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三界奇譚  作者: みや凜
第五章 闇神城編
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越結界2-大神コバルトの力

 深魔界の最奥、真魔界の結界前に集まりました。


♯♯ 深魔界 真魔界との結界前 ♯♯


 アオとサクラは闇を纏い、穴を開けた。


(この穴は、この結界の向こうに通るのみです)


(光でない皆様、よろしくお願いします)



 閻魔、仏陀の七神が通った時――


(暫し待ちやれい!)


(どぉしたの? 姫)


(ミズチが、こちらに向こぅて来ておるのじゃ。

連れて参る)曲空。



――連れて戻った。


(どぉしたの? 爽蛇)


(こちらを。リジュン様からで御座いますぅ)

大小二つの箱を差し出した。


竜潔環(リュウケツカン)かな?)アオが掌を翳す。

(うん、判ったよ。呪を吸うそうだよ)にこっ。


(じゃあ、ブン殴られずに済むんだなっ♪)


(白い環に色が着いたら、呪を吸っている為、交換するようにと言っていますので、とりあえず三つずつ配りますね)


(こっちは、依代さんに着けたら、魔王の力を吸うんだって~♪)


(面白ぇなっ♪)


(ハク兄、油断しないでよぉ)


(大丈夫だって♪

ちゃんと小器も入っただろっ♪)


(なんとかね~。キツキツだったから、蒼月煌しか入らなかったんだよ~)


(緋月煌 入ってねぇのか!?)


(終わったら戻してあげるからね~)(う……)


(オレは?)(ハク兄とおんなじ~)(う……)



 配り終えたアオが、サクラの箱を覗いた。

(そっちは数が少ないね)(最終手段だね~)

(ひとつずつ、かな?)(足りないけどね~)



(ハク兄さん、クロ。皆、入ったんだけど……)


呆然としていた二人、慌てて穴をくぐった。



(爽蛇、ありがとう。

このまま一緒に行ってくれるかい?)


(よろしいので御座いますか?

私は足手纏いでは――)


(俺が竜に戻れなかったら、ずっと乗せて飛んでくれるつもりだったんだよね?)


(そうで御座いますが……)


(なら、決まりだよ)にっこり。

(待っていてね。一緒に行きたいんだ)



 アオとルリは、これまで同様、ルリが神眼と掌握で探り、アオが釈迦に伝えた。


(アオ、結界が変わっているぞ)


(ルリ、詳しく判る?)


【アオ様、結界が増えております】


(釈迦様、ルリが探っていますので、少々お待ちください)


(この結界……闇は通れそうだが……)


(魔神様方、通過出来ますか?)


【はい。通った所でお待ちしております】


(人神様方は如何ですか?)


【通る事、叶いました】


(クロ、何か見えるかい?)


(それが……見えねぇ。それに神華侖(シンカロン)もダメだ)


(ルリは見えているんだよね?)


(ああ、なんとかな。

この結界は闇以外を捕らえ、留めるようだ。

クロ様の神眼とアカ様の掌握を封じる為なのではないだろうか)


(アオ殿、私共が先行します)


(紫苑殿は闇のみなんですか?)


(属性は闇です。珊瑚も同じく)


(では、結界魔宝を探して頂けますか?

魔神様、人神様、お進みください)


(お任せください)【では、参ります】


(兄貴達~、闇は通るって事は襲撃あるかも~)


(ああ、そのつもりで待つよ)



【で、どうなんだ?】(あ、始祖様……)


【コバルト、何しに来たのだ?】


【様子を見て来いって、親父に言われたんだよ】


【そうか……まだまだだと伝えろ】


【んな、邪魔者みたいにぃ】


【邪魔だからな】


【ヒヨッコ軍団よりはマシだろーがよ!】


【どうだかな】


(あの~、ケンカなら どっか行ってくださいね)


コバルトは、ゴルチルを睨むとアオの中に入った。


(始祖様……カルサイ様に報告しなくてもいいんですか?)


【どーせ、すぐ入れるなんて思っちゃいないだろうから、ここで待たせて貰うぞ】


(いいですけど――ん?)【どうした?】


(始祖様、何か封印していませんか?)


【えっ……いや……】


(ご自身で封印していますね)


【オッサンには聞こえないようにしてくれ】


(解りました。それで、中身は何ですか?)


【これは……俺の術や技だ。それと、その為に必要となる大きな力も一緒にな。

浄化や回復、解呪なんかの、誰が使おうが害の無い術や技を除く全てを封じている】


(あの呪が使えないように、ですか?)


【そうだ。だから俺には解けない】


(ゴルチル様やカルサイ様なら解けるのでは?)


【いや……無理難題フッ掛けてるから、神には解けないんだよ。

だがまぁ、もう一度 修行し直して、覚えりゃいいだけだ】


(何を条件にしたんですか?)


【待てよ……もしかして……】(はい?)


