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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
384/429

執事長7-蛟の村で

 前話、後書きからの続きです。

しかもオマケです。m(_ _)m


「ロサイト様、如何でしょう?」


 魔竜達の解呪の後、アオはロサイトに、ずっと心に抱えていた事を打ち明けた。


【そうですね……私も初めての事ですが、ひとつだけ、可能性の有る術を知っております。

試す形にはなりますが……】


「お願い致します!」


【では、神を集めましょう。

芳小竜をお願いしますね】


「はい!」曲空。


ロサイトは森の開けた場所を浄化し、湖畔でサクラが奏でる回復の曲を聴いている大神達を呼びに行った。



――――――



 二百年程前――


「爽蛇、風蛇、今日もハザマの森で鍛練したい」


「畏まりました、アオ様」


 三人はハザマの森の修練場に向かった。

三人歳になったばかりのアオは、気の微妙な調整に夢中で、よく、この修練場に行っていた。


ハザマの森が近くなった時、

「あれは……魔物だ!」

アオの視線の先には、三体の闇黒色の魔物が、ハザマの森に向かって飛んでいた。


「豪速するから掴まって!」


 蛟達が掴まるや否や、アオは豪速で魔物に近付いた。


「誰か拐われてる!」


その声で、蛟達は左右に展開した。


アオは宙で蒼牙を構え、気を込めた。


斜めに(クウ)を斬り、瑠璃色の波動を放った。


中央の魔物が波動を受け、掴んでいた青竜を落とした。


即座に爽蛇が、その青竜を受け止め、飛び去る。


風蛇が魔物に体当たりし、飛ばされた魔物は波動の直撃を受けて塵と化した。



 ここまで、瞬時の出来事だった為に、残る二体は、まだ動けていなかったが、何が起こったのかを理解したらしく、二体ともがアオに向かって迫った。


風蛇が魔物を追う。「アオ様っ!」


アオの背後にも魔物が現れていた。


アオは魔物の気を察知しており、サッと降下していた。

そのまま、ハザマの森へと飛んだ。


三体の魔物がアオを追う。


それを風蛇が追っていた。


爽蛇が湖の方からアオに向かって上昇する。



「爽蛇! あれ!」下を指す。


森の中にも、木々を縫って飛ぶ魔物が見えた。

何かが青く煌めいた。


 また青竜!?


魔物は小さな青竜を掴んでいた。


「アオ様、お気をつけください!

魔物は青竜ばかりを狙っております!」


「みたいだねっ!」波動を放つ!


「爽蛇! 右!」「はい!」



 魔物が増えていく。

いずれも、青竜を捕らえ、ハザマの森を抜けて魔界へと戻るつもりらしい。


 森の入口は……あそこなら!


アオは剣先で、素早く方向を示し、角度を変えた。

爽蛇と、追い付いた風蛇がアオに続く。


ハザマの森は、安全に出入り出来る箇所が決まっている。

アオは、近くの入口を目指し急降下した。


入り、即、波動を放つ!


前を行く魔物が散った。

「爽蛇、回収。風蛇、上!」




 そうしてアオ達は、森の中を縦横無尽に飛びながら波動を放ち、青竜達を回収していった。


「爽蛇、無理しないで! 回収に専念して!」


「はい! アオ様っ!」


「風蛇、爽蛇が湖に行ったら、回収に回って!」


「はい! アオ様っ!」


「二人共、武闘蛟ではないんだからねっ!」


「心得ております!」


波動を放ち続けながら、アオが指示する。

蛟達は心優しい小さな主に従い、必ず護る事を心に誓い、死力を尽くした。




 しかし、魔物は増える一方で、アオ達にも疲れが見え始めた。

その時、遥か前方を白い影が過った。


 白!? 碧の煌めき!?


その大きな影も、魔物を追っていた。


 味方なのか?

 魔の気を放っているようだが……。


しかし、気を取られている場合ではない。

そちらは任せる事に決めて、アオは眼前の魔物に集中した。



♯♯♯♯♯♯



 白い影は、青竜の少女を抱えている魔物を追っていた。

魔物は木々をすり抜け、地下魔界へと入る為に闇の気を強め、纏った。


 させるかっ!!


