)鏡を渡した。



(では、急いで終わらせるぞ!)(はいっ!)


 キンを先頭に続々と鏡をくぐり、最後にアカが鏡を護る者達を覆う結界を張り、

(あとはお願い致します)

桜華に その結界を託し、鏡をくぐった。




「何を書いてるの?」


 妃と婚約者達が座って頭を寄せ、地面に何かを書いているのを、桜華が覗き込んだ。


「あら、筆談?

この結界の中なら話しても大丈夫よ♪」


「そうですか……」顔を上げた。


「この結界、本当に強いんですもの♪」


ワカナが頬を染める。


「桜華様、お連れくださり、ありがとうございます」


「私は何も~♪

リリス様、とっても嬉しそうね♪」


「やっとフジ様の女の子姿が見れましたので♪

サクラ様で見慣れたとは言え、嬉しくって♪」


「そうよね~♪

ハク様も『俺は なれねぇ!』って逃げてばっかりで」あはははっ♪


「あの――」慌てた様子で珊瑚が顔を出した。

「お話しは大丈夫ですが、お声は小さめにお願い致します。

鏡から聞こえてしまいますので」

小さく会釈すると、サッと引っ込んだ。


「あら……」



 女性達の楽しげな ひそひそ話が始まり、どうしても次第に盛り上がっていく。


「お茶とお菓子を持って来ればよかったわ~」


「クロ様から、この袋を頂きましたわ」


「何か美味しそうな いい香り~♪

焼き菓子?」ポリッ。「美味しいわ♪」


「この硬さ……絶妙ですね♪」


「爽蛇さん、何をなさってらっしゃるの?」


「お湯を。もう少々お待ちくださいませ」礼。


 聖輝煌水で淹れたお茶は――


「とってもいい香り~♪」

「ほんのり甘いですね♪」

「やわらかい口当たりが素晴らしいわ♪」

「うん♪ 美味しいっ♪」


とても喜ばれたのだった。




(コギ、大丈夫?)

気付かれないよう視線を上げた。


(はい、桜華様。

相手は魔王ではなく、影ですので)


結界の外は戦闘中だった。





?【セレンテ様! どちらへ!?】


セ【襲撃なのよ!】


?【私もお連れくださいっ!】


セ【覚醒なさい! あと一歩なのよ!

  フローラ様、彼女をお願いします!】


フ【はい! セレンテ様!】


?【行ってしまわれた……】


フ【集中なさいな。もうそれだけで覚醒よ。

  そうすれば貴女も参戦できるわ】


?【そうか……はいっ!】


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