【共心……すぐ出来るのか?】(出来ますよ)


【だったら解ける!】(でも、ルリは今――)


【いや、俺と共心してくれ】(へ?!?!?)


【俺に身体が有れば解けるんだよ!】


(何で そんな条件にしたんですか?)ため息。


【無理難題でないと呪が解いちまうだろっ】


(始祖様が主ですか?)【いや、アオが主だ】


大きな ため息ひとつ。(解りましたよ……)


(ルリ、そっちは頼んだよ)複製で頑張ってね。

(ああ、任せろ。早く解放しろ)くすくす。


(サクラ、少し離れるよ)

(うん……どしたの?)

(ちょっと始祖様と話が有るんだ)

(うん。こっちは任せてね)

(ありがとう、お願いするね)(ん)


(始祖様、では少し離れますね)曲空。




【術は、これだ。と思う】(思う、って……)


【あの呪に縛られたままの俺が、必死で封印したんだよっ!

余裕なんて有る筈が無いだろうがっ】


(仕方ないですね……では、共心しますね)


【ああ、頼む】


 ルリと最初に共心した時と同様に、少しずつ進めていくと、コバルトの想いや記憶が押し寄せて来た。


 本当に強い御心を持った大神様なんだ……。


 御力も強大……

 取り込みきれるのか? 俺なんかに……。


 まだ有るのか!?

 全ての力を開くしかない!


アオの大きく広げた翼と光輪が強烈な光を放って輝き、地下魔界を光の世界に変えた。


(アオ兄! 何してるの!?)


(心配 要らないよ、サクラ)


(そう……?)


 きっと、また無茶してるんだ……。


 でも、出来る事は全てしてきたからね。

 俺がアオ兄を護るんだ!



 サクラが強い想いで見詰める その輝きは、青く澄んだ爆発的な光を放ち、収束した。

アオは一度 膝を突いたが、息を整え、再び立ち上がった。


 どうにか、共心……出来たな……。


内からのコバルトの力で、はち切れんばかりの己が身をなんとか支え、蒼牙を振って、自分の周りに魔法円を出した。


(キュルリ、お手伝いお願いね)【は~い♪】


 身体を得た事で、封印が緩んでいるな。


 神の力を必要とし、身体を必要とする。

 始祖様ご自身では解けない封印。

 しかし、外からも解けない。

 内に持つ者のみが解放出来るのか。


 だから俺が主の共心か……。


唱術が終わる。


(この封印を解き、大神コバルトの御力をここに!!)


 魔法円から迸った光に包まれ、キュルリがアオの胸から蒼白く煌めく鎖を引き出した。

アオは、その鎖に掌を翳し、青雷を放った。


鎖の煌めきが天に昇る。


(始祖様、共心を解除します)




 魔法円が消え、アオが放つ光が収束した時、

(始祖様……ご無事、です……か……?)

アオは気を失い倒れた。


コバルトは即座にアオから出、回復を当てた。


もう一筋、光が加わる。

【流石、アオだな】


【オッサン……見てたのか?】


【当然だ。

私が、あの封印に気付いていないとでも思っていたのか?】


【そうか……やっぱりな……】


【これでアオも神に成ると言――】


【言いそうにもないぞ】


【何故だ?】


【この為では無い。それだけは感じたからだ】


【まだ何か有ると言うのか……】


アオが目を開けた。(すみません……)


【何を謝っているのだ?】


(いえ……こんな時に――)


【こんな時だからこそ、コバルトを解放せねばならなかった。そうだろう?】


【アオ、ありがとう】


(身体が破裂するかと思いましたよ)


【そうなれば、神に出来たのだがな】


(ゴルチル様は、その為に追っていらしたのですか?

始祖様を心配してではなく?)


【当然だろ。

アオが失敗する等と思っていないからな】


(ですから、甚だしい買い被りは――)


【正当評価だ】二神が睨む。


ため息。(もう大丈夫です。戻ります)立つ。


(回復、ありがとうございました)礼、曲空。





姫(敵襲じゃっ!)


黒(神以鏡! 暴風激放!)


 暴風だけが拡がり、影達がフッ飛ぶ。


姫(神の光は、まだ使えぬじゃろ)


黒(よぉしっ! なら、鎚でっ!)ドォォォン!


白(……おい、何が起こるんだぁ?)


黒(っかしぃな……光が出ねぇ)


姫(無の光も封じられておるのではないか?

  アカ殿とクロを足止めしておるくらいじゃ。

  当然であろぅよ)


黒(じゃあ、光は……)


姫(結界を解除すればよいだけじゃろ)


黒(だなっ♪)

白(で、敵は?)


藤(逃げましたよ。偵察でしょうか……)


白(んで、アカは? 一緒じゃねぇのか?)


藤(一緒に戦ったのですが……あ、アカ兄様)


白(どこ行ってたんだぁ?)


 アカはフッと笑っただけだった。


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