距離を詰めた大きな白狐が、碧く煌めく気を刃に変え、放った!


刃が背に触れた刹那、魔物は弾け消えた。


白狐は、気を失っている青竜の少女を背に掬った。


 ん? この気……まさか、アオかっ!?


白狐は反転し、急ぎ、アオの気に向かった。



♯♯♯♯♯♯



「アオ様っ!!」


アオが、唐突に現れた魔物の不意討ちを受け、落下した。


蛟達が追う。


地面すれすれで風蛇が受け止めた。

アオの状態を確かめるべく、身を隠す。


「大丈夫だ……まだ戦える」


「いえ、こちらを」


「仙竜丸は……貴重なんだ……まだ…………」


「アオ様!?」


アオは気を失っていた。

風蛇が出口を求め見回した時、爽蛇が現れ、同時に悲鳴が聞こえた。


風蛇と爽蛇が顔を見合わせる。


二人は声のした方へと飛んだ。




「執事長、ここは……」


「どうやら、『蛟の村』らしいね」


「あれを!」


風蛇の視線を追うと、遠くに蛟が三人、殆ど瓦礫と化した石造りの廃墟へと身を隠すところだった。


魔物が廃墟の一角を弾き飛ばす。


「お父さん!」「隠れていなさい!」「でも!」


ひとり、後ろを気にしつつ出、上に飛んだ。


新たに現れた魔物が、それを追った。


更なる一撃で、廃墟の屋根が半分ほど砕け落ちた。


 間に合わないのか!?


廃墟を壊した魔物が中に入り、隠れていた蛟を引き出した。


 ひとり? もうひとりは?


風蛇が渾身の波動を放ち、魔物を弾き飛ばした。


捕まっていた蛟は、反対側に飛ばされる。


「兄さん! 受けて!」

風蛇は叫びながら魔物に向かった。


爽蛇は、飛ばされた蛟を受け止め、地を蹴り、廃墟へと跳んだ。


扉が無くなった入口から覗き込むと、瓦礫に半ば埋もれた蛟が、力を振り絞り顔を上げる。

「その……子を……お願ぃ…………」


「お母さん!!」


爽蛇が助け出そうと、一歩踏み出した時、辛うじて残っていた屋根が崩れ落ちた。


それでも進もうとした爽蛇の腕を、風蛇が掴み、上昇した。


「お母さん!!!」「風蛇っ!!!」


蛟の少女の悲痛な叫びと、爽蛇の抗議の声に、風蛇は唇を噛みしめ、涙を滲ませ、飛んだ。


少し離れた廃墟に身を(ひそ)める。

「すみません……こうしなければ、皆……」


「……解っているよ、風蛇。ありがとう……」

爽蛇は、少女を抱きしめ、声を絞り出した。

少女は、ただただ泣いていた。


「兄さん、アオ様をお願いします」

風蛇が、抱いていたアオを爽蛇に渡した、その時――


廃墟に黒い箱が投げ込まれ、その蓋が開いた。


咄嗟に風蛇は三人に覆い被さった。


箱から闇が噴き出す!


同時に屋外が碧い煌めきで満ちた。


闇障大器(アンショウタイキ)かっ!? アオ!! 何処だ!?」


三人は、その声を聞きつつ、気を失った。





白「にしても、アオとサクラが気になるよな。

  アイツら大丈夫なのかなぁ」


藤「そうですね……まだ続いているのなら……。

  クロ兄様、神眼でも見えないのですか?」


黒「何度も見たんだが、結界で見えねぇんだよ」


金「大変な解呪なのだな……体力的にも心配だな」


藤「颯竜丸でしたら大量に置いてきましたよ」


白「それよか精神面だよな。心配なのは」


藤「サクラの、ですよね……」


白「アオもだよ。ルリさんが一緒なんだぞ。

  下手な事なんか出来ねぇんだからな」


藤「あ……確かに……」


金「先程から二人で何を言っているのだ?

  フジ、どのような解呪をしているのだ?」


藤「そ、それは……」


赤「解呪は終わった。結界が解かれた」


金「クロ、二人は無事なのか?」


黒「サクラは笛吹いてる。

  アオは女神様と話してる。

  二人共、元気だっ♪」


白&藤「良かったぁ」です……。


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